技能実習生の来日費用はどのくらいかかる?
技能実習生を雇いたいけど、来日費用が気になるという方は多くいらっしゃいます。
技能実習生の受け入れ費用は、受入れ業種、人数、雇用地域、人数によって、変わってくるものの、一つの指標として、実際に何にどのくらいの費用がかかるのかを知ることは意義があるでしょう。
1.来日・技能実習開始までの費用
(1)事前訪問費用
技能実習生を選考するにあたっては、実際に海外まで会いに行く方法と、SkypeやZOOMなどを用いてオンラインで面接をする方法があります。実際に海外まで行き、面接と送り出し機関での教育を視察するのであれば、滞在費用等がかかります。この費用は、渡航先や航空会社やホテルのグレードによって大きく変わってきますが、2人の職員を派遣して、2日間視察等を行う場合の標準的な価格は以下の通りです。
●視察費用(渡航費・宿泊費・現地食事代など)…約30万円
(2)入国準備費用
技能実習生の採用後、入国までにかかる費用です。送り出し機関によって費用は変動しますが、かかる主な項目と実習生一人にかかるおおよその費用は以下の通りです。
●教育費用…約2万円
●在留資格申請認定・取次費用…5~10万円
●渡航費…3~5万円(地域・時期によって上下)
●雇い入れ前健康診断費用…約1万円
●技能実習生総合保険料(37ヵ月分)…2~6万円
●監理団体出資金…1~5万円
(3)入国後
入国してから実際に実習をするまでに160時間~320時間、原則2ヵ月は座学で日本語講習を受け、この講習中は雇用関係がありません。この期間の生活費用も受け入れ機関が負担します。
費用が掛かる主な項目とおおよその費用は以下の通りです。
●研修費…約10万円
●雇い入れ後健康診断受診費用…約1万円
●講習期間生活手当(水道光熱費、寮費)など…約5万円
2.実習開始後の費用
まずは、日本人を雇った場合と同じく、給与や健康保険料、労働保険料、通勤代などがかかってきます。また、団体監理型で技能実習生を受け入れた場合は、この他に、監理団体へ支払う監理費や送り出し機関へ支払う送り出し管理費がかかります。
給与等とは別に技能実習生かかる主な費用とその項目は以下の通りです。
●監理費(年額)…約60万円
●送り出し機関の管理費(年額)…約12万円
●技能検定料…約2万円
●帰国費用…約10万円
これらをまとめると、技能実習生一人当たりにかかる費用は、
初期費用は、約20万 〜 約30万円
実習開始までの費用は、約15万円
実習開始後の費用は、約80万円
となります(費用は概算で、送り出し機関や監理団体によって変動します)。
JITCOを利用する場合はさらに費用がこれにプラスされます。JITCOのサポートを受入れる場合には、年会費10万円~30万円が別途必要になります。
良い人材に来てもらうためには、費用だけで監理団体や送出し機関を選定しないようにしましょう。監理が適切でなく、技能実習生が途中で帰国してしまった場合には大きな損失になりかねません。
2.技能実習制度の概要
(1)目的
日本の企業等で技術、技能又は知識を修得するために外国人を受入れ、技能実習を通じて技能実習生の人材育成と日本で修得した技術の母国への移転を図るという人的な国際貢献を目的としています。
(2)技能実習制度の区分
実習期間は技能実習1号→2号→3号へ移行することで、延長されていきます。
技能実習生を受け入れ方式、区分について見ましょう。
受け入れ方式
①「企業単独型」:日本の企業等が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式
②「団体管理型」:非営利の監理団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等で技能実習を実施する方式
「企業単独型」は、自社で技能実習生を受け入れ、監理まで行うため、遵守事項や提出書類が多く、大企業向けのものとなっています。
企業単独型による場合は、「技能実習イ」という在留資格になります。
「団体管理型」は技能実習生の受け入れはある程度、監理団体に任せればよいので、海外に拠点がない企業でも、技能実習生を受け入れやすくなるというメリットがあります。したがって、技能実習生を受け入れるほとんどの企業は、監理団体を通じての「団体監理型」によっています。
団体管理型による場合は、「技能実習ロ」という在留資格になります。
受け入れ方式ごとの区分
上記の受け入れ方式と技能実習生の入国年数に応じて在留資格の「技能実習」の区分は以下の6つに分類されます。
入国1年目 | 入国2~3年目 | 入国4~5年目 | |
---|---|---|---|
企業単独型 | 技能実習1号イ | 技能実習2号イ | 技能実習3号イ |
団体監理型 | 技能実習1号ロ | 技能実習2号ロ | 技能実習3号ロ |
第1号技能実習から第2号技能実習、第3号技能実習へ移行する際、在留資格の変更が必要になります。また同じ在留資格で在留期間を延長する場合は、更新申請が必要となり、それぞれ申請手数料4,000円がかかります。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応