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公正証書遺言書があっても遺留分請求がされる?

公正証書遺言書があっても遺留分は請求されてしまうのか?

言い方を変えると、「公正証書遺言書と遺留分請求はどっちが強いの?」「どっちが優先されるのか?」ということになるかと思います。

 

その答えは、遺留分請求の方が優先されてしまう、となり遺留分請求の方が強いのです!

 

ですから、仮に3人の相続人がいて、亡くなった人が公正証書遺言書で1人の相続人にのみ遺産を相続させる指定をしていたとしても、残りの2人の相続人は自分の「遺留分」の請求をすることはできますし、遺留分の請求があった場合は、遺産を相続した相続人は遺留分の価格分だけ、残りに2人の相続人に支払う義務があります。

 

これが結論となります。公正証書遺言があったからと言って全て万能というわけではないんですね。

 

「遺言書というのは亡くなった人の意思を表したものじゃないの?」

「遺留分を認めると亡くなった人の気持ちに反するのではないか?」

「遺言を書く立場の人としても、自分の財産だから自分の好きな様に遺族に渡したいのだけどできないのか?」

そう思われるかもしれませんが、現在の法律では、例え公正証書遺言書があっても遺族の最低限の取り分の保障の方を優先しています。

 

そのため、遺留分を考えていない公正証書遺言が元で相続トラブルになったり、手続きがややこしくなったりするケースがあります。

 

ただ全く方法が無いわけではないんです。やり方によっては遺留分を無くすというか遺留分請求をさせないようにする方法はあるにはあります。

その方法とは・・・・

①公正証書遺言書に「付言事項」を記載する

公正証書遺言書を作成する際に、遺言書の中に「付言事項」を記載するという方法があります。

 

「付言事項」とは、「遺言者の方の気持ち」と言うと一番適格な答えになるとおもうのですが、どうして自分がこの様な内容の遺言にしたかの説明や、気持ちを書いた部分になります。

 

「付言事項」には法的な効力は無い、つまり付言事項の内容は守らなくても罰則など法律に反することにはなりません。ただ遺言を作成した気持ちを遺族に伝え、その思いを汲んでもらう為に記載する事になります。

 

例えば「遺産の全部をAに相続させる。」と書かれた遺言書の中に、「Aは仕事を辞めてまで私の介護をしてくれた。自分が死んだあとAの生活が心配なので、財産は全部Aに相続させることにした。BとCはその点を理解、納得して欲しい」と付言事項を記載しておくことによって、財産を相続できなかったBとCが遺留分請求をするのを思いとどまってくれるかも知れません。

 

「付言事項」の内容には法的な効力はないので、BとCが遺留分請求をできなくすることはできませんが、思いとどまってくれる心情になるのを期待することはできる様になります。まあBとCの「善意」に期待するしかないのですが、付言事項があるのとないのとでは遺言書の内容の重みが変わってくるのは確かであると思います。

 

②遺留分の放棄をしてもらう。

遺留分をもらう、もらわないといのは、遺留分をもらう権利のある遺族が決めることになります。そのため、遺留分を放棄してもらうという方法もあります。遺留分の放棄は、遺留分をもらう権利のある遺族が自分で裁判所に遺留分を放棄する申し立てることによってすることができます。

 

ただし、注意点としては、遺留分の放棄は相続が始まる前でないとできません。遺言を書こうとしている人が生きているうちにしかできないということです。

 

また、遺留分をもらう権利のある遺族が自分で行わないといけないので、遺留分をもらう権利のある遺族が、「放棄したくない!」というとできないという事になります。

 

以上が遺留分を請求させない様にする方法になりますが、どちらの方法も確実に遺留分を無くすことが保証されたものではありません。

遺留分という権利は、それほど強い権利になるのです。

遺留分をまったく考慮しない内容を書いた遺言書であったとしても、遺言書自体が無効というわけではありませんし、遺留分の請求をする、しないという選択は遺留分をもらう権利のある遺族が決めることができます。

 

もし誰か特定の遺族のみに遺産を残したいという場合は、遺言書を作成する人が生きているうちにその気持ちを遺族に話をして理解、納得をしてもらう事を第一に考える方がよいと思います。

 

そのうえで、遺言書の中に付言事項の内容によって遺留分減殺請求を思いとどまってくれる様にお願いしておくのがよいと思います。

 

 

公正証書遺言書は必ずしも万能ではありません。書き方や内容ひとつであまり意味のなさない遺言書になってしまう場合もあります。遺言書の作成にあたり、事前に行政書士のような専門家にサポートを依頼する事をお勧めいたします。