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技能実習生も同一労働同一賃金の対象になるか?

「安い労働力として技能実習生を受け入れたいのだから、技能実習生には、最低賃金以上を支払っていればよく、同一労働同一賃金の制度は適用されないんじゃないの?」

「そもそも、外国人には同一労働同一賃金制度の適用はあるのか?」

 

このような疑問を持たれている人もいるかと思います。

 

結論からいうと、技能実習生にも同一労働同一賃金の制度は適用されます。

この制度は、外国人か否かという区別は設けていないので、注意してください。

 

それでは、この点に関し、詳しく見てみましょう。

1.同一労働同一賃金とは

同一労働には同一賃金ということは、その言葉の通りわかりやすいと思いますが、実際にパートタイマーも対象になるのか、いつから施行されるのか等を知らない方も多いのではないでしょうか。

同一労働同一賃金とは

同一労働同一賃金とは、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

 

同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにすることを目的としています。

 

ここでいう不合理な待遇差というのは、責任の程度も仕事内容も同じなのに、待遇が異なる場合をいいます。したがって、責任の程度の差に応じた待遇差にすることには何ら問題ありません。

対象者

非正規雇用労働者というのは、有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者、嘱託社員が該当します。ですから、有期雇用労働者である技能実習生も同一労働同一賃金の対象になります。

施行日

パートタイムと有期雇用の場合は、大企業に関しては、すでに施行されており、中小企業の場合は、2021年4月1日より施行されます。派遣社員の場合は、2020年4月1日より施行されています。

 

中小企業の範囲については、「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者の数」のいずれかが以下の基準を満たしていれば、中小企業に該当すると判断されます。なお、事業場単位ではなく、企業単位で判断されます。「常時使用する労働者」の数は臨時的に雇い入れた労働者を除いた労働者数で判断します。

業種

資本金又は出資総額

常時使用する労働者数

小売業

5000万円以下

50人以下

サービス業

5000万円以下

100人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

その他
(製造業、建設業、運輸業、その他)

3億円以下

300人以下

技能実習生との関係で特に違法となりやすいケース 通勤手当の格差

精勤・皆勤手当ての格差

これらに不合理な待遇差がある場合には、是正することをおすすめします。

違反した場合

違反した場合は、技能実習生側から損害賠償を請求される可能性があります。

2.技能実習生への適用

上で述べたように、パートタイム・有期雇用労働法は、外国人労働者にも適用されます。

技能実習生は事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者ですので、有期雇用労働者に該当します。

1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い場合には短時間労働者にも該当します。

したがって、技能実習生も、その他の短時間・有期雇用労働者と同様に、不合理な待遇差の解消に向けた取組の対象となります。

 

ただし、技能実習生の場合は、技能実習計画をもとに実習しており、その業務を日本人が担当していないというケースも多いでしょう。そのような場合には、同一賃金にする必要はないのではないかという疑問が出てくるかと思います。

 

そのような場合は、近い業務をやっている日本人と比べるのがよいでしょう。

日本人と全く同じ業務ではないとしても、技能実習生が似たような業務をやっているのに、待遇が全然違うというのでは、違法とされる可能性が高くなります。

 

なお、実習実施者(技能実習生の受入企業等)が外国人技能実習機構に提出する技能実習計画の認定基準には、報酬が日本人と同等以上であること等、技能実習生の待遇に関する要件があり、技能実習計画の申請書において、報酬の額が日本人と同等以上であることを説明する書類等を添付する必要があります。

 

また時間外・休日・深夜割増賃金に関しては、法定されていますので、技能実習生にも割増賃金分を支払うことが必要です。

割増賃金の支払いが必要な場合の割増賃金率

① 時間外労働 法定労働時間を超えて労働させた場合 25%以上

② 休日労働 法定休日に労働させた場合 35%以上

③ 深夜労働 深夜時間帯(午後10時から午前5時まで)に労働させた場合 25%以上

④ 時間外労働が深夜時間帯に及んだ場合(時間外労働+深夜労働) 50%以上

⑤ 休日労働が深夜時間帯に及んだ場合 (休日労働+深夜労働) 60%以上

 

いずれにせよ外国人材は「安く使える」という時代はすでに終わっておりますので、業務・責任に応じた適正な待遇を設けるようにして下さい。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
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