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朝鮮籍の方の相続手続きについて

遺産相続は遺言書があるかどうかがポイント

親などが亡くなったときに遺産相続をする際、まず重要なのは故人(以下被相続人)の遺言書が存在しているかどうかです。遺言書は、被相続人が自分の財産を誰に相続させたいかという意思表示をしたもので、法定相続人以外でも相続する権利が認められています。例えば、内縁の夫や妻に相続させるケースなどが該当します。

 

しかし、中には無効とされる遺言書もあるので注意しましょう。遺言書は被相続人自身の意思で書かれたものでなければなりません。たとえ被相続人が生前に話していた内容でも、第三者が勝手に書きとめた文書では無効になります。

 

遺言書が無い、または法的に無効となる遺言書しか存在しない場合には、相続法にもとづいて遺産分与と相続を行います。

法定相続人と相続に必要な書類

遺産相続ができるのは法定相続人と呼ばれる者で、亡くなった被相続人との関係性で順位が決められています。もっとも順位が高いのは配偶者や子どもで第1順位です。続いて両親や祖父母が第2順位となります。次が第3順位で、兄弟や甥、姪などです。順位が低い者は上位の法定相続人が死亡、または放棄した場合などに権利が回ってくると考えておけばいいでしょう。

 

遺産相続に必要な書類は戸籍謄本、相続人全員の印鑑証明書、そして遺産分割協議書などです。不動産がある場合には登記簿謄本や固定資産評価証明書なども必要になります。

 

しかし、ここで問題になるのは戸籍謄本です。朝鮮籍のままであれば日本で戸籍謄本を取ることができないため、韓国から戸籍謄本を取り寄せる必要があります。

 

たとえ被相続人が日本国に帰化をしていた場合でも、出生から死亡までの家族関係を証明することが必要になりますので、帰化前の韓国側の戸籍謄本を取得する必要があります。

韓国の戸籍謄本を取り寄せる方法

韓国でも、日本のような戸籍制度が存在していました。戸籍があれば家族の流れが何代にもわたって確認することができ、自分が誰の親族であるか証明することも簡単です。

 

しかし、残念ながら韓国の戸籍制度は2007年12月31日をもって廃止されてしまいました。そのため、日本のような戸籍謄本を取ることはできません。その代りに施行されたのが「家族関係登録等に関する法律」です。「家族関係登録等に関する法律」では戸籍謄本が除籍謄本に変わっています。

 

つまり、相続をするには韓国の除籍謄本が必要になります。朝鮮籍の場合は、除籍謄本の他に家族関係を証明する書類がいくつかあります。相続に使われるものは主に基本証明書と家族関係証明書、入養関係証明書、親養子入養関係証明書などです。

 

日本で遺産相続をするなら、まず除籍謄本と基本証明書と家族関係証明書、入養関係証明書と親養子入養関係証明書を取り寄せておきましょう。これらの書類はすべて領事館で取ることが可能です。

相続で適用される法律はどこの国か?

書類をそろえたら速やかに相続を進めたいところですが、日本と韓国のどちらの法律を適用するかという問題が浮上してきます。

 

この場合は、被相続人の国籍に合わせて選択することになります。帰化していれば日本の法律に沿って相続を進めますが、朝鮮籍の場合は韓国の法律に則って遺産相続を行わなければなりません。たとえ法定相続人が全員帰化している場合でも、被相続人が帰化していなかった場合は籍が置かれている国の法律に従うのがルールなのです。

 

韓国の場合、法定相続人の範囲や分配の割合などが日本の法律とは当然ながら異なります(似ている部分もあります)。また、被相続人が日本以外にも不動産などの資産を所有していた場合は新たに調査が必要になるでしょう。納税についても日本とは計算法や納税時期なども異なります。このような問題をあげていくと、たとえ法定相続人が帰化して日本で暮らしていても自分たちで解決するのは困難です。法定相続人のすべてを把握しにくい場合を含め、難しいと感じたら専門家に依頼する方がいいかもしれません。

 

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