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遺言執行を途中で辞任したくなったら【大変すぎる】

遺言執行者の任務はとても大変で、「途中で辞任したい」と思われる方や、初めからだれか他の人に代わってもらうことはできないのか?と考える方は多いです。

 

そんな方のために遺言執行者の任務と辞任したくなったらどうすればよいのかを説明していきたいと思います。

遺言執行者とは?

遺言執行者とは、亡くなった方の代理人として、亡くなった方が遺した遺言書に記載されている内容を実現する人のことを言います。具体的には、相続人や相続財産の調査、相続財産を管理、相続財産の分配(名義変更等)をすることになります。

遺言執行者の任務は大変!

遺言執行者は、「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と定められており、遺言を実現させる義務が課されます。

 

実際には、次のようなことを遅滞なく行わなければなりません。

 

①相続人の調査

②相続財産の調査並びに相続財産目録の作成

③各種相続財産の名義変更等の手続

 

これらを全て行うことは簡単なことではありません。時間と手間がかかるだけでなく、すべての手続にマニュアル等が存在するわけではないので、初めて相続続きをするという方にとっては一つ一つの業務がとても難しく感じられるはずです。

 

だからといって先延ばしにすることも許されません。

 

そのため、安易に遺言執行者を引き受けてしまったけれど、実際始めてみると、とてもじゃないけど自分一人ではできそうもないと感じる方がとても多いです。

遺言執行者は引き受けないことができる

遺言書で遺言執行者に指定されていた場合にも、絶対就任しなければならないというわけではありません。

 

忙しい場合や、自分には荷が重すぎると感じる場合ははじめから就任を承諾しなければOKです。特別な理由も必要ありません。早めに就任しないことを相続人や利害関係者に伝えましょう。

遺言執行者を辞任するのは難しい

遺言執行者は家庭裁判所に正当な事由があることを認められれば辞任することができます。つまり、「正当な事由」が必要です。

 

ここで「正当な事由」として認められるは、病気のため長期の療養が必要な場合や、長期の出張、多忙な職務等です。

 

こうした理由がある場合には、家庭裁判所の許可をもらうことで辞任することができます。

 

ただ、単にやる気がなくなった、自分には荷が重すぎることに気づいた等の理由では正当な事由とは認められず、辞任することは難しいでしょう。

 

つまり、最初から引き受けないことはできるが、一旦引き受けると辞任が難しいということになります。

遺言執行者としての職務を他の人に委任することはできる

遺言執行者を辞任することは正当な事由がなければ難しいとお話ししましたが、遺言執行者としての職務を第三者に委任することはできます。

 

これは2020年7月の改正法によるものです。

 

これまでは、「やむを得ない事由」がなければ、他の人に遺言執行者としての任務を依頼することはできなかったのですが、法改正によって、そういった事由がなくてもできるようになりました。

 

また、この際、相続人等の同意を得る必要もありません。

全部でも一部でもOK

遺言執行者としての職務を第三者に委任する場合、そのすべてを包括的に委任することも、一部だけを委任することも可能です。

 

すべて任せたいということであれば包括的に委任すればいいですし、だいたいのことは自分でもできそうだから、この手続きだけお願いしたい!なんてこともOKです。

行政書士等の専門家に依頼するのが良い

遺言執行者の職務を第三者に委任できると説明してきましたが、じゃあ誰にお願いすればいいの?と思いますよね。

 

自分で遺言執行者としての任務を遂行するのが難しいと思った場合は、行政書士等の専門家に依頼するのがオススメです。

 

遺言執行者としての任務は誰に依頼してもいいのですが、その職務を委任した場合相続に詳しい行政書士に依頼すれば、相続人や相続財産の調査から名義変更等の各種手続きまで、遺言執行者であるあなたに代わって全てスムーズに進めてもらうことができます。

 

また、相続財産目録の作成だけお願いしたい等という場合でも、状況にあわせて必要な範囲で委任を受けてくれるはずです。

 

依頼するための費用はかかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等の要素を比較しながら、ご自身の事情に合わせ、必要な範囲で利用を検討してみてください。