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遺言執行者が財産目録を見せてくれない場合の対処法

遺言執行者に遺言の執行をしてもらっているけど、財産目録を見せてくれない!これから相続放棄の申述の期限も迫っているのにどうしたらいいの?とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

ここでは、

 

・遺言執行者が財産目録を交付してこない

・遺言執行者に財産目録の交付を請求しても断られた

 

といった場合に、相続人たちはどのような対処ができるのか、説明をしていきたいと思います。

 

まず結論から言ってしまうと、これらの場合、相続人はたとえ遺留分のない相続人であっても、進捗状況の報告や、財産目録の交付を求めることが出来ます。請求してもそれに応じない場合は、損害賠償請求が出来る可能性もありますので、弁護士に相談をすると良いでしょう。

 

では、次に内容について見ていきます。

財産目録の交付は遺言執行者の義務!

民法には次のような規定があります。

遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。(民法1011条1項)

遺言執行者は、相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、又は公証人にこれを作成させなければならない。(民法1011条2項)

 

つまり、遺言執行者は遺言執行者になった後には、すぐに財産目録を作成して、相続人や包括受遺者に交付しなければいけません。

 

さらに、相続人は遺言執行者に請求をすることで、相続財産目録の作成に立ち会うことができます。公証人に作成してもらう際にも、相続人の立ち会いが必要になるので、立ち会いの手間は増えるかも知れませんが、安心はできると思います。

 

このように、法律で遺言執行者には財産目録を交付しなければならない、と明記されているわけですから、財産目録は交付されて当然となります。

 

法律を盾に遺言執行者に請求をしてみましょう。

 

また、補足にはなりますが、遺留分のない相続人でも財産目録の交付は請求できるか?という問題があります。

 

どういうことかというと、例えば亡くなった方の兄弟姉妹が、遺言執行がしっかりされているか確認をしたいという場合、兄弟姉妹のように遺留分が無くても、遺言執行者に対して財産目録の交付を請求できるとされています。

 

もし、これらの相続人や包括受遺者(遺言書で財産をもらうことになった法定相続人でない人)、遺留分のない相続人の方で、請求したにも関わらず遺言執行者から財産目録の交付をしてもらえない、といった場合で、何か損害が生じた場合には、遺言執行者がすべきことをしていない、ということで損害賠償請求が可能です。

 

そこまで話がこじれてしまった場合には弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

財産目録の内容が正確か確認する!

相続財産目録の交付請求に応じなかったり、進捗状況の報告を拒否されるようなことがあると、相続人と遺言執行者の信頼関係はボロボロになってしまいます。

 

また、遺言執行者が、「相続手続きが素人の故人の友達」に指定されていた場合など、最初から不安や不信感を抱いている場合もあるかと思います。

 

そこで、財産目録の交付を拒まれた場合の対処に加えて、財産目録が正確であるかどうかを確かめる方法についても少し解説をしておきます。

 

まず、遺言の執行が完了する前であれば、さきほど説明のあった、相続人の立ち会いのもとでの財産目録の作成を請求しましょう。相続財産目録を作る際には、根拠と成る資料があるはずですのでそれを実際に見ながら内容に不足がないか等を確認することが出来ます。

 

さて、ここまでいかがだったでしょうか?

 

まず、相続人や遺言書によって包括受遺者となった人は、遺言執行者に対して、進捗状況の報告や、財産目録の交付の請求をすることが出来ることが分かりました。また、相続人に請求されると、遺言執行者は相続人を財産目録の作成に立ち会わせなければなりません。これを利用して、自ら内容の正確性を確認することも可能です。

 

もし、遺言執行者がこれらに応じない場合には、受けた損害について損害賠償請求ができますので、その際には弁護士に相談をしましょう。

 

もし、ご自身でどのように対処をすれば良いのか分からないとのことであれば、専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。

依頼するための費用はある程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、将来のリスクや、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等を比較しながら、検討してみてください。