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遺言書の合法的な変更や撤回の方法

相続に備えて遺言書を作成したあとで、「やっぱり内容を変更したい」とか「遺言そのものを撤回したい」と思ったときはどのような方法で行えば良いでしょうか?

 

ここでは、遺言書の合法的な変更や撤回の方法ついて説明していきます。

遺言書の撤回

一度作成した遺言書そのものをやっぱりなかったことにしたいと思ったときは、撤回する必要があります。

 

自分で作成する自筆証書遺言の場合と、公証役場で作成してもらう公正証書遺言の場合で撤回の方法が異なりますので、それぞれ見ていきましょう。

1.自筆証書遺言の撤回

自分で作成した遺言書を撤回したい場合は、自分で保管している遺言書を破棄してしまえば大丈夫です。

 

また、古い遺言書と内容の異なる新しい日付の遺言書を作成することでも、前の遺言書の効力を失わせることができます。

2.公正証書遺言の撤回

公正証書遺言を作成したときは、自分が持っている遺言書を破棄しても、原本は公証役場に保管されているため、撤回したことにはなりません。

 

この場合は、新しい内容の遺言書を作成するしかありませんが、新しい遺言書の形式は公正証書遺言でなくとも、自筆証書遺言でも可能です。

 

ただし、公正証書遺言と内容の異なる自筆証書遺言を作成したとき、自筆証書遺言の形式に不備があり無効と判断されてしまうと元の公正証書遺言が有効と扱われますので注意が必要です。

 

撤回するために新しく遺言書を作成する場合は、「〇〇年〇月〇日公証人〇〇作成の公正証書遺言の全部を撤回する」というようにしっかりいつ作成したどの遺言書を撤回するのか特定できるようにしましょう。

遺言の撤回とみなされる場合

「遺言書を撤回する」と明言していなくても、遺言の撤回とみなされる場合があります。遺言書は新しい日付のものが有効とされますので、内容の矛盾する二つの遺言書が出てきた場合、新しい方に前の遺言書を撤回するという文言が入っていなくても、前の遺言書は撤回されたとみなされて無効になってしまいます。

 

例えば、「甲土地を相続人Aに相続させる」という遺言書の他に、「甲土地を相続人Bに相続させる」という新しい日付の遺言書が見つかった場合は、Aに相続させる旨の遺言書は撤回したものと取り扱われます。

 

このほか、遺言書は「甲土地を相続人Aに相続させる」というものしか作成していなかったが、亡くなる人が生前に甲土地をCさんに贈与してしまったような場合も、遺言書は撤回されたものとして取り扱われます。

撤回の撤回はできる?

一度撤回した遺言について、撤回したことを撤回することはできないと法律で定められています。そのため、一度撤回した遺言はなかったことになり、再び有効にはなりません。

 

ただし、撤回が詐欺や強迫によってなされた場合は例外的に撤回の取り消しができることとされています。

遺言書の変更

作成した遺言書の内容を変更したい場合は、新しい日付の遺言書を作成することで行います。

 

公正証書遺言の変更をしたいときに別の内容の自筆証書遺言を作成することで変更を行えるのも同じですが、自筆証書遺言は正しく作成しないと無効になってしまいます。

 

自筆証書遺言の作成上のポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

ポイント①

自筆証書遺言書は、遺言する人が必ず全てを手書きで書かなければならず、代筆やパソコンでの文書作成は認められません。

 

ただ、別紙の財産目録については、パソコンで文書作成をしても良いことになっています。

 

もちろん、別紙にせずにすべての財産目録を自筆しても良いのですが、正確に財産を記載しようとすると文字数も多くなりますので、誤記や作り直しの手間を考えると、財産目録を別紙にして、パソコンで文書を作成しておくのが便利です。別紙に財産目録をパソコンで作成したときは、財産目録に必ず署名・押印することになっています。

ポイント②

遺言書を作成した日付、署名、押印が必要です。

ポイント③

相続財産に土地や建物などの不動産がある場合は、地番や面積等も書く必要があります。

 

登記簿謄本を取り寄せて確認しながら、正確に記載してください。

 

ここの記載が不正確だと、法務局で相続登記ができない場合があります。

ポイント④

相続財産に預貯金がある場合は、銀行名はもちろんのこと、支店名や口座の種類(普通、定期など)、口座番号等を正確に記載し、きちんと特定できるようにしてください。残高は記載しなくても構いません。

 

また、株式についても同様に、きちんと特定できるような記載が必要です。

 

 

いかがでしたでしょうか。もし、遺言書の撤回や変更について悩んでいたり、遺言書の作成を依頼したいと考えている場合は、行政書士等の専門家に相談してみると良いでしょう。依頼するための費用と、相続の金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。