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遺言執行で貸金庫を開ける時の注意点

遺言執行で貸金庫を開けるには、相続人全員の同意を得なければならないことがほとんどです。

 

遺言執行者が決まっていれば、相続に関する手続きはすべて遺言執行者が単独で行えると思っていらっしゃる方も多いかと思いますが、実はそうではありません。

 

遺言執行者が貸金庫内を確認したいという理由で、遺言執行者が単独で貸金庫の開扉を求めた場合にも、銀行側はその後のトラブルを避けるため、その貸金庫を開けてくれない場合があります。

 

では、遺言執行者が貸金庫を開けたい場合はどうすればよいのでしょうか?

遺言執行で貸金庫を開ける3つの方法

遺言執行者は以下の方法で貸金庫を開けることができます。

 

①遺言書で貸金庫を開ける権限を与えられている場合、単独開ける

②相続人全員の立ち合いのもとで開ける

③相続人全員の同意をもらって開ける

 

詳しく説明していきます。

 

①遺言書に貸金庫についての記載があればOK!

遺言書で遺言執行者が指定され、さらに遺言執行者に「貸金庫の開扉、解約、内容の取り出し」の権限を与えることが明記されていれば、遺言執行者は単独で貸金庫を開けることができます。

一般に、専門家が関与して作成される公正証書遺言の場合には、遺言の中に次のような文言が含まれていることが多いです。

 

第〇条 遺言者はこの遺言を執行するものとして○○を指定する。

第〇条 遺言者はこの遺言を執行するため、遺言執行者に対して次の権限を与える。

(1)遺言者名義の預貯金その他の相続財産の名義変更、解約及び払い戻し

(2)遺言者が契約する貸金庫の開扉、解約および内容の取り出し

(3)その他この遺言の執行に必要な一切の行為をすること

 

こうした文言があれば、遺言執行者は単独で貸金庫を開扉することが可能です。これから遺言書を作成しようと考えている方は、このような文言を加えておくと良いでしょう。

 

②相続人全員の立ち合いのもとであける

遺言書で遺言執行者に貸金庫開扉の権限を与えていない場合には、原則相続人全員の立ち合いがなければ開けることができません。

亡くなられた方が生前、貸金庫を開けるための代理人を定めている場合もありますが、子の代理人の権限は貸金庫の名義人が生きているときのみであり、死亡の時から代理人は開けることができなくなります。

遺言書に貸金庫についての記載がない場合には、相続人全員が立ち合い、開けるようにしましょう。

 

③相続人全員の同意書をもらって開ける

相続人全員が同じ日に集まって貸金庫の開扉に立ち会うことができない場合もあると思います。

そんな時は、相続人全員から同意書をもらうことで貸金庫を開けてもらうことができます。

ただし、この方法では中身を確認するだけで、中身をそのまま持ち帰ることができない場合があります。

お困りの際は、行政書士等の専門家に相談すると良いでしょう。行政書士等の専門家に依頼すれば、同意書の書面も用意してもらえます。

貸金庫を開けるときの流れ

①金融機関に連絡をして訪問日を決める

貸金庫の開扉をするには、事前に予約が必要な場合が多いです。相続人全員が立ち会う場合には、相続人全員で都合の良い日を相談して、事前に予約の電話をするようにしましょう。希望の日に予約が取れないこともありますので、候補日をいくつか決めておくことをお勧めします。

 

②必要な書類を集める

貸金庫を開ける日が決まったら、その日までに必要な書類を集めます。予約の際に必要な書類の説明があると思いますので、よく確認して、不備の内容に揃えるようにしましょう。

 

一般に必要となるのは次のような書類です。

 

・亡くなったからの戸籍謄本

・相続人全員の戸籍謄本

・相続人全員の印鑑証明書

・貸金庫のカード

・貸金庫契約時の届出印

・金融機関指定の申請書

 

戸籍の収集については、事前に相続人特定の際などに事前に取得していれば良いのですが、たくさんの戸籍を集めなければならず、予約してからでは間に合わない場合もありますので、事前に収集しておくと良いでしょう。

 

③予約した日時に金融機関へ行って貸金庫を開ける

予約した日時に金融機関へ行き、必要な書類がすべて揃っていることが確認されれば、貸金庫を開けることができます。

貸金庫の相続では、継続契約せず、解約を選ぶ方がほとんどだと思いますので、中身を持ち帰り、解約手続きを進めることになります。

いかがでしたでしょうか?

亡くなられた方が貸金庫の契約をしている場合には、そこに相続にとっても重要なものが遺されている場合が多いです。

 

亡くなられた方が貸金庫の契約をされていた場合には、貸金庫の開扉というのは相続手続きをする中で避けては通れません。

 

 

貸金庫の開扉は遺言執行者と相続人全員が協力して時間をかけて準備をすれば専門家でなくてもすることができますが、専門家に依頼することで、戸籍の収集やその後の財産目録の作成まで、すべでまとめてやってもらうことができ、スムーズに相続手続きを行うことができます。 ご自身で手続きを行うのが難しいと感じる場合には、専門家への依頼を検討されてみてはいかがでしょうか。