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公正証書遺言を開封したら遺言執行者になったら

公正証書遺言を開封したら、【自分が遺言執行者に指定されていた。】そんな時、あなたならどうしますか?

 

中にはそんな大事な役割できればやりたくない、という方もいらっしゃるでしょう。

 

結論から言うと、公正証書遺言であなたが遺言執行者に指定をされていても、遺言執行者への就職は辞退することができます。

 

また、就任してしまっても行政書士などの専門家に代理で遺言執行をしてもらうことも可能です。

 

これから、もし自分が公正証書遺言で遺言執行者に任命されていた場合の対応と、就任した際の義務などを説明していきます。

遺言執行者への就任は義務ではない!

遺言執行者に就任してしまえば、遺言執行に関して、大きな義務が発生してしまいます。しかし、遺言執行者に就任すること自体は義務ではありませんので、将来トラブルに巻き込まれるのはゴメンだという方は、遺言執行者への就職を辞退するのも一つの手でしょう。

民法第1007条1項

遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

 

遺言執行者は就職を承諾してしまえば任務を行わないといけませんが、就職を承諾しなければ遺言執行の任務は行わなくても大丈夫です。

 

では、遺言執行者への就職を辞退したい場合は、いつまでに辞退の意思表明をしないといけないのでしょうか?

 

民法第1008条 

相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、遺言執行者が、その期間内に相続人に対して確答をしないときは、就職を承諾したものとみなす。

 

答えは、相続人や利害関係人が定めた期間内です。相続人や利害関係人は、公正証書遺言で遺言執行者に指定された人が、遺言執行者への就職をなかなか承諾しない場合、催告をして、いついつまでに回答してださい、と促すことが出来ます。

 

これを無視してしまうと遺言執行者として就職することを承諾したものとみなされてしまいますので気をつけましょう。

遺言執行は専門家に代理することが出来る!

中には、遺言執行者に選定されて、特に何も考えずに就職を承諾してしまったという方もいらっしゃるのでは無いでしょうか?

そんな場合、病気や急な海外転勤のような、遺言執行が出来ないと思われる合理的な理由でもなければ、遺言執行者の辞任は認められません。

 

でも実際遺言執行の中身をみてみると、とてもじゃないけど自分の手には負えない、、そういった場合には専門家に遺言執行を代理してもらうことを検討しましょう。

 

民法改正によって、2019年7月2日以降の遺言書については、広く代理人を選任することが認められました。

 

そのため今後は徐々に遺言執行を専門家が代理で行うことも増えてくるかと思います。

 

しかし、それ以前の遺言執行の代理については、その点改正民法の適用はありませんので、専門家の協力を得るのであれば補助として頼る、といった範囲に留まります。

遺言執行者としての義務を知っておく!

ここまでで、遺言執行者は、その就職を辞退できることや、今後代理人選任の可能性が広がってきていることが分かりました。

実際、相続人が多かったり、相続財産が多岐にわたる場合など、遺言執行を問題なく遂行することが素人には難しいことは珍しくありません。

 

遺言執行者として遺言執行をする時、自分はどのようなことをしなければならないのかを知った上で、最適なプロセスに進むことがとても大切と言えます。

 

ではここで、遺言執行者としての仕事内容をみておきましょう。

 

・就任通知書を作成して相続人に交付する

・相続財産の調査を行う

・上記を基に財産目録を作成する

・相続人の戸籍等を収集する

・財産目録を相続人に交付する

・預金の名義変更や不動産の名義変更など、遺言内容を実行する

・遺言執行の任務完了を報告する

 

いかがでしょうか?

 

就任通知書ってどうやって作るの?どうやって交付するの?相続財産の調査ってどうやって行うの?財産目録はどうやって作るの?戸籍はどうやって集めるの?各種名義変更はどうやって行うの?などなど、、

 

沢山の疑問が思い浮かんだのではないでしょうか?

 

その他にも、相続人が財産目録の作成に立ち会いを希望した場合はそれに応じないといけない、など知っておくべきルールもたくさんあります。

 

もし、ご自身でこれらを行うのが難しいから遺言執行者にはなりたくない、もしくは代理人に任せたい、と思うようであれば、行政書士、司法書士、弁護士などの専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。
依頼するための費用はある程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、将来のリスクや、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等を比較しながら、検討してみてください。