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監理団体・実習受け入れ企業の禁止事項と罰則

技能実習制度には、技能実習生を保護するために、監理団体や実習受け入れ企業に様々な禁止事項が設けられており、その禁止事項に抵触すると罰則もあります。

 

技能実習生のためを思ってしたことであっても禁止事項にあたることがあります。
したがって、どのような行為が禁止事項なのかを知ることはとても重要です。

1. 監理団体・受け入れ企業の役職員の禁止事項

① 暴行・脅迫・監禁等による実習の強制

暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、技能実習生の意思に反して技能実習を強制すること。

これに違反した場合には、1年以上10年未満の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金の対象になります。

② 違約金・損害賠償予定、強制貯金

技能実習生及びその家族・親族等に対し、技能実習に係る契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をすること。
技能実習生等に技能実習に係る契約に付随して貯蓄の契約をさせ、又は技能実習生等との間で貯蓄金を管理する契約をすること。
これに違反した場合には、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金の対象となります。

 

また、監理団体が外国の送出機関に対して違約金等の設定を行うことは、技能実習生等との直接の契約でなくとも、違約金を払う立場の外国の送出機関が技能実習生等から保証金や高額な手数料等を徴収するおそれがあるため、技能実習生の保護の観点から禁止されています。

 

この禁止事項を知らないと、技能実習生の無駄遣い防止のために、貯金をしてあげようとしてしまいがちなので、注意が必要です。

③ 在留カード・パスポートの保管、私生活の不当な制限

これも注意が必要です。技能実習生が失くすといけないからと保管するのは禁止です。
技能実習生の旅券や在留カードの保管や外出等の私生活の自由の制限は、技能実習生の国内における移動を制約することで実習実施者における業務従事の強制等の問題を引き起こし、技能実習生の意思に反する恐れがあるので、禁止されています。
解雇その他の労働関係上の不利益又は制裁金の徴収その他の財産上の不利益を示して、技能実習が行われる時間以外における他者との通信・面談・外出の禁止する行為も禁止事項です。
6月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。

 

④ 技能実習生は監理団体や実習受け入れ企業がこれらの不正をした場合は、その事実を機構に申告することができます。

また、この申告をしたことを理由に、技能実習生に対して不利益な取扱いをすることは禁止されています。
違反した場合は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金の対象です。

2. 技能実習生の受け入れに関する「不正行為」の例

不正行為にあたる場合は、監理団体・受け入れ企業には受け入れの停止処分が科されます。

①賃金等の不払い(5年間停止)

技能実習生に対する手当又は報酬の一部又は全部を支払わなかった場合です。これは、勘違いによる計算ミスも含まれる場合もあるので、注意が必要です。

ですから、時間外労働や休日出勤があった場合に、労働基準法第37条に規定する割増賃金として給与計算することを怠らないようにしましょう。

当然、サービス残業は日本人労働者と同様、認められません。

②人権を著しく侵害する行為(5年間停止)

例えば、暴言を繰り返し浴びせるなどし、技能実習生から人権侵害の被害を受けた旨の申告があり、人権擁護機関において人権侵犯の事実が認められた場合や実習実施機関が技能実習生の意に反して預金通帳を取り上げていた場合です。

③技能実習生やその家族等から保証金の徴収等(5年間停止)

技能実習生やその家族、その他技能実習生と密接な関係がある者が、送出し機関や監理団体、実習実施機関等から保証金や違約金が徴収されることです。

④実習継続不可能時の報告不履行(3年間停止)

例えば、技能実習生が失踪したのにもかかわらず、これを届けることなく、失踪した技能実習生が摘発されるなどして初めて、失踪していたことが地方入国管理局で明らかになった場合です。監理団体や実習実施機関の責めに帰すべき理由がある失踪の場合は、罰則があるので、これを隠すために報告をしないということはやめましょう。

⑤ 帰国時の報告不履行(1年間停止)

監理団体において、技能実習生の技能実習活動終了後の帰国に係る地方入国管理局への報告を怠っていた場合です。
監理団体が、技能実習活動後に技能実習生が帰国していないことを知りながら、技能実習生が帰国した旨の虚偽の報告を行った場合は「偽変造文書等の行使・提供」になり、5年間の停止処分があります。

 

このように禁止事項をした場合は、禁止事項をした役職員に懲役や罰金の刑罰のほか、行政罰として、受け入れ停止処分もあるので、十分に注意することが必要です。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
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