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遺言書は若いうちに書いておいたほうがよいのか?

自分が亡くなったあと、財産を誰に相続してもらうかをあらかじめ決めておくのが遺言書ですが、この遺言書はいつ頃から準備しておけばよいでしょうか?

 

ここでは、遺言書は若いうちに書いておいたほうがよいのか?という疑問にお答えしていきます。

遺言書は若いうちに書いておくべき

遺言書は、若い人であっても万が一に備えて書いておいた方がよいです。もちろん、未成年で働いていない場合や、財産が全くないような場合にまで遺言書を作成する必要はありませんが、次のような目的で、遺言書を作成しておく意味があるといえます。

 

1.相続人間での争いを防ぐため

2.相続人の手続を簡略化するため

 

以下では、具体的なケースを想定しながら、それぞれについてみていきます。

1.相続人間での争いを防ぐ

相続人の間で争いにならないよう、若いうちから遺言書を書いておいた方がよいケースは、結婚して配偶者がいるが、子供がいない場合です。

 

例えば、法務太郎さんは結婚していて奥さんの花子さんがいますが、子供はいません。このとき、太郎さんが突然亡くなってしまうと、相続人は奥さんの花子さんの他に、太郎さんの両親も含まれます。

 

太郎さんは奥さんの花子さんに全財産を相続してほしいと思っていたとしても、遺言書がなければ奥さんと両親とで遺産分割協議をして、財産を分けることになります。このような場合はなかなか協議がまとまらず、争いになりやすいケースです。また、このとき太郎さんの両親も既に亡くなっていたとすると、太郎さんの兄弟と奥さんの花子さんが相続人になるため、やはり争いになりやすいといえるでしょう。

 

このような場合に、遺言書を書いておき、「妻の花子に全財産を相続させる」としておけば、争いを防ぐことができます(他の相続人に請求されたときは遺留分を渡す必要はあります)。

 

例に挙げたような場合以外では、結婚していないが認知した子がいるとき、結婚もしておらず子供もいないが、内縁の妻に財産を相続してほしいときも争いになりやすいため、若いうちから遺言書を作成しておく意味があるといえます。

2.相続人の手続を簡略化する

相続人の手続を簡略化するため、若いうちに遺言書を書いておいた方がよいのは、結婚して子供がいるが、子が未成年である場合です。

 

例えば、法務太郎さんには妻の花子さん、長男の一郎さんがいて、一郎さんは10歳の未成年であるとします。

 

このとき、太郎さんが突然亡くなってしまうと、相続人は妻の花子さんと長男の一郎さんになりますが、一郎さんはまだ10歳なので遺産分割協議はできません。そこで、奥さんの花子さんが自分一人で有利な遺産分割協議をしてしまわないよう、一郎さんには「特別代理人」が選任され、代わりに遺産分割協議を行うこととされています。この特別代理人は勝手に決めることはできず、家庭裁判所での手続きが必要になります。

 

このような場合に、遺言書を書いておけば、特別代理人の選任をしなくてもよいこととされています。相続人の手続を簡略化することができますので、若いうちから書いておく意味があるといえます。

実際に遺言書を作成する

それでは、実際に遺言書はどのように作成すればよいでしょうか。

遺言書は作成方法によっていくつかの種類がありますが、主に使われる遺言書は次の二つです。

1.自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、公証人が関与せず、遺言書を作成する本人が自筆で遺言書を作成したものです。以下のような流れで作成します。

 

①誰に何を相続してもらうか、遺言内容を考える

②遺言書を作成し、保管する

2.公正証書遺言

公正証書遺言とは公証役場で公証人に遺言書を作成してもらう遺言書のことです。

作成するには、以下のような手続きが必要です。

 

①誰に何を相続してもらうか、遺言内容を考える

②公証役場に連絡して、公証人に①の遺言内容を伝える

③必要書類を公証役場に提出する

④遺言者、証人2名で公証役場行く

⑤公証役場で公正証書遺言の内容を確認し、遺言者、公証人、証人2名が署名・押印をする

⑥手数料を支払い、公正証書遺言書の完成

 

このように、公正証書遺言は公証役場を通した手続きになるので作成する手間はかなり大変です。

 

せっかく作成しても、若いうちから遺言書を用意しておくことを考えると、年齢を重ねていったときに遺言書を変更する必要が出てくることもあるでしょう。

 

そこで、若いうちから作成する遺言書としては、自筆証書遺言がおすすめです。

 

自筆証書遺言はただ自分で作成して保管しておけばいいだけですので、修正したくなったときも手軽に修正することができます。

 

ただし、ルールに従って記載をしないと無効になってしまいますので、その点は注意が必要です。

 

作成上のルールとしては以下のようなものがあります。

 

①必ず自筆すること

全ての遺言を「自筆する」必要があり、一部を誰かが代筆したり、ビデオの録画や音声の録音も認められません。

 

②日付を入れる

③署名・押印を行う

 

 

いかがでしたでしょうか。もし、自分で遺言書を作成するのが難しいと感じたり、作成を依頼したいと考えている場合は、行政書士に相談してみると良いでしょう。依頼するための費用と、相続の金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。