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遺言執行手続きは誰かに委任できるの?

亡くなった人が遺言書を残していて、その遺言書の内容を確認したところ、自分が「遺言執行人」として指定されていた!そもそも「遺言執行人」ってなに?どんな事をするの?どうすればいいの??

 

もし自分がそんな状況に追い込まれた時、「誰か代わりにやってよ」と思ってしまうのも仕方のないことだと思います。

 

「遺言執行手続を誰かに委任して代わりにやってもらう事できるのか?」について解説をしていきたいと思います。

 

答えから先に言ってしまうと、「今は原則できるようになりました!」「以前は原則できませんでした」というのが結論になりますが、少し詳しくお話します。

 

まず、「遺言執行人」というのは、亡くなった人の遺言の内容を他の遺族に代わり実現化していく人です。

 

「遺言執行人」は、遺言書に指定された人がなり、相続手続き全般を、他の遺族に代わって行っていくことになります。手続きの多さによっては、とても大変な役割になります。「遺言執行人」の指定が無い場合は、遺族みんなで相続手続きをしていくことになります。

では、本題の「遺言執行人」を誰かに委任して代わってやってもらえないか?については、2019年7月1日以前と以降で答えが大きく変わってきます。

 

2019年7月1日から「民法」という法律が大きく変わりました。「遺言執行人」の委任に関して、大きく扱いが変わりました。まとめると下記になります。

(2019年6月30日以前作成の遺言書の内容を執行する場合)

亡くなった方が残した遺言が2019年6月30日以前の作成日付であった場合は、下記の2つの場合を除き、原則できませんでした。

 

①遺言執行人に「やむを得ない事情」がある場合

「やむを得ない事情」って何? 一言で言うと、遺言執行人として指定されたけど、持病が悪化して、遺言執行人としての仕事ができない場合や、海外に転勤になったから日本で活動できない、というようなケースを相続してもらえればと思います。

 

②遺言書に遺言執行人の復任権を認める事が記載されていた場合

亡くなった人が残した遺言書に遺言執行者がだれか他の人に代行させてもいいよ(復代理させてもいいよ)と記載されていた場合も、遺言執行人が誰か別の第三者に遺言執行の代行を任せることはできます。

以上が2019年6月30日までに作成された遺言書の内容を執行する場合です。

 

かなり遺言執行の代行に制限が掛けられていることがお分かりいただけると思います。特に遺言書に復任権を認める事がかかれている場合というのは、亡くなった人が生きているうちに対策しておいてもらわないと、亡くなった後ではどうすることもできませんよね?!

 

ですから2019年6月30日以前ですと遺言執行の第三者への委任は「原則できない」という事になります。

では現在はどうなのか??というと・・・。

(2019年7月1日以降作成の遺言書の内容を執行する場合)

原則、遺言執行人が別の第三者に、遺言の執行を任せることができる様になりました。

 

ただし、例外があります。その例外とは、亡くなった人が遺言書に「遺言執行は必ず遺言執行人がしなくてはいけない。」とか「第三者の遺言執行はダメ」というような感じで、遺言執行を他の第三者に委任して代わりにやってもらうことを禁止していた場合は、遺言執行を他の第三者に代行してもらうことはできません。

 

このように「民法」が改正された事で、改正前と改正後では真逆の答えになっています。

 

遺言執行人の業務は、ものすごく大変なのは昔からわかっていましたが、法律で原則禁止されていただめ、代わりにだれかにやってもらうことができませんでしたが、最近になってようやく現実的に遺言執行がやりやすくなるように配慮されたのだと思います。

 

ただし、遺言執行人が遺言執行を誰かに委任して、代わりにやってもらうことができたとしても、その責任は全て遺言執行者が負うことになります。

 

例えば、遺言執行を代行した第三者が何かしら失敗して、他の人に損害を出した場合、その責任は遺言執行人が取らないといけなくなります。

 

この注意点を念頭において遺言執行人が遺言執行を誰かに委任する際は、慎重に選ばないと、とんでもない責任がブーメランのように自分に帰ってくる可能性もありますからご注意ください。

 

 

遺言の執行は非常に手間のかかる作業になります。民法が改正された事によって第三者に頼みやすくなったとはいえ、専門的知識もない人に頼むのは非常にリスクがあります。
遺言執行は行政書士のような専門家に任せることもできますので、一度行政書士に相談をすることをお勧め致します。