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介護職種で外国人技能実習生を受け入れるための要件
1.基本的な考え方
平成29年11月1日の「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」の施行にあわせ、外国人技能実習制度の対象職種に介護職種が追加されています。
外国人介護人材の受入れを決定した趣旨は、介護人材の確保を目的とするのではなく、あくまで技能移転をして、国際貢献をする点にあります。
したがって、介護サービスの特性に基づく様々な懸念に対応するため、以下の3つの要件に対応できることが求められています。
①介護が「外国人が担う単純な仕事」というイメージとならないようにすること
②外国人について、日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力が損なわれないようにすること
③介護のサービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないようにすること
そこで、上記3つの要件に対応できる制度として、監理団体による実習実施機関に対する監理の徹底や日本語能力等の要件を設けています。
介護職種の技能実習においては、介護サービスの特性に基づく様々な懸念に対応するため、技能実習制度の要件に加えて介護固有要件を定めています。
2.介護固有要件
介護職種で外国人技能実習生を受け入れるための要件は、技能実習制度の要件に加え、介護固有の要件を満たすことが必要になります。ここでは、介護固有の要件について見てみましょう。
技能実習生に関する要件
①日本語能力要件
第1号技能実習 (1年目) |
日本語能力試験のN4に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者 |
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第2号技能実習 (2年目) |
日本語能力試験のN3に合格している者その他これと同等以上の能力を有すると認められる者 |
②前職要件
団体監理型技能実習の場合、技能実習生は次のことが要件となっています。
(ⅰ)日本において従事しようとする業務と同種の業務に、外国において従事した経験があること
・外国政府による介護士認定等を受けた者
・外国における看護課程を修了した者又は看護師資格を有する者 など
(ⅱ)団体監理型技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること
・教育機関において同種の業務に関連する教育課程を修了している場合(修了見込みの場合も含む。)
・技能実習生が技能実習を行う必要性を具体的に説明でき、かつ、技能実習を行うために必要な最低限の訓練を受けている場合
・実習実施者又は監理団体と送出国との間の技術協力上特に必要があると認められる場合
実習実施者に関する要件
①技能実習指導員
介護職種での技能実習指導員については、技能実習制度の要件に加えて、下記の要件を満たすことが必要です。
(ⅰ)技能実習指導員のうち1名以上は、介護福祉士の資格を有する者その他これと同等以上の専門的知識及び技術を有すると認められる者(※看護師等)であること。
(ⅱ)技能実習生5名につき1名以上の技能実習指導員を選任していること。
②事業所の体制
技能実習を行わせる事業所については、下記の要件を満たすことが必要です。
(ⅰ)技能実習を行わせる事業所が、介護等の業務(利用者の居宅においてサービスを提供する業務を除く。)を行うものであること。
(ⅱ)技能実習を行わせる事業所が、開設後3年以上経過していること。
(ⅲ)技能実習生に夜勤業務その他少人数の状況下での業務又は緊急時の対応が求められる業務を行わせる場合にあっては、利用者の安全の確保等のために必要な措置を講ずることとしていること。
③技能実習生の人数枠
介護職種の人数枠は、事業所単位で、介護等を主たる業務として行う常勤職員の総数に応じて設定されており、介護等を主たる業務として行わない職員の場合には、仮に常勤であったとしても、人数枠算定の基礎には含めることはできません。
また、技能実習を行う事業所における技能実習生の数が一定数を超えないことが求められます。
技能実習の内容に関する要件
技能実習生は入国後に、日本語、介護導入講習、法的保護等に必要な情報、生活一般の講習を所定時間受けなければなりません。また、これらの科目を教える講師についても一定の要件が設けられています。介護導入講習においては、介護の基本から実際の介護に必要な実践的知識を各6時間、合計42時間以上受けることが必要です。もっとも、入国前講習で既に所定時間の講義を受けている場合は、入国後講習が短縮されます。
監理団体に関する要件
(ⅰ)次のいずれかに該当する法人であること。
① 商工会議所、商工会、中小企業団体、職業訓練法人、公益社団法人又は公益財団法人
② 当該法人の目的に介護事業の発展に寄与すること等が含まれる全国的な医療又は介護に従事する事業者から構成される団体
(ⅱ)その役職員に介護職として5年以上の経験を有する介護福祉士等がいること
介護職種の場合は、技能実習の要件に加えて、多くの要件が足されています。これは、介護が命に直接係わりうる業務であり、コミュニケーションも重要とされているためです。
要件該当性は複雑になっていますので、相談されるのがよいでしょう。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応