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技能実習生に対する家賃や水道光熱費の控除について

技能実習生に宿舎を用意し、そこに住まわせる場合に、家賃や水道光熱費は、どのような方法で技能実習生から回収すればよいでしょうか。

技能実習生の保護のために、様々な規制があることから、給料から天引きしていいのか等、悩まれている担当者も多いと思います。

 

今回は技能実習生に対する家賃や水道光熱費の控除について解説します。

1.家賃や水道光熱費の控除

宿舎の家賃、共益費、水道光熱費は技能実習生に請求しても問題ありません。また、近年は家にWi-Fiを設置しているのが一般的ですので、技能実習生が合意している場合は、そのWi-Fi使用料も請求できます。

2.控除は書面による合意を忘れずに

上記の家賃や水道光熱費等を給与から控除する場合は、事前に技能実習生と合意をしておくことを忘れないようにして下さい。

特にインターネット代は月に数千円となるので、技能実習生にとって大きな出費です。請求前にどのくらいの額なのかを説明しておくことが必要でしょう。

 

また、この控除の合意は、内容を技能実習生に理解させ、書面(控除協定)を渡す必要があります。実習実施機関としても、何かトラブルが生じた場合に、書面を交付していることは、自らの身を守ることにもなりますので、必ず忘れずに「書面による合意」をしておきましょう。

 

来日当初は、技能実習生は、いろいろなことを覚えなければならず、日々の仕事や生活に必死ですので、あまり細かいことには注意を払わない傾向があります。

しかし、日本の生活に慣れ、何度か給与を受け取るようになると、いろいろ給与から引かれていることに疑問を持つようになります。

 

来日してしばらくすると、

「所得税や健康保険料ってこんなに取られるんですか?」

という質問は多くあります。

 

所得税や保険料については、来日前の契約の際、来日後の講習でも、事前に何度も説明していてもこのように質問してくるので、家賃等の控除についても、合意したことをしっかりとした形で残しておくことは、不信感につながらないためにも重要です。

 

技能実習生が日本語を読むのが難しい場合は、技能実習生が理解できる言語で書いたものがあるとよいでしょう。

 

書面は、技能実習生に渡す分と、実習実施機関で保管する分の2部それぞれに署名して保管しておきましょう。また、監理団体はこの賃金控除協定を確認する義務があるので、求められたら監理団体に見せられるよう保管しておきましょう。

 

なお、所得税、住民税、社会保険料、雇用保険料は、控除協定が無くても控除可能です。

3.家賃や水道光熱費は実費で

請求できる家賃や水道光熱費は、当然実費までです。実費と分かっていても、計算が面倒であったり、概算で適当に計算して請求してしまうケースは多くあります。

 

もちろん不当な請求はだめです。

技能実習生2人で1つの部屋に住んでいるのに、同じ寮で日本人が同じ大きさの部屋を1人で使用している場合では、部屋自体に差がなければ、技能実習生1人の家賃と日本人1人の家賃は異なってくるはずです。こういった場合に、日本人と同じ額の家賃を請求することは問題があります。

 

借上げ物件に技能実習生を住まわせる場合は、請求できるのは、家賃と管理費、共益費までです。敷金・礼金・保証金・仲介手数料等までは控除できないので注意してください。

 

水道・光熱費は、実際に使った費用を技能実習生の人数で割った額以内を控除します。

4家賃について

宿泊施設を賃貸する場合、「実習生のための適切な宿泊施設を確保していること」の基準に適合するためには、技能実習生が入国する前から、家賃を支払い確保しておくことになると思います。

では、その時に支払った家賃についても技能実習生に請求しても問題ないでしょうか。

 

結論としては、技能実習生が実際に利用する前に生じた家賃については、実習生に請求することはできません。実習生が住み始めた日から家賃が請求できると考えてください。

 

また、自己所有物件に技能実習生を住まわせる場合の家賃については、どのように決めたらよいのかを迷われる方も多いでしょう。

自己所有物件の場合、実際に建設・改築等に要した費用、物件の耐用年数、入居する技能実習生の人数等を勘案して算出した合理的な額が請求可能です。

自己所有の建物自体の耐用年数が過ぎている場合は、冷暖房施設の更新や修繕、クリーニング、壁紙の張り替え等、当該物件の維持に必要な費用を、更新年数や居住する実習生の人数等を勘案して決定し、実費相当額を請求できます。

なお、自己所有の物件に住まわせる場合は、家賃で儲けることは認められないので注意してください。

 この記事の監修者

さむらい行政書士法人 代表 / 小島 健太郎

さむらい行政書士法人
公式サイト https://samurai-law.com

代表行政書士

小島 健太郎(こじま けんたろう)

 

プロフィール

2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立

専門分野

外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応

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