技能実習生来日後のスマホ・携帯電話契約について
技能実習生が来日したら、連絡手段としてスマートフォンや携帯電話が必要になるでしょう。
今回は、技能実習生が来日後に必要なスマホ・携帯電話契約についてご紹介します。
1.技能実習生にスマホ・携帯電話を持たせる必要性
技能実習生が来日して、まず困ることの上位に上がるのが、スマホ・携帯電話です。
技能実習生として、もっとも多く来日する国はベトナムです。
そのベトナムでのスマートフォンの普及率は、およそ6割です。
携帯電話を含めると9割以上の人が所持しています。
特に、若い世代が多い技能実習生は、ほとんどの人がスマートフォンを使っており、もはや開発途上国でも生活必需品といえるでしょう。
技能実習生の多くは、初の海外で日本には知り合いもいないという人が多く、異国地である日本ではとても不安があります。そのような中、家族・友人といつでも連絡が取れるスマホは、とても重宝されます。
少しずつ無料Wi-Fiが街中には増えてきましたが、多くの技能実習生が働く地方にはまだまだ足りないのが現状です。
また、受け入れ企業側としても、何かあった時に技能実習生とすぐに連絡が取れないのは不便な場面もあるでしょう。
このような状況から、技能実習生にスマホ・携帯電話を持たせた方がよいとは言えますが、そもそも、技能実習生に受け入れ企業が支給する義務はあるのでしょうか。
結論は、実習に必要がなければ、支給する義務はありません。
実習に必要がなければ、新たに日本で携帯電話の契約をするかは、個人の自由ということになっています。
2.スマホ・携帯電話の契約
技能実習生に、会社がスマホ・携帯電話を渡す場合は、会社が契約の主体となる法人契約をすれば問題はないでしょう。
しかし、「仕事では携帯電話が不要だから、欲しければ自分で契約して」というスタンスであれば、契約は個人になってくると思います。
ところが、技能実習生にとっては、この個人契約で様々な問題が生じてしまうケースがあります。
①ケース1 契約内容を理解できていなかった
技能実習生は来日前にも日本語の勉強をしてきますが、習得できているのは簡単な日常会話レベルであり、あまりレベルの高い日本語までは習得できていません。
したがって、契約時に出てくるような難解な法律用語はもちろんのこと、専門用語が出てくるプランの説明までをしっかりと理解できない場合もあります。
契約内容をしっかり理解しないで契約してしまうと、実は通話料が無料ではないプランだったのに、本人は無料と勘違いして、何時間も電話をしてしまい、高額請求が来た。
海外への通話も無料と勘違いして、家族に何度もかけてしまった。
契約内容を理解していないと、このようなトラブルが生じてしまうことにも繋がります。
②ケース2 電話代を滞納していた
開発途上国の場合、日本のような継続的な契約をして携帯電話を使用するというより、プリペイドカードを随時買い、使い切ったらまたプリペイドカードを買うというシステムを取っているケースが多くあります。
そのようなシステムに慣れている場合、請求書が来ても、よく意味が分からず放置してしまい、延滞料金が発生してしまったというケースがあります。
スマホの本体も分割して支払っている場合は、さらに延滞料金が重なり、高額請求が来て初めて相談に来たのでは、なかなか対処が難しいでしょう。
3.トラブルを未然に防ぐためにも
日本で働いて、技術を身に着け、稼いだお金も母国の家族に送って、生活を支えたいと思っていたにも関わらず、高額に膨らんだ電話代にお給料が消えて行ってしまうのでは、本人の仕事へのモチベーションはなかなか上がらないでしょう。
したがって、このようなトラブルが生じてしまうと、受け入れ企業側にもマイナスとなります。
このようなトラブルが生じてしまわないように、個人契約の場合は、できれば一緒に契約に行ってあげるのがよいでしょう。そして、わかりやすく契約内を説明し、技能実習生本人が理解した上で、使用させるのがよいでしょう。
また、事前に契約する会社として、大手キャリアにするのか格安スマホにするのかなどを教えてあげるのもよいでしょう。
宿舎にWi-Fiがあれば、スマホは宿舎や無料Wi-Fiがあるお店等で利用してもらい、外では通話のみの携帯電話でも良いのかもしれません。
いずれにしても、本人が理解し、安心して契約できるようにしましょう。
支払えないほどの高額請求というところまで来てしまうと、その請求から逃れようと失踪なんてことになってしまうことは、絶対に防がなくてはなりません。
なお、このようなトラブルを防ぐために、技能実習生に対して,携帯電話の所持を禁止すること等により親族や友人等との連絡を困難にさせることは、不適切な方法による管理に当たりますので、注意してください。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応