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遺言執行は弁護士に依頼すベき?

相続手続きで、亡くなった人の遺言がある場合、その遺言通りに相続手続きを行う「遺言執行者」が決められていることが多いです。

 

この遺言執行者としての任務はなかなか大変な手続きですので、○○○士等の専門家へ依頼することを考えておられる方もいるかと思います。

 

そこで、ここでは遺言執行は弁護士に依頼すべき?という疑問に、行政書士の場合と比較しながらお答えしていきます。

遺言執行者とは?

遺言執行者とは、亡くなった方の代わりに、遺言書に記載されている内容を実現する人のことを言います。

 

この遺言執行者を選任しなくても、遺言が無効になるわけではなく、効力は変わりません。

ただ、遺言を遺す人は、「きちんと遺言の内容通りに相続手続きしてくれるだろうか」と不安になるものです。そこで、代表者として遺言執行者を選任しておくことで、執行者には義務が生じますので、遺言通りに手続きをしてくれる可能性が高くなります。

遺言執行者の行うこと

遺言執行者は、「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」と定められており、遺言を実現させる義務が課されます。

 

実際には、次のようなことを遅滞なく行わなければなりません。

 

①相続人の調査

②相続財産の調査並びに相続財産目録の作成

③各種相続財産の名義変更等の手続

 

これらの任務を行う上では、役所から戸籍謄本を収集したり、法務局で登記の手続きをしたりと、すべて自分で行うのはなかなか大変な手続きです。

 

そこで、遺言執行者としての職務を第三者に委任することができるようになっています。

 

これは2019年7月の改正法によるもので、これまでは、「やむを得ない事由」がなければ、他の人に遺言執行者としての任務を依頼することはできなかったのですが、法改正によって、そういった事由がなくてもできるようになりました。

 

そのため、この遺言執行者を弁護士や行政書士等の相続手続きに詳しい専門家に依頼することで、さまざまな手続きがスムーズに進み、より遺言が実現される可能性が高くなります。

 

それでは、遺言執行者を専門家に依頼する場合、それぞれの専門家でどのような違いがあるでしょうか。

弁護士に依頼するメリット

弁護士は他の相続人とトラブルになった場合の交渉や、裁判になってしまった場合の代理人になることができます。これは、行政書士等他の専門家では行うことができません。

 

そのため、遺言書の内容通りに相続人間の手続きが進みそうになく、その後トラブルになってしまったときを想定して任せたいと思うような場合は、そのまま弁護士にやってもらうことができますので、大きなメリットがあるといえるでしょう。

行政書士に依頼するメリット

一方、行政書士はどのような場合に依頼するメリットがあるのでしょうか?行政書士は、「街の法律家」と言われるように、何と言っても金額面、手続面での敷居の低さに特徴があります。

 

そのような特徴から、以下のような場合は行政書士に依頼するメリットがあるでしょう。

 

①できるだけ費用を安く抑えたい

②基本的に自分でやるつもりでいるが、面倒なところだけ依頼したい

 

行政書士は、弁護士のように、トラブルになってしまった場合の他の相続人との交渉や裁判手続きを行うことはできませんが、遺言執行者としての業務そのものを行う上では特に制限はありませんので、弁護士と変わらず全てを任せることができます。

 

費用の面でも、弁護士の専門家より比較的安価なところが多いです。

 

また、基本的に遺言執行者としての任務は自分でやろうと思っているが、戸籍謄本の収集は大変そうだからここだけ頼みたいなと思っていても、弁護士事務所は遺言執行者すべての業務の依頼は受けていても、戸籍の収集のみは取り扱っていないという事務所も多く、このときはセットでないと依頼ができないことも多いです。このような場合も、行政書士であれば対応可能な事務所が比較的多いです。

 

行政書士に依頼するメリットは、費用が他の専門家より比較的安い点と、個別の依頼にも柔軟に対応してくれて、気軽に相談できる敷居の低さにあるといえるでしょう。

 

 

いかがでしたでしょうか。もし自分で遺言執行者としての手続きを行うのが難しいと思う場合は、専門家に依頼する良いでしょう。依頼するための費用はある程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。