技能実習責任者になるためには責任者講習の受講が必要
技能実習制度を利用して技能実習生を受け入れるにあたり、実習実施機関は技能実習責任者を配置しなければなりません。
技能実習責任者は、責任者講習というものの受講が必須となっています。
今回は、技能実習責任者と責任者講習について解説します。
1.技能実習責任者とは?
技能実習責任者とは、技能実習指導員や生活指導員、その他の技能実習に関与する職員の監督や技能実習の進捗状況などを管理する人のことをいいます。
技能実習責任者は、次に掲げる事項を統括管理することとされています。
①技能実習計画の作成
②技能実習生が修得等をした技能等の評価
③法務大臣及び厚生労働大臣若しくは機構又は監理団体に対する届出、報告、通知その他の手続
④帳簿書類の作成・保管、実施状況報告書の作成
⑤技能実習生の受入れの準備
⑥監理団体との連絡調整
⑦技能実習生の保護
⑧技能実習生の労働条件、産業安全及び労働衛生
⑨国及び地方公共団体の関係機関、機構その他関係機関との連絡調整
技能実習責任者になることができる条件は、実習実施者又はその常勤の役員若しくは職員である者であって、自己以外の技能実習指導員、生活指導員その他の技能実習に関与する職員を監督することができる立場にある者であることが必要になります。
上記条件を備えた者が、技能実習養成講習を受講・修了することで技能実習責任者になることができます。
ただし、養成講習は過去3年以内に修了していなければいけません。
また、以下の項目に該当する人は、技能実習責任者になることができません(欠格事由)。
①禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終えた日から5年を経過していない者
②過去5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しい不当な行為をした者
③未成年者
なお、技能実習責任者、技能実習指導員及び生活指導員を兼任することは、それぞれの要件を備えた上であれば、兼務することは可能です。
技能実習責任者 |
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役割 |
技能実習指導員や生活指導員、その他の技能実習に関与する職員の監督や技能実習の進捗状況などを管理 |
統括管理事項 |
①技能実習計画の作成 |
条件 |
①実習実施者又はその常勤の役員もしくは職員である者 |
2.技能実習責任者になるための責任者講習とは?
技能実習責任者講習の対象は、技能実習生を受け入れて技能実習を行わせている者又は行わせようとする者により、技能実習責任者に選任されている者になります。また、その他技能実習責任者講習を受講して、一定水準の知識を習得し、理解を深めようとする者も対象となります。
技能実習法では、実習実施者において技能実習を行わせる事業所ごとに選任される技能実習責任者に、3年ごとに、主務大臣が適当と認めて告示した講習機関(養成講習機関)によって実施される講習(養成講習)の受講を義務付けています。
この養成講習の講習時間は6時間で、途中休憩を挟み、朝から17時頃まで行われるのが一般的なスケジュールですが、1日で終わります。
内容は「技能実習法」、「入国管理法」、「労働関係法令」、「技能実習指導の行い方」、「労働災害防止・労働災害時対応」を学びます。
最後に10分間の理解度テストを行い、70点以上を取れれば、合格となり、受講証明書が交付されます。その日のうちに採点されます。
この受講証明書が、3年ごとの受講義務の履行の証しとなります。技能実習計画認定申請書類に技能実習責任者の「受講証明書」の写しを添付する必要があります。
講習開催地は、全国の地域ごとに実施されています。
責任者講習 |
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対象 |
①技能実習生を受け入れて技能実習を行わせている者又は行わせようとする者により、技能実習責任者に選任されている者(選任予定の者も含む。) |
講習時間 |
6時間(途中休憩含まず) |
講習内容 |
①「技能実習法」 |
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応