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遺言執行での不動産登記のやり方と注意点

亡くなった人が遺言書を残していて、その遺言書に遺言執行人を指定していた場合、亡くなった人が残した遺産を遺族に相続させる為、遺言執行人があれこれ色んな手続きに奔走します。

 

亡くなった人が仮に土地や建物等の不動産を残していた場合、亡くなった方の名義から遺族名義に名義変更をしないと、その不動産は遺族の物にはなりません!

 

この名義変更を不動産登記といって、そのやり方としては、不動産の所在地を管轄する法務局に申請書を書いて、法務局が求める必要書類を添付して申請して行うものなのですが、遺言執行人がこの不動産登記を行う際の注意点を記載していきます。

まず遺言執行人とは・・・

遺言執行人ってなんだか少し難しい言葉ですよね?遺言執行人を簡単に言うと、亡くなった人が書いた遺言の内容を実現させる為、いろんな相続手続きを遺族に代わって行う人というとイメージしやすいと思います。

 

ですから遺言の内容を執行するにあたっては、遺言執行人は単独でとても多くの事ができる権限を持っている人なのですね。

「そんなに大きな権限をもっているなら不動産登記だって楽勝じゃん!何も注意する事はないよね。」

そう思われる方も多いと思いますが、実は必ずしも楽勝ではないのです。実は遺言執行人でも不動産登記をする権限がない、つまり、遺言執行人単独では不動産登記ができない場合があるのです。

(遺言執行人が不動産登記できない場合)

亡くなった人の遺言書が特定財産承継遺言ではなかった場合

亡くなった人の遺言書に遺言執行人の指定が書いてあり、遺言書内容が特定財産遺言であった場合は、遺言執行人は不動産登記をすることができます。

 

「特定財産承継遺言」・・難しいワードですよね?

 

「特定財産承継遺言」とは簡単にいうと、遺言書の内容が例えば、「私の自宅の土地と建物をAに相続させる」とか「私の持っているマンションをBに相続させる」とか、相続財産個々の指定と、それをもらう人の指定が明確になった遺言の事です。

 

「特定財産承継遺言」ではない遺言内容とは、例えば、「私の全財産をAに相続させる」とか「遺産の3分の2をBに相続させる」とか、個々の遺産の指定の無い物をいいます。

 

ですから亡くなられた人の遺言の内容が、「私の自宅マンションをAに相続させる」となっていれば、遺言執行人はAに代わって単独でそのマンションの不動産登記をする事ができますが、遺言書の内容が「全財産をAに相続させる」となっていた場合、遺言執行人は、Aに代わって単独では不動産登記できないのです。

 

いかがでしょうか? ちょいと小難しい話でしたが、ここまでご理解頂けましたか?

 

実は・・。遺言の内容が特殊財産承継遺言であった場合に遺言執行人が単独で不動産登記をできる様になったのは、ここ最近の話なのです!

 

2019年7月1日に「民法」という法律が大きく変わりまして、この「民法」が変わった事によって特殊財産承継遺言であった場合に遺言執行人が不動産登記をできる様になりましたが、それ以前は実はできなかったのです。

 

「へぇ~そうなの?! でも今はできるのでしょ?! 昔の事は関係ないじゃん!」と思ったかもしれませんが、実はすごく関係あるのです。

 

特殊財産承継遺言であった場合に2019年7月1日以降は、確かに、遺言執行人が単独で不動産名義をすることはできるようになりましたが、これは、「2019年7月1日以降に作成された遺言書」の場合になります!

 

「ん?どういうこと?」仮に亡くなったのが2019年7月1日以降であっても、亡くなった方が残した遺言書の作成日が2019年6月30日以前であった場合は、遺言書の内容が特殊財産承継遺言であっても、遺言執行人は不動産登記を単独でできず、結局は不動産を相続した遺族がしなくてはいけなくなります。

 

「なんかめんどくさい!」と感じるも当然です! 法律ってややこしいですから!

 

まとめると、不動産の登記を遺言執行人に任せたい時の注意点としては、

 

①遺言書の内容が、特殊財産承継遺言になっているか?

②遺言書の作成日が2019年7月1日以降であるか?

③そもそも遺言執行人の指定はあるか?

 

以上のポイントを確認してからすすめるべきだと思います。

 

相続手続きは色々と面倒な事も多く、法律的な知識も必要になってきます。相続手続きでお悩みの場合は、早めに専門家に相談をする事をお勧めいたします。