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遺言執行を妨害されたら?妨害禁止

遺言執行を妨害されたらどうしようと不安に感じてる方も多いのではないでしょうか?実際に遺言執行を妨害されてお困りの方もいらっしゃると思います。

 

今回は、遺言執行を妨害されたら?と題して、遺言執行の妨害禁止についてご説明していきたいと思います。

 

結論からいいますと、原則的には遺言執行を妨害された場合には、その妨害行為は無効となります。

 

原則があれば例外もあり、妨害行為によって利益を受けた人が、遺言執行者がいることについて知らなかった場合には有効となってしまうのです。それでは具体的に見ていきましょう。

1、遺言執行とは

遺言執行とは、遺言書の内容を実現するための相続手続きをおこなうことをいいます。亡くなった人が遺言書を残していても、相続が発生したタイミングで遺言書の内容が自動的に実現されるわけではありません。

 

例えば不動産の名義変更や預貯金の名義変更、株や投資信託などの金融商品の名義変更などの手続きをすることで、遺言の内容を実現していくことになります。

 

この遺言執行をする人のことを遺言執行者と呼ばれます。遺言の内容はケースバイケースではありますが、ほとんどが相続人間で対立することが多いです。それはやはり、遺言の内容が不公平になっているのが多いことに起因しているのかもしれません。

 

さらには、血縁関係もない第三者に一部の財産を譲る(遺贈という)なんていう内容が書かれていたら、どのようになるかは想像に難くないですよね。なので、遺言執行者は公平性がある形で選んだほうが良いと思います。

2、遺言執行者の選任方法

遺言執行者の選任方法には次の3つの方法があります。

 

①遺言書で選任する

遺言書であらかじめ「遺言執行者は専門家の〇〇氏とする」というように指定する方法になります。ただ、指定されたからといって必ずしも遺言執行者にならなければならないわけではありません。遺言執行者となることを断ることもできますので、指定する場合には、あらかじめ了承をもらっておくとスムーズに進めることができます。

 

なお、遺言執行者は信頼できる専門家にしておくことをお勧めいたします。専門知識がないまま遺言執行者となってしまうと、遺言の内容が実現できなくなる恐れもありますので、信頼ができる専門家にお願いをするべきでしょう。

 

②家庭裁判所が選任する

これは遺言書で遺言執行者が指定されていない場合に、家庭裁判所に選任をしてもらう方法になります。相続人が家庭裁判所に遺言執行者選任の申し立てをおこなうのですが、このときに、申し立てをする側(つまり相続人)が候補者を指定して申し立てをすることができます。

 

候補者を指定した場合には、家庭裁判所はその候補者を遺言執行者として選任することになりますので、こちらも信頼できる専門家を候補者として申し立てをおこなうようにしたほうが良いでしょう(もちろん候補者として指定する人にあらかじめ了承はとりましょう)。候補者がいない場合には、家庭裁判所が備え付けのリストの中から勝手に選任する形となります。

 

③第三者が選任する

遺言書のなかで、「〇〇氏が遺言執行者を選任する」ということを記載してあれば、その人が遺言執行者を選任することになります。〇〇さんが死亡している場合には、②の家庭裁判所が選任する方法になります。

3、妨害行為

遺言執行者が遺言書の内容を執行しようとすると、妨害行為をする人もなかにはいるようです。例えば、相続財産のなかに不動産がある場合で、遺言によってその不動産を相続できなかった相続人が、勝手に不動産を名義変更して売却してしまう、という妨害行為をした人がいたとします。

 

この場合には、この不動産の名義変更登記は原則無効となりますが、売却をされた側(つまり不動産を取得した人)が、この不動産について遺言執行者がいることを知らなかった場合には不動産売却は有効となってしまいます。簡単にまとめると下記のようになります。

 

・遺言執行者がいることを知りながら相続財産を譲り受けた人=無効

・遺言執行者がいることを知らずに相続財産を譲り受けた人=有効

 

いかがでしたでしょうか。今回は、遺言執行を妨害されたら?妨害禁止についてご説明させていただきました。

 

妨害行為は原則無効になりますが、遺言執行者いることを知らなかった人に対しては有効となってしまいます。遺言執行はとても慎重に堅実にする必要があります。妨害行為があった場合でも速やかに対処できるよう危機管理能力も大事になります。

 

もし実際に妨害行為にあう恐れがありそうな場合には、専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は本人の財産によってある程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。