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技能実習生の雇用会社の法令違反と罰則について

技能実習生への労働関係法令違反のニュースを、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。優良な労働環境で働いている技能実習生は多い一方で、残念ながら技能実習生への違反が未だなくなっていないのも事実です。

 

ここでは、技能実習生の雇用会社の法令違反と罰則に関して説明します。

1.技能実習で法令違反が起こる理由

外国人の技能実習の適正な実施を妨げる「不正行為」を行った機関は、受入れ形態別にみると、企業単独型の受入れ機関は稀で、団体監理型の受入れ機関が99%以上を占めています。

 

労働時間や賃金不払等に係る労働関係法令の違反に関する「不正行為」が最も多く、次いで、「不正行為」を隠蔽する目的で偽変造文書等を行使又は提出したことに関する「不正行為」が多くなっています。

 

団体監理型で多くの法令違反が発生していることからも、技能実習制度に関する知識不足が1つの原因と考えらえます。したがって、どの行為が法令違反にあたり、どのようなペナルティーがあるのかをしっかり把握し、知らずに違反してしまったということが内容にすることも重要です。

2.主な法令違反行為

「不正行為」の具体的内容として、以下のようなものが挙げられます。

①二重契約

提出された雇用契約書に記載された報酬より低い報酬を実際には支払う旨の別の合意があるような場合

②技能実習計画との齟齬

提出した技能実習生との間の雇用契約の内容について齟齬がある技能実習が行われていた場合で、その齟齬の程度が申請の許否を左右する程度である場合

③名義貸し

申請上の技能実習生の受け入れ機関が技能実習生を受け入れず、他の機関が技能実習生を受け入れているような場合

軽い気持ちで名義貸しをしてしまう事例が多いので、注意が必要です。

④虚偽文書の作成・行使

入国管理局に虚偽内容の書面を提出した場合

例えば、受入れ機関の常勤職員数を実際よりも多く偽った内容の書面を提出した場合がこれにあたります

⑤暴行・監禁等

技能実習生に対して、暴行や監禁を行った場合

⑥旅券・外国人登録証明書の取上げ

技能実習生の旅券・外国人登録証明書を取り上げている場合

例えば、受入れ機関が、逃走防止などと称して旅券や外国人登録証明書を保管していた場合がこれにあたります。

これは、紛失防止のための保管であっても、実質的には逃走防止のためのパスポート取り上げが横行したために設けられています。したがって、技能実習生の人権を守る観点から、本人の申し出があった場合であっても、実習実施機関が保管することは禁止されています。

⑦賃金の不払い

技能実習生に支払う賃金の一部、または全部を支払っていない場合

⑧その他人権侵害行為

技能実習生に対して、悪質な人権侵害行為を行う、あるいは技能実習制度に対する信頼に重大な影響を与えた場合

⑨報告義務違反

技能実習生の失踪等の問題が発生した事実について、入国管理局に届け出ていなかった場合

例えば、実習生が失踪したのにもかかわらず、これを届け出ることなく、失踪した実習生が摘発されるなどして初めて、失踪していたことが地方入国管理局等に明らかになった場合がこれにあたります。

⑩失踪者の多発

直近の失踪者が発生した前の1年間で、受け入れた技能実習生が50人以上の機関において、そのうちの20%以上の技能実習生が失踪した場合

前1年間に受け入れた技能実習生が50人未満である機関については、10人以上の技能実習生が失踪した場合、あるいは、失踪者が10人未満であっても、その失踪者数が受け入れた技能実習生の半数を超えていた場合

もし出てしまったときは、地方入国管理局に失踪届を提出します。そして、技能実習生が事件に巻き込まれた場合もあることから、警察にも届け出ましょう。

⑪不法就労者の雇用

実習実施機関で、不法就労者を雇用した場合

⑫労働関係法規違反

実習実施機関で、技能実習生に係る労働関係法規に違反があった場合

残業代など所定の割増賃金を支払っていなかったり、最低賃金を満たしていなかったりした場合がこれにあたります。

⑬その他、外国人の就労に係る不正な行為

実習実施機関など技能実習に関与する機関が、不法就労者の雇用をあっせんする、あるいは不法就労活動を容易にするなどの外国人の就労に係る不正な行為を行った場合

⑭再度の不正行為に準ずる行為

「不正行為に準ずる行為」に認定された後、改善策を提出して、改善が認められて技能実習生の受入れを再開したものの、その後概ね3年以内に再度「不正行為に準ずる行為」に該当する行為を行った場合

3.罰則

「不正行為」を行ったと認定された機関は、技能実習生の受入れが一定期間(行為の重大性に応じて5年、3年又は1年の期間)停止されます。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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