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監理団体による技能実習生受け入れ企業に対する監査方法
外国人技能実習生を企業が受け入れる方式は、「企業単独型」と「団体監理型」があります。
①「企業単独型」:日本の企業等が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式
②「団体管理型」:非営利の監理団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等で技能実習を実施する方式
今回は監理団体による監査方法について解説します。
監査には定期監査と臨時監査があります。まずは定期監査から見てみましょう。
1. 定期監査
(1)定期監査について
監査は、監理責任者の指揮の下で、3か月に1回以上の頻度で、実習実施者に対して行われます。
監査を行った場合には、監査報告書及び監査実施概要により、その結果を、監理事業所別に、管轄の機構指導課に報告します。
割増賃金の不払、労働時間の偽装、技能実習計画とは異なる作業への従事、実習実施者以外の事業者での作業従事、不法就労者の雇用、入国後講習期間中の業務への従事などが、運用上問題が生じやすい部分として、重点的に確認されます。
(2)監理団体が監査において確認する内容について
監査の際には、原則として、
①技能実習の実施状況を実地に確認すること
②技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること
③技能実習生の4分の1以上と面談すること
④実習実施者の事業所の設備、帳簿書類等を閲覧すること
⑤技能実習生の宿泊施設等の生活環境を確認すること
が求められています。
技能実習生が従事する業務の性質上①~⑤の方法によることが著しく困難な場合には、実地での確認を省略する代わりに、技能実習生に対し実習現場近くで面談して話を聴く等の他の方法で監査をします。
①~⑤の方法によることが著しく困難な場合とは、例えば、次に記載するような場合などで、やむを得ない場合に限られます。
● 安全上の観点から立入りができず、技能実習生の稼働状況を遠目に見ることも困難な建設現場での実習の場合
● 衛生上の観点から従業員以外の立入りが禁止されている食品工場での実習の場合
● 技能実習生との面談については、複数の技能実習生に対して集団で面談する方法なども可能です。また、面談の全ての過程を口頭による必要はなく、その場で簡単な質問票を配付して回答を得た上で、回答を踏まえ項目を絞って面談を行うような方法でも問題ありません。
● 1回の監査につき技能実習生の4分の1以上と面談しなければなりません。
また、年4回の監査によってできる限り全ての技能実習生と面談することが望まれます。
● 受け入れている技能実習生が1人など少数の場合には、技能実習生が監査当日病気等の事情で欠勤したことにより、監査の訪問時に所定の数の技能実習生との面談が難しい場合には、次回の監査などの際に当該技能実習生と必ず面談できるよう調整するといった対応をすることも可能になっています。
● 技能実習生との面談においては、技能実習生の日本語の理解能力に応じて、通訳人を使用したり、「最近どこでどんな仕事をしていますか」「先月の給料はいくら受け取りましたか」といった平易な日本語を用いて質問をすることで、技能実習生に理解させて回答させることが必要です。
● 事業所の設備・帳簿書類の確認に当たっては、例えば以下のような点が確認されます。
・技能実習計画に記載された機械、器具等の設備を用いて、安全衛生面に配慮して、技能実習計画に記載されたとおりに技能実習が行われているかどうか
・賃金台帳、タイムカードなどから確認できる技能実習生に対して支払われた報酬や労働時間が技能実習計画に記載された内容と合致しているかどうか
・技能実習生に対する業務内容・指導内容を記録した日誌から、技能実習生が技能実習計画に記載された業務を行っているかどうか
● 宿泊施設等の生活環境の確認に当たっては、例えば以下のような点が確認されます。
・宿泊施設の衛生状況が良好であるかどうか
・宿泊施設の1部屋当たりの実習生数が何名となっているか
・不当に私生活の自由が制限されていないか
● 宿泊施設が離れた場所で複数に分かれており、毎回全てを確認することが困難な場合には、複数回の定期監査に分けて各宿泊施設を訪れ、できる限り全ての宿泊施設に訪問されます。
2. 臨時監査
3か月に1回の定期監査とは別に、実習認定の取消し事由のいずれかに該当する疑いがあると監理団体が認めた場合には、直ちに臨時の監査を行われます。
例えば、実習実施者が認定計画に従って技能実習を行わせていないなどの情報を得たとき、実習実施者が不法就労者を雇用しているなど出入国関係法令に違反している疑いがあるとの情報を得たとき、実習実施者が技能実習生の労働災害を発生させたなど労働関係法令に違反している疑いがあるとの情報を得たときなどです。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応