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外国人技能実習生に対する健康診断の実施方法

労働安全衛生法により、事業者は労働者に対して健康診断を受けさせる義務があります。
この義務は、従業員の健康管理を図るものなので、外国人技能実習生にも適用されます。
したがって、技能実習生に健康診断を実施しないと違法になります。

今回は、外国人技能実習生に対する健康診断の実施方法について紹介します。

1健康診断は絶対に必要

先ほど述べたように、健康診断は従業員に受けさせる義務があります。受けさせないと違法となり、労働基準監督署から指導の対象になります。その指導も無視してしまうと、罰則があります。罰則は、50万円以下の罰金ですので、従業員には健康診断を絶対に受けてもらいましょう。

 

健康診断の対象者は、正社員、1年以上の契約期間がある契約社員、週所定労働時間の4分の3以上労働する契約社員、パート労働者です。したがって、技能実習生も対象です。

受けさせる義務があるのは、大企業はもちろんのこと、個人事業主、中小企業もその義務があるので注意しましょう。

2健康診断の種類

実習実施者は、技能実習生を雇い入れたとき、及び一定期間ごとに、次の健康診断を実施しなければなりません。

・雇入れ時健康診断   

・定期健康診断   

・特殊健康診断(有害業務に従事する場合)

雇入れ時健康診断

雇い入れ時健康診断とは、その名の通り、労働者を雇い入れたときに実施します。特に技能実習生の場合は、開発途上国から来日するので、予期せぬ病気などに罹患している可能性もあります。過去には、自覚症状がなかったことから、外見上では健康そうに見えた技能実習生が、実は結核にかかっていたという例もありました。

ですから、雇入れ時の健康診断も怠らないようにしましょう。

 

実施時期は、技能実習生が配属される前後3ヶ月以内です。母国で健康診断を受けていても、日本の医療機関で受ける必要があります。

定期健康診断

技能実習生の場合は、日本で初めて暮らす人が多く、母国との気候の違いや慣れない食生活などが原因で身体に変調を来してしまうことがあります。また、思うように言葉が通じない場合もあり、職場の人間関係にも非常に気を遣います。一方で、技能実習生は若者が多く、母国ではそれほど健康に気を付けて生活してこなかった人も多いことから、健康に関する自己管理の意識もあまり高くありません。

したがって、この定期健康診断もとても重要になってきます。

 

定期健康診断は、1年以内ごとに1回、定期に実施します。常時深夜業に従事する技能実習生については、6月以内ごとに1回の健康診断が必要です。

毎年全社員を対象に健康診断を実施している場合は、その時に技能実習生も受診させるのがよいでしょう。雇い入れの時に実施した健康診断から、1年以内に実施する必要があります。

特殊健康診断

有害業務を行わせる場合、一定期間ごとに実施します。

特殊健康診断が必要な有害業務は以下の通りです。

①有機溶剤業務

②特定化学物質製造、取扱業務

③粉じん作業

など 

3.検査項目

実施しなければならない検査項目は次の11項目あります。

①既往歴及び業務歴の調査

②自覚症状及び他覚症状の有無の検査

③身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査

④胸部エックス線検査

⑤血圧の測定

⑥貧血検査(血色素量及び赤血球数)

⑦肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)

⑧血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)

⑨血糖検査

⑩尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)

⑪心電図検査

以上が最低限の検査項目なので、必ず以上の項目は受けてもらいましょう。

4.その他の事項

実習実施者は、一般健康診断及び有害業務に関する健康診断の結果について「健康診断個人票」を作成し、法令に定める期間保存しなければなりません。

また、健康診断の結果は、本人に通知します。実施項目に異常の所見が認められた労働者に対しては、健康を保持するために必要な措置について医師、又は歯科医師の意見を聞く必要があります。

医師の意見を聞き、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、次のような措置を講じなければなりません。

労働者に関して

就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置

事業場に関して

作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、医師又は歯科医師の意見の衛生委 員会等への報告その他の適切な措置

技能実習生の場合、実習計画に従った実習が行われる必要があるので、業務・作業の変更・転換が必要な場合には、実習計画の変更の手続きを行う必要があります。

 

外国で暮らす技能実習生は、仕事や生活でストレスを感じています。

実習実施者はストレスチェックを行い(労働者数50人未満は努力義務)、ストレスを軽減するための適切な措置を講ずるよう努めなければなりません。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
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