トップページ > 技能実習コラム > 技能実習生の年末調整手続き方法

技能実習生の年末調整手続き方法

「技能実習生を受け入れたけど、年末調整はどうすればいいの?」と悩む担当者も多いのではないでしょうか。外国人技能実習生の場合は、母国に扶養家族がいることも多く、そのことを証明する書類の収集に時間がかかります。したがって、12月の年末調整ぎりぎりになって準備するのではなく、前もって準備をすすめたいところです。

 

ここでは、技能実習生の年末調整手続きの方法を紹介します。

1.年末調整対象者

12月に行う年末調整の対象となる人は、会社などに1年を通じて勤務している人や、年の中途で来日し、年末まで勤務している人です。

 

ただし、次の二つのいずれかに当てはまる人は除かれます。

 

(1)1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人

(2)災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人

 

このように税金の取り扱いについては、日本人と同じになります。

 

12月の年末調整前に技能実習生が帰国する場合は、12月を待たずに年末調整をします。

これも、日本人が12月の年末調整前に退職する場合と同様になります。

2.年末調整の流れ

① 給与所得者の扶養控除等申告書を提出する

② 給与所得の源泉徴収税額表によって源泉徴収を行う

③ 納付すべき所得税の精算を行う

3.扶養控除

外国人技能実習生の場合、母国に住んでいる家族を扶養している場合も多いと思います。

その場合には、年末調整で扶養控除を受けることができます。

 

(1)扶養控除の要件

①配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。

 

②納税者と生計を一にしていること。(必ずしも一緒に住んでいる必要はなく、技能実習生が親族に生活費相当額を海外送金していれば、この要件を満たします。)

 

③年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。

 (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

 

(2)扶養控除額

控除額は、扶養親族の年齢、同居の有無等により次の表のとおりです。

区分

控除額

一般の控除対象扶養親族(※1)

38万円

特定扶養親族(※2)

63万円

老人扶養親族(※3)

同居老親等以外の者

48万円

 

※1 「控除対象扶養親族」とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます。

※2 特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人をいいます。

※3 老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。

技能実習生が同居の為に家族を呼び寄せることはできません。

 

(3)提出書類

親族関係書類:次の①または②のいずれかの書類で、国外居住親族が居住者の親族だと証明できる書類

①以下のa+b(a、bのどちらかのみでは認められません)

a.戸籍の附票の写しその他国または地方公共団体が発行した書類でその国外居住の扶養親族が、申告者の親族であることを証するもの

b.国外居住の扶養親族のパスポートの写し

② 外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類で、その国外居住の扶養親族が申告者の親族であることを証するもの

(その親族の氏名、住所および生年月日の記載があるものに限る)

送金関係書類:次の①または②のいずれかの書類で、申告者がその年において国外居住親族の生活費または教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにする書類です

(該当の年分ごと、各扶養親族ごとに必要です)。

①金融機関の書類またはその写しで、その金融機関が行う為替取引により申告者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類(外国送金依頼書の控えなど)

②クレジットカード発行会社の書類またはその写しで、申告者がクレジット会社と契約を締結し、国外居住者が使用するために発行されたカードでその支払を申告者がすることとしているものに係るもの

「給与所得者の扶養控除等申告書」:書類提出時に親族関係書類、年末調整を受ける際に送金関係書類を提出

「従たる給与についての扶養控除等申告書」または「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」:本書類提出時に親族関係書類のみ提出

「給与所得者の配偶者控除等申告書」:本書類提出時に一緒に2書類を提出

4.まとめ

外国人技能実習生については、日本人とは異なり、海外に住んでいる扶養家族の対応が必要になるでしょう。海外に扶養家族がいる場合は、普段は取得しないような証明書類が必要になり、時間も多くかかってしまいます。したがって、前もって準備しておきましょう。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

無料相談

無料相談を行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。

ご相談のお申し込みは、『お電話』でまたは申し込みフォームより受け付けております。
※相談は完全予約制です。

はじめてのお客様専用ダイヤル

東京エリア03-5830-7919名古屋エリア052-446-5087大阪06-6341-7260中国語070-5376-4355韓国語080-4670-2341English080-4941-0973

出版実績外国人雇用ガイド

ビジネスフラッシュに紹介されました