トップページ > よくあるQ&A > 非弁行為と言われないための遺言執行

非弁行為と言われないための遺言執行

非弁行為と言われないための遺言執行はどうすればよいのか?

 

結論を先に言うと、「遺産の分配内容をしっかり定めた遺言書」を作成する!ということになると思います。

 

そもそも「非弁行為」って言葉聞いたことありますか?なんかこむずかしい言葉ですよね?

 

「非弁行為」を簡単にいうと、誰かの依頼で弁護士でもない人が弁護士の様な仕事をして依頼者からお金をもらう事です。

 

もうすこし具体的にいうと、弁護士が本来やるべき法律事件や法律上の争い事に介入して、弁護士でもない人がその事件の解決のための和解交渉や仲介などを代理しておこなって、お金をもらうことが「非弁行為」と言われます。

 

亡くなった人が書き残した遺言書において、遺言執行者の指定があった場合、その遺言の内容を執行するのは遺言執行者になります。「遺言執行者」の業務の目的は、亡くなった人が書いた遺言書の内容を実現していくことが第一ですので、「遺言執行者」には様々な事ができる権限が与えられています。

 

遺言執行者は未成年者や成年被後見人以外、基本的に誰でもなることができますが、遺言の執行は非常に手間がかかる作業となる場合が多く、専門的な知識も必要になる場面もあるため、 亡くなった人が、「相続手続きは大変だから、遺言執行は専門家に依頼しておこう」と遺言を作成する段階から専門家や銀行等と相談して遺言書を作成することが増えてきています。

 

遺言執行者が遺言執行を進めている段階で、「非弁行為だ!」と問題になるケースも注意しないとあります。非弁行為になるのはどの様な場合なのでしょうか? 

 

弁護士さんに遺言執行を頼まないと非弁行為になるの?? 色々疑問があると思いますが、その点を解説していきます。

 

まず、弁護士に業務を依頼をすれば「非弁行為」にはなりません。だって弁護士さんなので!

 

でも、以下のポイントを注意すれば弁護士以外の専門家、例えば行政書士や司法書士も遺言執行者になることはできるのです。

①遺言執行者として遺言書に指定してあるか?!

亡くなった人が遺言書で弁護士以外の専門家を遺言執行者として指定していた場合、指定された専門家は、遺言執行者として(遺言執行の当事者として)遺言書の内容の実現に向け、様々な手続業務を行うことができます。

基本的に「非弁行為」に当たる事はありません。遺言執行に関わる法律の相談にも乗れますし、問題なく報酬も受け取れます。

 

尚、亡くなった人の遺言書で遺族のうちの誰かが遺言執行者に指定されていて、その指定された遺言執行者の代わりに遺言執行をする場合はどうでしょうか?

 

そもそも遺言執行者の代理は一定の場合を除いて認められていません。仮に代理で行う復任された専門家や、たんなる執行お手伝いの履行補助者の専門家の場合は当事者ではなく、代わり役の扱いとなるので、指定された遺言執行者程強い権限はありません。

②遺言書の内容が「遺留分」を無視していないか!?

「遺留分」とは遺族の方が最低限もらえる遺産を法律的に保証した取り分のことです。例えば、遺族が3人いて、そのうちの1人に全額遺産を相続させるという遺言があったとしても、他の2人の「遺留分」は保証されるので、遺産が全くもらえないといは原則ありません。それを遺言の内容だからと、遺産のもらえない2人を説得したりすると「非弁行為」になります。

③遺言書の内容そのものに争いはないか??

また、「遺言書そのものの無効」が争われている場合とは、例えば、「その遺言書は本当に亡くなった人が書いた物か怪しい!だれか別の遺族が書いたんじゃないか?」と遺族間で争いがある場合などはその争いを弁護士でもない専門家が介入して、遺族間の交渉を行うと「非弁行為」にあたってきます。

 

尚、「遺言執行者」は遺言の内容の実現が目的なので、仮に遺言の内容に書かれていない遺産の事については、執行する権限がないので、遺族間で争いがある場合は、弁護士以外介入することができません。

以上が注意するポイントになります。

 

まとめると、亡くなった人の遺言書で指定された遺言執行人が、弁護士以外であったとしても、遺言の内容をしっかり定めた遺言書であれば、争いが起きる可能性は非常に低くなり、争いがない相続の遺言執行者として、弁護士でない人が遺言執行をしても「非弁行為」ではなくなる。ということになります。

 

まあ、遺言の内容と争いの有無が大きなポイントにあるということです!!

 

その意味でも遺言執行をするうえで、「しっかりとした遺言書」の作成は重要になってきますので、行政書士のような専門家に早めにご相談されるのがよいと思います。