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遺言書を行政書士に依頼するメリットはあるのか?

相続に備えて遺言をしておきたいと思ったとき、自分で遺言書を書くのは大変なので専門家に依頼したいと考えておられる方もいるかと思います。

 

ここでは、遺言書を行政書士に依頼するメリットはあるのか?という疑問にお答えしていきます。

 

行政書士に遺言書の作成を依頼する場合のメリットは、

1.手続の簡略化

2.遺言書の正確性の担保

といった点が挙げられます。

 

以下では、遺言書を自分で作成する場合と比較しながら行政書士に依頼したときのメリットについて説明をしていきます。

遺言書の種類

遺言書は作成方法によっていくつかの種類がありますが、主に使われる遺言書は次の二つです。

1.自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、公証人が関与せず、遺言書を作成する本人が自筆で遺言書を作成したものです。以下のような流れで作成します。

①相続人、相続財産を調査する

②誰に何を相続してもらうか、遺言内容を考える

③遺言書を作成し、保管する

2.公正証書遺言

公正証書遺言とは公証役場で公証人に遺言書を作成してもらう遺言書のことです。

 

作成するには、以下のような手続きが必要です。

 

①相続人、相続財産を調査する

②誰に何を相続してもらうか、遺言内容を考える

③公証役場に連絡して、公証人に①の遺言内容を伝える

④必要書類を公証役場に提出する

⑤遺言者、証人2名で公証役場行く

⑥公証役場で公正証書遺言の内容を確認し、遺言者、公証人、証人2名が署名・押印をする

⑦手数料を支払い、公正証書遺言書の完成

 

自筆証書遺言はただ自分で作成して保管しておけばいいだけですので、公正証書遺言に比べて作成するのに手間がかかりませんが、相続人や相続財産を調査して正確に特定しておくことは必要ですし、ルールに従って記載をしないと無効になってしまいます。

 

一方、公正証書遺言はそのような心配はないのですが、作成は公証役場とやり取りしながら手続きを行うため、なかなか大変です。

 

また、いずれの遺言書も、相続人を正確に特定し、相続財産も把握した上で作成することが前提ですが、これらの手続だけでも、自分だけでやるのは時間がかかります。

 

例えば、相続人を正確に特定するためには、生まれてから現在までの戸籍謄本を収集することになりますが、この戸籍謄本の収集はなかなか大変で、以下の例でいうと6通も必要になります。

 

戸籍① 遺言者の生まれた日

戸籍② 結婚し、別の戸籍に入籍

戸籍③ 家督相続(昭和22年5月までの制度)

戸籍④ 法務省令による新たな戸籍編制

戸籍⑤ 転籍

戸籍⑥ 法務省令による改製(現在の戸籍)

 

これらの戸籍を集めるには、基本的にはその当時本籍地のあった役所に請求をすることで取得できます。戸籍謄本には「従前戸籍」と記載のある箇所があります。これが一つ前の本籍地ですので、一つずつさかのぼって取得していく必要があります。

 

なお、上の図の戸籍⑤と③を取るためには、改製原戸籍という別の種類の戸籍を取得する必要があります。

行政書士への依頼

そこで、自筆証書遺言書や公正証書遺言を作成するための手続や必要書類の収集を、行政書士等の専門家に依頼することができます。

行政書士に依頼をする場合、メリットとして次のような点が挙げられます。

1.手続の簡略化

依頼する前提で考えると、手続きの流れは以下のように簡略化できます(公正証書遺言の場合)。

 

①相続人の特定、相続財産の調査を行政書士に行ってもらう

②誰に何を相続してもらうか、遺言内容のイメージを行政書士に伝えて、遺言書原案を作成してもらう

③行政書士が公証役場に連絡し、公証人に①の遺言内容を伝え、内容を確定させる

④行政書士が必要書類を収集し、公証役場に提出する

⑤遺言者、証人2名で公証役場に行く。行政書士は証人にもなってもらえる

⑥公証役場で公正証書遺言の内容を確認し、遺言者、公証人、証人2名が署名・押印をする

⑦手数料を支払い、公正証書遺言書の完成

 

このように、相続人の特定や相続財産の調査、公証役場との打ち合わせ・日程調整、必要書類の収集を行政書士に依頼することができますし、証人にもなってもらえますので、自分でやるよりかなりの手続を簡略化できます。

2.遺言書の正確性の担保

行政書士に依頼をすることで、遺言書を正確に、無効になることのないように作成してもらうことができます。また、併せて亡くなった後の遺言執行者に指定することもできますので、遺言の内容どおりに相続手続きを実現してくれる可能性が高くなります。

 

いかがでしたでしょうか。遺言書を行政書士に依頼する場合のメリットについて見てきました。

 

もし、自分で遺言書を作成するのが難しいと感じたり、作成を依頼したいと考えている場合は、行政書士に相談してみると良いでしょう。依頼するための費用と、相続の金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。