マンション・土地を贈与する場合の贈与契約書作成のポイント(持ち分・住宅ローン)
生前贈与としてマンションや土地の贈与を考えているという方で贈与契約書の作成はどうすればいいのかわからず、困っているという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
今回はマンションや土地またはその持ち分の一部を贈与する場合の贈与契約書作成のポイントについて説明していきます。
贈与契約書作成の流れ
①契約の内容を当事者間で協議する
不動産をもらうだけなのだからあげる側の意思だけ確認できればいいのでは?と考える人もいらっしゃるかもしれませんが、贈与契約はあげる側、受け取る側双方の合意が必要です。
「だれが」「何を」「いつ」「誰に」「どうやって」あげるのかを双方の話し合いで決めます。
また、負担付贈与といって、「マンションをあげるかわりに残りのローンを払ってね」というような契約にすることも可能です。
②贈与契約書を作成する
契約の内容が決まったら次は契約書の作成です。
贈与契約書にきまった形式はなく、パソコンで作成しても手書きでも構いません。
贈 与 契 約 書
贈与者 さむらい太郎(以下「甲」という)は、受贈者 さむらい花子(以下「乙」という)と、下記条項により贈与契約を締結する。
記
第1条 甲は、甲の所有する下記の財産を乙に贈与するものとし、乙はこれを承諾した。
(土地)
所在
番地
地目
地積 平米
持分 10分の1
(建物)
所在
家屋番号
種類 住宅
構造
床面積 平米
第2条 甲は、第1条に基づき贈与した財産を、令和〇年〇月〇日までに、乙へ引き渡すとする。
この契約を締結する証として、この証書2通を作成し、甲乙双方が記名捺印
のうえ、各1通を保有するものとする。
令和__年__月__日
(甲) 住所
氏名 印
(乙)住所
氏名 印
③署名押印した契約書を1通ずつ保管する
贈与契約書の作成ができたら、双方の署名押印をして契約書が完成です。
また、マンションや土地に関する贈与契約書には200円の収入印紙を貼付する必要があります。(不動産価額の記載をした場合にはその金額によって収入印紙の額も変わります。)
署名押印と収入印紙の貼付ができて完成した贈与契約書は当事者全員が1通ずつ保管しておくようにしましょう。
なお、必須ではありませんが、万が一税務署から過去にさかのぼって契約書を作成したと疑われたときのために公証役場で「確定日付」をもらっておくと良いでしょう。
権利の一部だけ(持ち分)を贈与することも可能
マンションや土地の贈与の際、そのすべてではなく、「その所有権の半分だけ贈与する」ということも可能です。
贈 与 契 約 書
贈与者 さむらい太郎(以下「甲」という)は、受贈者 さむらい花子(以下「乙」という)と、下記条項により贈与契約を締結する。
記
第1条 甲は、甲の所有する下記の不動産の共有持分4分の3のうち持分4分の1を乙に贈与するものとし、乙はこれを承諾した。
(土地)
所在
番地
地目
地積 平米
(建物)
所在
家屋番号
種類 住宅
構造
床面積 平米
第2条 甲は、第1条に基づき贈与した財産を、令和〇年〇月〇日までに、乙へ引き渡すとする。
この契約を締結する証として、この証書2通を作成し、甲乙双方が記名捺印
のうえ、各1通を保有するものとする。
令和__年__月__日
(甲)住所
氏名 印
(乙)住所
氏名 印
住宅ローンが残っている場合はどうする?
住宅ローンが残っているが、マンション等を贈与したいと考えた場合はどうすればよいのでしょうか。
方法はいくつかあります。
①ローンはそのまま払ってあげてマンションの権利だけを譲る方法
②マンションを譲る代わりに残りのローンは払ってもらう方法(負担付贈与)
③残りのローンの額を支払う代わりにマンションを譲る方法(これは売買契約になります。)
②の負担付贈与にする場合には、お金を借りている金融機関の同意も必要ですので注意が必要です。
贈 与 契 約 書
贈与者 さむらい太郎(以下「甲」という)は、受贈者 さむらい花子(以下「乙」という)と、下記条項により贈与契約を締結する。
記
第1条 甲は、甲の所有する下記の財産を乙に贈与するものとし、乙はこれを承諾した。
(土地)
所在
番地
地目
地積 平米
(建物)
所在
家屋番号
種類 住宅
構造
床面積 平米
第2条 甲は、第1条に基づき贈与した財産を、令和〇年〇月〇日までに、乙へ引き渡すとする。
第3条 本件不動産に課税される公租公課については、所有権移転登記完了の日を基準として、登記の日までの分を甲、登記の日以降の分を乙の負担とする。
第4条 乙は贈与を受けた負担として、当該不動産に附帯する金銭債務を返済しなければならない。
第5条 乙が前条の義務を履行しないときは、甲は本契約をただちに解除することができる。
この契約を締結する証として、この証書2通を作成し、甲乙双方が記名捺印
のうえ、各1通を保有するものとする。
令和__年__月__日
(甲)住所
氏名 印
(乙)住所
氏名 印
いかがでしたでしょうか?贈与契約書は自分で作成しても問題ありませんが、自分で作成するのが難しい、ミスが怖いという場合には、行政書士等の専門家に相談してみると良いでしょう。