技能実習生の語学力はどのくらい?
技能実習生は、多くの場合、受け入れ企業から内定をもらった後、入国前に送り出し機関で日本語を必死に勉強します。また、入国後の講習でも日本語を勉強します。
短期間で日本語を習得する必要があるので、現地では寮生活をして、朝から夜まで日本語を勉強させる送出し機関も多くあります。
では、技能実習生の語学力はどのくらいなのでしょうか。
受け入れ企業の中には、英語は多少話せても、ベトナム語やインドネシア語などの言語を話せる方は稀でしょう。
したがって、技能実習生の日本語力は仕事をする上で、とても重要になります。
技能実習生の語学力について、見てみましょう。
1.日本語学習時期
日本語の講習は入国前から数か月間行う場合もあれば、入国後だけ行う場合もあります。いずれの場合でも、入国後の講習は必須となっています。
技能実習生の受入れにあたっては、監理団体(企業単独型受入れの場合は企業)が講習を行うことが上陸基準省令によって義務づけられています。
講習は、時間数および内容が規定されていますので、日本語の指導計画を考える際は、講習の実施方法等についてきちんと把握しておく必要があります。
入国前の講習は必須ではない。ただ、多くの送り出し機関では、内定から出国前の数か月間で日本語を学習させる。
入国後の講習は必須
2.講習の時間数
【入国前の6か月以内に1ヶ月以上かけて160時間以上の講習を行っていない場合】
技能実習1号の活動予定時間の6分の1以上の講習を技能実習生の入国後に行う必要があります。
例えば、技能実習 1 号イまたはロの活動時間が、1920時間と予定されている場合、その6分の1である320時間以上の講習を行わなければなりません。
なお、技能実習1号イ企業単独型受入れの技能実習生の1年目の在留資格のことをいい、技能実習1号ロとは、団体監理型受入れの技能実習生の1年目の在留資格のことをいいます
【入国前の6ヶ月以内に、1ヶ月以上かけて160時間以上の講習を行った場合】
この場合は、入国後の講習は12分の1以上行えばよく、入国前講習をしていない場合に比べ、日本では半分の講習時間で済みます。その分、早く仕事に就けることになります。
例えば、技能実習1号イまたはロの活動時間が1920時間で、入国前の6ヶ月以内に1ヶ月以上かけて160時間以上の講習を行った場合、入国後は1920時間の12分の1である160時間以上の講習を行うことになります。
3.講習の内容
講習では以下の内容をすべて取り扱うことが定められています。
①日本語
②日本での生活一般に関する知識
③技能実習生の法的保護に必要な情報
④円滑な技能等の習得に資する知識
4.入国時の技能実習生の日本語レベル
出国前に送り出し機関で日本語の学習をする場合、介護以外の職種では出国前の約4~5か月間でN4程度の日本語をマスターするところが多いです。
N4程度の日本語力とは、基本的な日本語を理解することができるレベルです。
読むことに関しては、「基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文書を読んで理解することができる」レベルです。
聞くことに関しては、「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」レベルになります。
技能実習生が仕事で使う日本語レベルとしては、最初にN4程度の日本語力があれば問題ないでしょう。
介護職種では、出国前の約10ヵ月間でN3程度の会話レベルを身に着けます。
介護の場合は、仕事で会話することも多く、また身体の危険を回避する上でも、より高度な日本語力が必要になります。また、専門用語も多く、瞬時に理解する力も必要です。そのため、N3程度の日本語力が必要になります。
N3程度の日本語力とは、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルです。
読むことに関しては、次のことができます。
・日常的な話題について書かかれた具体的内容を表す文章を、読んで理解することができる。
・新聞の見出などから情報の概要をつかむことができる。
・日常的な場面で目にする難易度がやや高い文章は、言い換え表現が与られれば、要旨を理解することができる。
聞くことに関しては、「日常的な場面で、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる。」レベルにあります。
5.英語は通じる?
技能実習生との会話で日本語が通じない場合は、ほとんどの場合、英語で意思疎通を図るしかないでしょう。
では、技能実習生に英語は通じるでしょうか。
これは、どの国出身かによって変わってきます。
まず、英語が公用語になっている国は、フィリピンです。ただ、フィリピン人全てが英語を流暢に話せるというわけではありません。タガログ語しか使わない地域にいた技能実習生の場合は、英語が話せない場合もあります。
また、マレーシアも英語ができる人が多くいます。ベトナムとインドネシアも日本よりも英語に力を入れています。
こうしてみると、多くの場合、日本語が通じない場合は、英語で補うという方法は有効といえるでしょう。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応