フィリピン技能実習生のPOLO手続きとPOEAとは?
フィリピン人を技能実習生として受け入れる場合には、他の国の技能実習生を受け入れる場合とは異なり、特別な手続きが必要になります。
フィリピン人を採用して、ビザの手続きを進めていたのに、POEAの手続きとPOLOの手続きがあることを知らなかったために、入国が大幅に遅れてしまった…となるのは絶対に避けたいところです。
今回は、フィリピン技能実習生のPOLO手続きとPOEAについて解説します。
1.POEAとは?
POEA(Philippine Overseas Employment Administration)とは、フィリピン海外雇用庁のことをいい、海外で働くフィリピン人を不当な労働環境から守るための中心機関です。
フィリピンから海外へ人材を送り出す前に、就職先の審査を行います。
POEAから認定された人材派遣会社のエージェンシーを通して審査がなされ、フィリピンから人材を直接雇用する場合には、必ずこのエージェンシーを通して契約を行う必要があります。
2.POLOとは?
POLO(Philippines Overseas Labor Office)とは、駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所のことです。POEAの出先機関で、海外に拠点があります。
日本では、東京都港区六本木のフィリピン大使館内に事務所をかまえています。
フィリピン人を雇用する会社は、POEAが定める雇用条件を遵守する必要があります。
POLOには、日本語ができる職員もいますが、基本的には英語での対応となります。
電話番号:03-6441-0428
3.フィリピン人受け入れ手続きの流れ
①技能実習生受入れに関する協議及び契約締結
監理団体と送出し機関が、技能実習生の受入れ条件や特別委任契約(SPA)を取り決めます。
②実習実施機関における雇用条件の確定
フィリピン人技能実習生受入れは、面接や入管申請の前に、POLO、POEAでの手続きが必要となります。POLO、POEAでの手続きには、技能実習生の労働条件を記した雇用契約書などの書類が必要です。
③POLO手続き
作成したSPAや雇用契約書等の書面をPOLOへ提出し、監理団体の存在確認や実習実施機関の労働条件の確認を行います。確認後、POLOより監理団体に面接の日時が通知され、フィリピン大使館内で面接を受けます。面接後、POLOより承認印が付された書類が送付されます。
④POEA手続き
POLOより送られてきた承認印付き書面をフィリピンにあるPOEAに提出します。POEAへの書類提出は原則、フィリピン政府指定のエージェンシー(送り出し機関)しかできません。
⑤技能実習生の募集等
受け入れ企業が提示した条件を基に、送り出し機関が技能実習生の募集をします。募集した候補生を面接し、採用する場合には雇用契約書を締結します。
⑥POEAの推薦状取得、申請書類準備
出入国在留管理庁への申請に必要な書類の準備を行います。POEAが発行する推薦状などの書類を用意し、送り出し機関が監理団体へ送付します。
⑦在留資格認定証明書交付申請
送付を受けた監理団体が日本で在留資格認定証明書交付申請を行います。
⑧在留資格認定証明書の交付
入管より在留資格認定証明書(COE=Certificate of Eligibility)が取得できたら、フィリピンの送り出し機関に郵送します。
⑨フィリピン国内の日本大使館で査証申請
技能実習生の査証(ビザ)を申請します。約1週間後、査証の発給を受けます。
⑩PDOS
PDOSとはPre-Departure Orientation Seminarの略で、海外で就労するフィリピン国籍者用の出国前オリエンテーションセミナーのことです。海外居住フィリピン人委員会(Commission for Filipino Overseas、 CFO)が開催するので、CFOセミナーともいいます。
海外に就労目的で渡航するフィリピン人はこのセミナーを必ず受講しなければなりません。受けていない場合には、ビザが発給されていてもフィリピンからの出国が許可されませんので、注意が必要です。
PDOSでは、2時間にわたるセミナーが実施されます。セミナーの内容は主に以下の内容になっています。
(1)海外への渡航や海外で生活する際に必要な書類、空港での手続きに関する説明がなされます。
(2)海外の長期滞在のために必要な労働許可書の取得、その他海外居住者の権利義務に関する説明があります。また、海外で困ったときに利用可能な海外のフィリピン領事館、フィリピン大使館、警察等への連絡先リストが配布されます。
(3)日本に来て困ることがないよう、日本の文化、習慣、生活等に関してのレクチャーが行われます。
以上の講習終了後、海外移住者を証明する登録シールがパスポートに貼り付けられることで登録が完了します。
出国時に登録シールの貼付を確認し、出国が許可されます。
送り出し機関の中には、このPDOSの提供ができる機関もあります。別途PDOSが必要な送出し機関かどうかを確認しておくとよいでしょう。
⑪POEA手続き
PDOSを受講した証明やその他の書類を再度POEAに提出して、ようやく日本に渡航できます。
⑫来日
以上の手続きを経て、フィリピン人技能実習生が来日し、研修、実習へと進むことになります。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応