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遺言執行での銀行口座の名義変更

遺言執行では財産目録の作成から遺言書の内容の実現まで実に多くのことをしなければなりません。その中のひとつで、ほとんど全ての相続案件で登場するのが銀行口座の名義変更です。

 

中には、遺言書には預金の分け方も指定があったけど、どうしたらいいのかさっぱり、といった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

一般的には、遺言書がある場合は遺言書がない場合に比べると、銀行に提出する書類が少なくて済みます。と言っても、遺言書がない場合の手続方法も分からなければ比べようがありませんね。ではこれから、具体的にどういった流れで進み、どういった書類が必要になるのか、見ていきましょう。

銀行口座の名義変更の基本の流れ

まず、銀行口座の名義変更の大きな流れを見ておくと、次のようになります。

 

1.銀行に口座名義人の死亡を通知する

2.銀行に必要書類を集めて提出する

3.銀行に名義変更・払い戻しをしてもらう

 

まずは、銀行に口座名義人が亡くなったことを通知します。多くはその銀行に相続専門のページがありますので、そこに電話番号の記載があります。その際には、名義人氏名や口座番号などを用意しておいて、スムーズに情報伝達ができるようにしましょう。

次に、銀行から書面で必要書類の一覧が送られてきますので、それに基づいて書類を集めます。遺言書があるパターンにも、遺言執行者が居るか居ないかで書類が少し違います。三菱UJF銀行を例にとって見てみましょう。

必要書類

1−1. 「遺言書がある」+「遺言執行者もいる」

•相続届(署名押印は遺言執行者)

•遺言書

•戸籍謄本(故人の死亡が確認できるもの)

•印鑑証明書(遺言執行者のもの、発行から6ヶ月以内)

•通帳、キャッシュカード

•家庭裁判所の検認済証明書(遺言書が公正証書遺言書でない場合)

•家庭裁判所の遺言執行者選任審判書謄本(遺言書で遺言執行者の指定がない場合)

1−2. 「遺言書がある」+「遺言執行者はいない」

•相続届(署名押印は受遺者(資産を承継する人))

•遺言書

•戸籍謄本(故人の死亡が確認できるもの)

•印鑑証明書(受遺者のもの、発行から6ヶ月以内)

•通帳、キャッシュカード

•家庭裁判所の検認済証明遺書(遺言書が公正証書遺言書でない場合)

 

大きな違いとしては、遺言執行者がいる場合は1人の押印や印鑑証明書の提出で手続きができるのに対し、遺言執行者が居ない場合では、受遺者が複数人いれば受遺者全員の押印や印鑑証明書が必要になるということです。

 

ただ、どちらにも共通して言える良いことは、相続人全員の戸籍謄本は必要ないということです。遺言書がない場合ですと、相続人全員の戸籍謄本や亡くなった方の一生分の戸籍謄本を集める必要が出てくるので、その点遺言書があってラッキーとも言えます。

 

さて、ここまでくれば後は銀行に書類を提出してあとは手続きをしてもらうのを待つだけです。

 

複数の銀行に口座が散らばっている場合は、面倒ですが一つ一つこれを行っていくことになります。

遺言執行者がいるほうが手続きは簡単なのか?

銀行口座の名義変更をするのに、遺言執行者が居るほうが手続きは簡単になるのでしょうか?

 

結論から言うと、遺言執行者が手続きを行うほうが、手続自体も書類が少なくなってスムーズに進みますし、手続き先が多くなる場合だと、大きな違いが出てきます。

 

例えば、遺言執行者が遺言書で指定されておらず、新たに選任もしていなかった場合に、銀行口座が複数あったとします。

 

この状態で名義変更を進めるには、3つの銀行それぞれの用紙に全員が押印をして、印鑑証明書をつけて手続きをしなければなりません。郵送で用紙をやり取りしたり、時間を合わせて直接会ったり、何かと面倒ですね。

 

しかし、民法改正も相まって、遺言執行者が手続きをする場合は、遺言執行者だけの押印や印鑑証明書だけで手続きが完結することようになります。

 

これを考えると、遺言執行者を選任して遺言執行を任せることで、時間も労力も削減ができることが分かります。

 

 

もし、ご自身で遺言執行をするのが難しそうだから遺言執行者を選任したい、もしくは遺言執行者になったけれどもやっぱり専門家に代理人なってほしい、と思うようであれば、行政書士、司法書士、弁護士などの専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。

依頼するための費用はある程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、将来のリスクや、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等を比較しながら、検討してみてください。