技能実習生を面接するときのポイントとは?
送り出し機関で募集を行い、その中から技能実習生の面接をします。
面接は、現地で行う場合もあれば、Skypeなどの映像による面接の場合もあるでしょう。
時間もお金もかかるため、現地に行って面接すべきなのかを迷われている方も多いのではないでしょうか。
また、人事に長く携わってきた方でも、外国人の技能実習生の面接では、何を聞いたら良いのか、どういった点がポイントとなるのかなどについて、不安を持たれる方も多いようです。
そこで今回は、技能実習生の面接のポイントについて解説します。
1.面接の方式
SkypeやZOOMを使った面接と合わせ、候補生の普段の生活を映したビデオを見て、採用を決める企業は増えています。しかし、大半の受け入れ企業は、現地に行って実際に会う形式の面接をしています。
技能実習生は、職種によって最長で5年間実習が可能なので、長く働いてもらうことになります。また、実習には実習生の渡航費や教育費などの諸経費も多くかかるので、ミスマッチはなるべく防ぎたいところです。
実際に会う面接と、映像による面接では、お互いの印象がどうしても変わってきます。また、現地に行って候補生がどのような教育を受けているのか、どのような気候や環境で生活しているのかを、実際に見て感じなければわからないこともあります。
したがって、直接面接をする形式の方が好まれています。
なお、実際に現地に行き、面接を行う際は、多くが2泊3日以上の日程を組んでいます。面札に参加する人数は2人以上が多いです。
面接は、候補生が多い場合には、一次面接は集団で行い、二次面接で個人面接を行うところが多いです。面接終了後、内定者に対し、詳しい雇用条件書や雇用契約書の内容を確認してもらい、認識の齟齬をなくしていきます。雇用条件や雇用契約書は、内定者がわかる言語で書き、内容もわかる言語で、しっかりと理解してもらうことが必要です。
2.面接での質問
面接では、予め用意できるような質問に偏らず、その候補生しか経験できなかった点にについて聞くことも忘れないようにしましょう。例えば、「今までで一番苦労したこと」といった質問は個人の経験によって変わってきます。答えに対して、さらに深い質問もすることもできます。
また、仕事の経験がある場合は、過去の経験を踏まえて日本でしたいことや仕事でのミスの対処の仕方などを聞くとよいでしょう。転職が多い場合には、転職理由も聞くことを忘れないようにすることが必要です。転職理由が飽きっぽい性格による場合は、注意しましょう。
なお、ほとんどの候補生は、実際に日本に来たことはありません。したがって、日本へのイメージは漠然としたものでしょう。また業務に対しても、実際にその業務を見聞きすることもなく、日本で就活生が調べるようにはいきません。したがって、業務に関しても漠然としたものになっているので、「日本に来て何がしたいか」や「業務へのイメージ」を質問したとしても、あまり参考にならないでしょう。
3.面接で実施した方がいいテスト
建設業や農業、漁業などの職種で体力が重視されるような作業をしてもらう場合は、体力テストを実施する企業は多いです。面接室なので、腕立てや腹筋を限界までやってもらう又は3分間で何回できるかというテストを実施する担当者もいます。
また、手先の器用さが求められる作業をしてもらう場合は、実際の作業の一部をやってもらう方法も取られます。質を重視するのか、速さを重視するのかによって、選考基準が変わってくるので、時間制限内での出来具合を見るとよいでしょう。
4.面接でのポイント
質問に対する返答内容のみならず、質問をしたときや他の候補生が答えているときの表情や様子なども見ておくとよいでしょう。
また、面接の際に、日本での技能実習作業での辛い点もしっかり伝えましょう。
「高所でやる作業は知っていたけど、想像と違っていた。」「寒い時期や雨の日でも外で作業するとは知らなかった。」などの認識の齟齬は避けたいところです。
残業や休日の取り方についても説明しておくのが望ましいです。
技能実習生は、日本に友達がいない人が多いため、同じ職場の人と集団で、しかも、まとまった休みを取りたがる傾向がありますが、職種によっては、まとめて取られると厳しいところもあるでしょう。そういった企業では、休みを分散・別々に取って欲しいなど、あとでトラブルになりそうな点については、面接時に伝えておく方がトラブル防止の観点から望ましいでしょう。
面接時点では、まだ日本語はほとんど話せません。日本に行くことが決まってから必死に日本語を勉強していきます。送り出し機関によっては、平日は外出させず、朝から晩まで日本語の勉強をさせるところもあり、忍耐力がいります。
今までの経験を活かせる即戦力となる技能実習生はほとんどいないため、面接では、この人はこれからいろんなことを勉強・吸収して成長できるかという観点から、選考することをお勧めします。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応