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遺言執行の進め方をわかりやすく解説

遺言執行はどのように進めていけばいいのかとお困りの方も多いのではないでしょうか?遺言執行者を引き受けてもいいのかとお悩みの方もいらっしゃると思います。

 

または、すでに遺言執行者として引き受けてしまい、どうすればいいのかわからない方もいるかもしれません。

今回は遺言執行の進め方をわかりやすく解説していきたいと思います。

遺言執行とは、簡単に言いますと、相続人を代表して遺言の内容を実現していく人のことをいいます。遺言執行の全体的な流れは下記のとおりです。

 

遺言執行者の選任

遺言執行者に就任したことを相続人らに通知

相続人の特定

相続財産の特定

遺言の内容を実行

完了報告

 

それでは具体的に見ていきましょう。

1、遺言執行とは

遺言執行とは、遺言書の内容を実現するために手続きをおこなうことをいいます。実際に遺言執行をおこなう人のことを、遺言執行者と呼びます。遺言執行者は、相続人を代表して、相続が始まったら相続人を特定したり、相続財産目録の作成や預貯金や不動産などの遺言執行に必要な一切の手続きをする権限があるのです。

とくに子供の認知手続きや相続人を廃除する手続きは遺言執行者しかできないので、重要な役割を担っているといえるでしょう。

遺言執行者の選任方法には次の3つの方法があります。

 

①遺言書で選任する

遺言書であらかじめ「遺言執行者は専門家の〇〇氏とする」というように指定する方法になります。ただ、指定されたからといって必ずしも遺言執行者にならなければならないわけではありません。遺言執行者となることを断ることもできますので、指定する場合には、あらかじめ了承をもらっておくとスムーズに進めることができます。

 

なお、遺言執行者は信頼できる専門家にしておくことをお勧めいたします。専門知識がないまま遺言執行者となってしまうと、遺言の内容が実現できなくなる恐れもありますので、信頼ができる専門家にお願いをするべきでしょう。

 

②家庭裁判所が選任する

これは遺言書で遺言執行者が指定されていない場合に、家庭裁判所に選任をしてもらう方法になります。相続人が家庭裁判所に遺言執行者選任の申し立てをおこなうのですが、このときに、申し立てをする側(つまり相続人)が候補者を指定して申し立てをすることができます。候補者を指定した場合には、家庭裁判所はその候補者を遺言執行者として選任することになりますので、こちらも信頼できる専門家を候補者として申し立てをおこなうようにしたほうが良いでしょう(もちろん候補者として指定する人にあらかじめ了承はとりましょう)。候補者がいない場合には、家庭裁判所が備え付けのリストの中から勝手に選任する形となります。

 

③第三者が選任する

遺言書のなかで、「〇〇氏が遺言執行者を選任する」ということを記載してあれば、その人が遺言執行者を選任することになります。〇〇さんが死亡している場合には、②の家庭裁判所が選任する方法になります。

2、遺言執行者に就任したことを相続人らに通知

遺言執行者として就任したら、そのことを相続人らに通知しましょう。遺言執行者に就任したことおよび遺言の内容を執行してきますよ、と連絡することですね。ちなみに、遺言執行者に就任したら、下記の権利と義務が生じます。

 

①すべての相続人に対して遺言執行者に就任したことの通知を行う義務

②財産目録を作成し、相続人に交付すること義務

③相続財産を管理する義務

④遺言書で指定された相続人に対して、相続財産の名義変更手続きを行う権利

⑤遺言書で子の認知や相続人の廃除、さらに各種の寄付行為などが記載されている場合には、それらの手続きを行う権利

⑥遺言執行手続き完了後に、相続人に対して報告を行う義務

 

3、相続人の特定

亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を収集して、相続人を特定しましょう。集めるのは大変かもしれませんが、隠し子とかがいるケースもありますので慎重に戸籍を読み解いていきましょう。

4、相続財産の特定

相続対象財産を特定して、財産目録を作成しましょう。財産目録が作成出来たら相続人らに交付することも忘れてはいけません。預貯金や不動産・株式・自動車などなどを一覧にして、わかりやすく作成しましょう。

5、遺言の内容を実行

預貯金の名義変更や、不動産の名義変更、自動車の名義変更などなどを遺言執行者の権限で実行していきましょう。遺言執行者には、強力な権利がありますので、実行する際に、相続人全員から委任状をもらったり、相続人全員の実印の押印や印鑑証明書の添付はせずに、すべて遺言執行者の実印と印鑑証明書でおこなうことができます。

6、完了報告

遺言執行が完了しましたら、すべての相続人にその旨を報告して遺言執行者としての役割は終わりとなります。

 

いかがでしたでしょうか。今回は遺言執行の進め方をわかりやすく解説させていただきました。簡単にいいますと相続人を代表して遺言書の内容を実現していく人のことになりますね。ただし、遺言を執行していくための強力な権限を持ちますが、同時に責任も重くのしかかります。義務を怠れば大変なことになりますので、安易な気持ちで引き受けず、少しでも不安がある場合には専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は本人の財産によってある程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。