技能実習生の現地面接の流れ
技能実習生候補者を面接する手段としては、現地で行う場合もあれば、Skypeなどの映像による面接の場合もあります。
ただ、最長5年間、継続的に働いてくれる技能実習生を雇うことになるので、現地で直接会い、面接を行う企業は多いです。
では、現地で面接を行う際、どのような流れになるのでしょうか。
技能実習生の現地面接の流れや面接のポイント等について解説します。
1.面接の流れ
通常、現地での面接は、2泊3日(又はそれ以上)でのスケジュールになります。
①事前に送出し機関に、採りたい人材を伝えて事前に選抜を行ってもらい、候補者を絞ります。
②1日目
現地に行き、送り出し機関で候補者に様々なテストを実施します。
監理組合を通す場合は、現地へのアテンドをしてくれるでしょう。現地の雰囲気や送出し機関の視察、学習・生活の様子も確認しましょう。
計算問題、適性試験やIQテストなどの筆記試験を実施する場合は、この視察の際に行います。
③2日目
履歴書、筆記試験の結果を基に、面接をします。
面接では口頭での試験はもちろん、職種によっては実技試験や体力テストを実施します。
実技試験では、作業の正確性や器用さ、効率性をみます。
体力テストでは、基礎体力や忍耐力を測定します。
④3日目
雇用条件を候補者にしっかりと理解してもらい、雇用契約の締結をします。
面接終了後、帰途につきます。採用の決定した候補者たちは、その後送り出し機関で懸命に語学学習を行います。入国予定日に合わせ、在留資格の認定を受けて入国となります。
2.面接での質問
面接では、予め用意できるような質問に偏らず、その候補生しか経験できなかった点にについて聞くことも忘れないようにしましょう。例えば、「今までで一番苦労したこと」といった質問は個人の経験によって変わってきます。答えに対して、さらに深い質問もすることもできます。
また、仕事の経験がある場合は、過去の経験を踏まえて日本でしたいことや仕事でのミスの対処の仕方などを聞くとよいでしょう。転職が多い場合には、転職理由も聞くことを忘れないようにすることが必要です。転職理由が飽きっぽい性格による場合は、注意しましょう。
なお、ほとんどの候補生は、実際に日本に来たことはありません。したがって、日本へのイメージは漠然としたものでしょう。また業務に対しても、実際にその業務を見聞きすることもなく、日本で就活生が調べるようにはいきません。したがって、業務に関しても漠然としたものになっているので、「日本に来て何がしたいか」や「業務へのイメージ」を質問したとしても、あまり参考にならないでしょう。
3.面接で実施した方がいいテスト
建設業や農業、漁業などの職種で体力が重視されるような作業をしてもらう場合は、体力テストを実施する企業は多いです。腕立てや懸垂、腹筋を限界までやってもらう又は3分間で何回できるかというテストを実施する担当者もいます。
実際にできた回数だけでなく、限界近くなっても、なおやり続ける忍耐力があるかなどもチェックするとよいでしょう。
また、手先の器用さが求められる作業をしてもらう場合は、実際の作業の一部をやってもらう方法も取られます。質を重視するのか、速さを重視するのかによって、選考基準が変わってくるので、時間制限内での出来具合を見るとよいでしょう。
4.面接でのポイント
質問に対する返答内容のみならず、質問をしたときや他の候補生が答えているときの表情や様子なども見ておくとよいでしょう。
また、面接の際に、日本での技能実習作業での辛い点もしっかり伝えましょう。
「高所でやる作業は知っていたけど、想像と違っていた。」「寒い時期や雨の日でも外で作業するとは知らなかった。」などの認識の齟齬は避けたいところです。
残業や休日の取り方についても説明しておくのが望ましいです。
技能実習生は、日本に友達がいない人が多いため、同じ職場の人と集団で、しかも、まとまった休みを取りたがる傾向がありますが、職種によっては、まとめて取られると厳しいところもあるでしょう。そういった企業では、休みを分散・別々に取って欲しいなど、あとでトラブルになりそうな点については、面接時に伝えておく方がトラブル防止の観点から望ましいでしょう。
面接時点では、まだ日本語はほとんど話せません。日本に行くことが決まってから必死に日本語を勉強していきます。送り出し機関によっては、平日は外出させず、朝から晩まで日本語の勉強をさせるところもあり、忍耐力がいります。
今までの経験を活かせる即戦力となる技能実習生はほとんどいないため、面接では、この人はこれからいろんなことを勉強・吸収して成長できるかという観点から、選考することをお勧めします。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応