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公正証書遺言書の書き換え(取り消し・撤回)の方法

ずっと以前に公証役場に行って、公正証書遺言書を作成したけど、気が変わったので、公正証書遺言書の書き換えをしたい。

 

公正証書遺言書は書き換えをすることはできるの?

 

結論から言ってしまえば、「公正証書遺言書の書き換えは何度でもできます」というのが答えになります。

 

この記事では公正証書遺言書の書き換え(取り消し・撤回)の方法について解説をしていきます。

 

一度作成した遺言書の内容が状況の変化や遺言者の気持ちの変化で、遺言の内容を変更や取り消したいと思う事はあります。

 

この変更や取り消しの事を正式には遺言の「撤回」と言います。 

 

遺言書に記載した内容が効力を持つのは、実際に遺言者が亡くなった時になりますので、遺言者が生きているうちは何度でも遺言書の内容を撤回(書き直し)する事ができます。

 

遺言書は日付の新しいものが優先されますので、例えば先月書いた遺言と違う内容の遺言を昨日書いたとした場合、昨日書いた遺言書の方が優先して有効になります。これが基本のルールになります。

 

これを踏まえたうで、公正証書遺言の撤回の方法を下記に記載していきます。

①公証役場で新しい公正証書遺言を作成する

公正証書遺言は公証人に遺言内容を伝えて、作成してもらう遺言になります。撤回したい内容が小さい場合は、補充や厚生(修正)の範囲内と公証人に認められた場合は、「補充証書」や「更生証書」というものを作成する事により公正証書遺言の内容を変更することができますが、基本的に公証人からは新しい公正証書遺言を作り直すことを強く勧められます。

 

一度作成した公正証書遺言書の撤回内容が、いくら小さい事とはいえ、少しでもトラブルになるのを避ける為に作成するのが「遺言書」の目的ですから、原則新しい公正証書遺言を作成しなおして、トラブルになる可能性を抑えるということだと思います。

②公正証書遺言以外の遺言を新しく作成する

公正証書遺言書の内容の撤回は、自筆証書遺言書や、秘密証書遺言書といった公正証書遺言書以外の遺言書で撤回をすることもできます。

 

例えば、公正証書遺言書で「不動産をAに相続させる」という内容を作成した後、自筆証書遺言書で「不動産をBに相続させる」という内容で自筆証書遺言を作成した場合、その不動産は「B」が相続する事に変更されたとみなされます。

 

公正証書遺言書は一番安心・安全な遺言書ではありますが、一番効力が強いわけではないのです。以前作成した公正証書遺言と、その後に新しく作成した自筆証書遺言の内容が矛盾する場合は、新しく作成した自筆証書遺言の方が優先されるのです。

 

肝心なのは、遺言書の種類ではなく、「日付が新しい事が重要になります」公正証書遺言書を新しく作成しなおすと、公証役場に費用を支払わなければいけないので、お金はかかりますが、自筆証書遺言の場合は、自分一人でできるのでお金は掛かりません。

 

ただし、デメリットもあります。

 

自筆証書遺言書は裁判所に検認を受けなくてはいけないので、もしかすると遺言書自体が無効」になる可能性もありますし、そもそも遺言自体が発見されない可能性もあります。

 

そんな場合は先に書いた公正証書遺言書の内容が優先されるので、実際「自筆証書遺言書で公正証書遺言書の内容を撤回した事にならない」

 

つまり「意味ないじゃん」ってことにもなりかねません!

③公正証書遺言書に書かれた内容が実現できない状況にする

遺言書の効力は遺言を作成した遺言者が亡くなった後で効力が発生します。そのため遺言者が生きているうちに、その遺言の内容が実現できない状況にすれば、その実現できない部分は遺言書の内容から撤回されたものとみなされます。

 

例えば、公正証書遺言書で「自宅の土地と建物はAに相続させる。XXX銀行の預金の全部をBに相続させる。」と記載してあった場合に、遺言者が生きているうちにXXX銀行の預金を全部使ってしまった場合は、「Aは自宅の土地と建物を相続できますが、Bは預金を相続することができません。だって遺言者が使い果たしてしまったから!」

 

この様に、遺言書を作成したあと、実現できない内容が遺言書に記載されていた場合はその「XXX銀行の預金はBに相続させる」という実現ができない部分に関してのみ「撤回」されたとみなされます。

 

以上が公正証書遺言書の書き換え(撤回)の方法になります。

 

仮に遺言書が自筆証書遺言であれば、そのまま破り捨てれば「撤回」したことになるのですが、公正証書遺言書の場合は、公証役場に原本が保管されているので、手元にある公正証書遺言書を破り捨てても意味がありません。

 

記載した3つの方法の中ではやはり、「公正証書遺言書」を多少お金かけても作成しなおすことをお勧めしたいと思います。

理由は「一番安心・安全」な遺言書だからです。

 

 

遺言書の作成は行政書士の様な専門家にサポートをしてもらう事も可能です。何かお悩みの事があれば行政書士に早めに相談されることをお勧め致します。