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遺言執行の流れについてわかりやすく解説

亡くなった方が遺言を残していた場合、基本的にその遺言書に従って相続手続きを行うことになります。この手続きは相続人が協力して行っていくことも可能ですが、煩雑な手続きであり、協力して行っていくのはとても大変です。

 

ですから、遺言を実現してくれる人(遺言執行者)を決めて、その人にやってもらうようにするのがオススメです。

 

ここでは、遺言執行の流れについてわかりやすく解説していきたいと思います。

 

遺言執行の流れは以下のようになります。

 

1.遺言の内容の確認

2.遺言執行者の選任

3.相続人調査、通知

4.相続財産の調査、財産目録の作成

5.各種名義変更等の手続

6.遺産の分配、報告

1.遺言の内容の確認

 

遺言書の種類によって内容の確認方法が異なります。

 

遺言書には大きくわけて2つの種類があります。自筆証書遺言と公正証書遺言です。

公正証書遺言ならそのまま内容を確認して次のステップへ!

公正証書遺言は作成するのに手間がかかる分、亡くなった後の手続はスムーズで、そのまま次のステップに進めます。

自筆証書遺言なら勝手に開けずに裁判所へ!

しかし、自筆証書遺言は作成するのが簡単な分、亡くなってからの手続が少し面倒です。

自筆証書遺言をみつけたら、その内容を確認する前に(封を開ける前に)家庭裁判所に提出し、「検認」をしてもらわなければなりません。つまり、自筆証書遺言の場合は、その内容を家庭裁判所で確認することになります。

2.遺言執行者の選任

遺言書の内容が確認できたら、遺言書通りに相続手続きを行っていきます。遺言執行者を選任することで手間を大幅に省くことができますので、遺言執行者をきめて、その人がまとめて相続手続きを行うのがオススメです。

 

遺言執行者の選任方法は2つです。

 

まず一つ目は、遺言書で遺言執行者を指定する方法です。

 

遺言書で遺言執行者が指定されていれば、その人が遺言執行者になります。ただ、その人が既に亡くなっていた場合や、認知症等で遺言執行者になる能力がない場合、遺言執行者への就任を拒否した場合等は、新たに遺言執行者を選任します。

 

遺言執行者を決めるもう一つの方法は、家庭裁判所で選任してもらう方法です。

 

遺言執行者が遺言書によって決まらなかった場合は、相続人等の利害関係人が家庭裁判所に申し立てをして遺言執行者を決めてもらいます。

3.相続人調査、通知

遺言執行者になったら、まずは戸籍で相続人を調査し、遺言執行者に就任した旨を相続人に通知します。

 

調べなくても相続人が誰かわかっているという方もいらっしゃるかと思いますが、もしかしたら知らなかった相続人がいるかもしれませんし、ここで集めるべき戸籍謄本は今後の手続で必要になりますので、かならず、亡くなったからの戸籍謄本をすべて収集し、正確に相続人を特定するようにします。

4.相続財産の調査、財産目録の作成

遺言執行者は遺言書の通りに相続手続きを行っていくことになりますが、遺言書には、亡くなった方の意思だけが記載されていて、相続財産のすべてが記載されていない場合もありますので、遺言執行者は相続財産の調査を行います。

 

遺言執行者には、財産目録を作成する義務がありますので、この調査は怠らないようにしましょう。

 

調査が完了したら、すべての相続財産についてまとめた財産目録を作成し、各相続人に交付します。

5.各種名義変更等の手続

財産目録の作成が終わったら、各種相続財産の名義変更等の手続に入ります。

 

遺言書の通りに不動産や預貯金口座、自動車等、すべての相続財産の名義変更や解約の手続を行います。

6.清算金の分配、報告

名義変更等の手続ができたら、売却によって得た利益や銀行から払い戻したお金から手続きに要した費用や遺言執行者への報酬(遺言書通りか、家庭裁判所で決めた額)を差し引き、残りのお金を遺言書通りに分配します。

 

そして、すべての遺言の執行が完了して業務完了報告をすれば遺言執行者の仕事は終わりです。

 

いかがでしたでしょうか。

 

これらの任務を行う上では、役所から戸籍謄本を収集したり、法務局で登記の手続きをしたりと、すべて自分で行うのはなかなか大変な手続きです。

 

そこで、遺言執行者としての職務を第三者に委任することができるようになっています。

 

これは2019年7月の改正法によるもので、これまでは、「やむを得ない事由」がなければ、他の人に遺言執行者としての任務を依頼することはできなかったのですが、法改正によって、やむを得ない事由がなくてもできるようになりました。

 

そのため、この遺言執行者を弁護士や行政書士等の相続手続きに詳しい専門家に依頼することで、さまざまな手続きがスムーズに進み、より遺言が実現される可能性が高くなります。

 

 

もし自分で遺言執行者としての手続きを行うのが難しいと思う場合は、専門家に依頼する良いでしょう。依頼するための費用はある程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。