トップページ > 身寄りなしでも安心な死後事務委任
身寄りなしでも安心な死後事務委任
「身寄りが居ないけど、自分が死んだら色々な事務手続きはどうなるの?」そんな心配をされている方も多いのではないでしょうか?
2040年には、65歳以上の単身世帯が男女共に20%以上になるとも推計されており、私達にとってとても身近な問題になってきています。身寄りがいない方だけでなく、親戚が遠方にいて疎遠、という方も、死後事務をどうするかについては備えをしておいた方が良いでしょう。
では、ここからは身寄りがなくても行政書士などの第三者に死後事務を任せられる、死後事務委任について解説をしていきます。
生前に死後事務委任契約を結んで自分の希望を託す
一言に死後事務といっても、その内容は多岐に渡ります。
以下が、一般的に考えられる死後事務の一例です。
1.死亡届の提出
2.健康保険や年金の資格抹消申請
3.親族への連絡に関する事務
4.通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務
5.菩提寺の選定、墓石建立
6.医療費や入院費等の清算手続き
7.老人ホーム利用料等の支払い
8.相続財産管理人の選任申立手続
9.遺品の整理・処分
10.公共サービス等の名義変更・解約
11.SNSアカウントの解約や退会
12.パソコン・スマホのデータ消去
13.賃借建物明渡し
簡単に言うと、財産承継以外の全ての事務といっても良いかも知れません。
これらの死後事務は、近い関係のご遺族がいれば、ご遺族によってなされることがほとんどですが、身寄りが居なければそうはいきません。
そこで、死後事務委任契約を結ぶことによって、身寄りが居ない場合でも、安心して行政書士などの第三者にお願いすることが出来ます。
また、契約書に、これはこうしてほしい、という希望を落とし込むことも可能です。
どの程度具体的に自分の希望を叶えてもらえるかと言うと、それは契約書を詳細に作れば作るほど実現する、という風になります。
死後事務委任契約書の一部を例として見てみましょう。
(委任事務の範囲)
第○条 甲は、乙に対し、甲の死亡後における次の事務(以下、「本件死後事務」という。)を委任する。
(1)通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務
(2)永代供養に関する事務
(3)老人ホーム入居一時金等の受領に関する事務
(4)別途締結した任意後見契約の未処理事務
(5)行政官庁等への諸届け事務
(6)以上の各事務に関する費用の支払い
(通夜・告別式)
第○条 前条の通夜及び告別式は、○寺に依頼する。
(永代供養)
第○条 第○条の納骨及び埋葬は、○寺にて行う。
(連絡)
第○条 甲が死亡した場合、乙は、速やかに甲が予め指定する親族等関係者に連絡するものとする。
このように、通夜や納骨の場所も指定が出来ますし、死亡を知らせて欲しい人も指定することが出来ます。
また、委任をするのが、行政書士のような国家資格者であれば、守秘義務によって、ご自身の意向も漏らされること無く安心して任すことが出来ます。
死後事務委任契約では、受任者にお金を預けておく
死後事務委任契約を結んでいる場合、委任者が死亡すれば、受任者すぐさま死後事務を開始することになります。
そこで、葬儀の準備や病院代の支払いなど大きな出費も重なりますので、予め預託金として100万円程度渡しておくことが通常です。(※希望する葬儀の規模や報酬によって金額は相談することになりますが)
ここで心配に思われるのは、「専門家とは言っても他人に大金を預けておくのはちょっと心配、、」ということでしょう。
しかし、これに対しては、預託金を預かった専門家から預り証を発行してもらったり、定期的に使い込みが無いかといった確認をすることも可能です。
これも契約書に盛り込んでおくと良いでしょう。
(記載例)
(預託金の授受)
第○条 甲は、乙に対し、本契約締結時に、本件死後事務を処理するために必要な費用及び乙の報酬に充てるために、金○万円を預託する。
2 乙は、甲に対し、前項の預託金(以下「預託金」という。)について預かり証を発行する。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(報告義務)
第○条 乙は、甲に対し、1年ごとに、預託金の保管状況について書面で報告する。
さてここまでいかがだったでしょうか?
このように、行政書士のような専門家と生前から話し合い、自分の希望する方法によって死後事務を委任することが出来ます。
実際にあった話で、夫に先立たれた妻が後から亡くなったものの、夫のお墓の場所が分からず、結局自治体により火葬、無縁納骨堂に収められてしまったというものがあります。
とても悲しい話です。みなさんがそんな悲しい結末にならないよう、生前から出来ることがあると、知って頂ければ幸いです。
もし、ご自身でこれらの作成を行うことが難しい、不安だと感じるようであれば、行政書士などの専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。
依頼するための費用はある程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、将来のリスクや、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等を比較しながら、検討してみてください。