技能実習生の優良実習実施者とは
優良実習実施者になると、次のメリットがあります。
①第2号技能実習を修了した技能実習生が、さらに技能等を熟達させるため、第3号技能実習に移行することができるようになる
②技能実習生の受入れ人数枠を拡大することができる
今回は、技能実習生の優良実習実施者について解説します。
「優良実習実施者」とは、新たな外国人技能実習制度で設けられたもので、要件を満たすと先ほど述べたようなメリットがあります。詳しく見てみましょう。
メリット① 実習期間が5年間に延長
第2号技能実習から第3号技能実習に移行する際の要件として、「優良要件への適合」があります。この優良要件への適合として、実習実施者は「優良な実習実施者」の要件を満たす必要があります。
次の得点表で加算していき、得点が満点(120点)の6割(72点)以上となる実習実施者が、優良な実習実施者の基準に適合します。
①技能等の習得等に係る実績【最大70点】 |
配点 |
---|---|
Ⅰ 過去3年間の基礎級程度の技能検定等の学科試験及び実技試験の合格率 |
95%以上:20点 |
Ⅱ 過去3年間の2・3級程度の技能検定等の実技試験の合格率 |
80%以上:40点 |
Ⅱー2(1)直近過去3年間の3級程度の技能検定等の実技試験の合格実績 |
・合格者3人以上:35点 |
Ⅱー2(2)直近過去3年間の2級程度の技能検定等の実技試験の合格実績 |
合格者2人以上:5点 |
Ⅲ 直近過去3年間の2・3級程度の技能検定等の学科試験の合格実績 |
合格者2人以上:5点 |
Ⅳ 技能検定等の実施への協力 |
有:5点 |
②技能実習を行わせる体制【最大10点】 |
配 点 |
Ⅰ過去3年以内の技能検定実習指導員の講習受講歴 |
全員有:5点 |
Ⅱ過去3年以内の生活指導員の講習受講歴 |
全員有:5点 |
③技能実習生の待遇【最大10点】 |
配 点 |
Ⅰ第1号技能実習生の賃金(基本給)のうち最低のものと最低賃金の比較 |
115%以上:5点 |
Ⅱ技能実習生の賃金に係る技能実習の各段階の昇給率 |
5%以上:5点 |
④法令違反・問題の発生状況【最大5点】 |
配 点 |
Ⅰ過去3年以内に改善命令を受けたことがあること(旧制度の改善命令相当の行政指導を含む。) |
改善未実施:-50点 |
Ⅱ過去3年以内における失踪がゼロ又は失踪の割合が低いこと(旧制度を含む。) |
ゼロ:5点 |
Ⅲ 過去3年以内に責めによるべき失踪があること(旧制度を含む。) |
該当:-50点 |
⑤相談・支援体制【最大15点】 |
配 点 |
Ⅰ 母国語相談・支援の実施方法・手順を定めるマニュアル等を策定し、関係職員に周知していること |
有:5点 |
Ⅱ 受け入れた技能実習生について、全ての母国語で相談できる相談員を確保していること(旧制度を含む。) |
有:5点 |
Ⅲ 過去3年以内に、技能実習の継続が困難となった技能実習生に引き続き技能実習を行う機会を与えるために当該技能実習生の受入れを行ったこと |
有:5点 |
⑥地域社会との共生【最大10点】 |
配 点 |
Ⅰ 受け入れた実習生に対して、日本語の教育の支援を行っていること |
有:4点 |
Ⅰ 受け入れた実習生に対して、日本語の教育の支援を行っていること |
有:3点 |
Ⅲ 日本の文化を学ぶ機会をアレンジしていること |
有:3点 |
メリット② 受入れ人数枠の拡大
技能実習生の受入れ人数には実習実施者の規模に応じて上限があります。優良実習実施者の場合は、基本の人数枠より人数枠が拡大され、より多くの技能実習生を雇うことが可能になっています。
優良基準適合者(団体管理型) | ||
第1号(1年間) |
第2号(2年間) |
第3号(2年間) |
---|---|---|
基本人数枠の2倍 |
基本人数枠の4倍 |
基本人数枠の6倍 |
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応