トップページ > 遺言執行者と死後事務について

遺言執行者と死後事務について

「遺言書で遺言執行者を指定したけど、葬式の手配なんかも遺言執行者がやってくれるの?」

 

そう疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

わざわざ遺言書で無くなった後の手続きを色々してくれる人を選べるんなら、財産分与以外のことも遺言書にまとめて書いてしまえば良くないか?

 

と思う気持ちも分かります。

 

しかし、実際遺言書はそんなに万能という訳ではありません。葬儀や、財産の処分の方法など、こうしたいというご希望があるのであれば、ぜひ、「死後事務委任契約」という形で、契約を結んでおくことが良いでしょう。

 

さらに言えば、財産分与を依頼する遺言執行者に死後事務についても依頼できれば、故人が亡くなった後の手続きはスムーズに進むでしょう。

遺言書は死後事務のためのものではない

そもそも遺言書とは、死後事務の希望を書き記すものではありません。

 

・遺産について

・相続人について

・遺言執行者の指定について

・子どもの認知について

・未成年後見人の指定について

と言った風に、財産の処分や、重要な身分関係がその内容となっています。

 

付記事項として、その他の思いを書き記すこともできますが、これには法的効力はありません。

 

一方の、死後事務委任契約では、死後に必要となる事務全般、かなり広い範囲の内容を詳細に取り決められます。

 

以下が、死後事務委任契約で取り決められるような内容です。

 

1. 死亡届の提出

2. 健康保険や年金の資格抹消申請

3. 親族への連絡に関する事務

4. 通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務

5. 菩提寺の選定、墓石建立

6. 医療費や入院費等の清算手続き

7. 老人ホーム利用料等の支払い

8. 相続財産管理人の選任申立手続

9. 遺品の整理・処分

10.公共サービス等の名義変更・解約

11.SNSアカウントの解約や退会

12.パソコン・スマホのデータ消去

13.賃借建物明渡し

 

このように、遺言書と死後事務委任契約では、対象が棲み分けされていています。

 

また、大きな違いとして遺言は、1人の意思表示によって成立する「単独行為」であることに対して、死後事務委任契約は「契約」という名前が付いているとおり、死後事務を委任する人と、委任される人の両方の意思表示があって成立するということです。

 

つまり、受任する人も、この死後事務委任契約にしばられるので必ず死後事務を行ってもらえます。

死後事務の執行は遺言執行者にまとめて依頼する

ここまでの説明で、おおきく「財産に関すること」「その他事務に関すること」で、遺言書と死後事務委任契約の役割が分けられていることが分かりました。

 

つまり、死後の手続全般を網羅的に決めておくのであれば、遺言書と死後事務委任契約の両方を準備しておくと良いということになります。

 

そして、信用が出来る人に、遺言執行者として指名しておくとともに、その人事前に相談をして死後事務委任契約を締結することが出来れば、死後事務から相続手続きまでをその人が一貫して対応することができます。

 

また、この遺言執行者や死後事務の委任先としては、行政書士などの専門家がなることが出来るというのもポイントです。

 

死後事務委任契約においては、近年身寄りのない高齢者もどんどん増えてきて、信頼できる専門家に死後事務を委任するケースが増えていますが、何も専門家にサポートを依頼するメリットがあるのは、身寄りのない方だけではありません。

 

死後事務はもちろん、遺言執行も、一言で「遺言書の内容を実現する」といってもその内容は多岐に渡ります。

 

死後事務の執行や遺言執行をやりなれたご家族がいる、ということはなかなか無いでしょう。

 

日中は仕事でまとまった時間を割けないというかたにとってはその負担はなおさらです。

 

そこで、行政書士などの専門家に遺言執行と死後事務の執行を委任しておけば、多くの場合、死後事務委任契約書や、遺言書の作成からサポートを受けることが出来、決して楽ではない死後事務や遺言の執行までを、まるまる任せることが出来ます。これは、間違いなく。残されたご遺族にとっても大きなメリットと言えるでしょう。

 

もし、ご自身でこれらを行うことが難しい、不安だと感じるようであれば、行政書士などの専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。依頼するための費用はある程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、将来のリスクや、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等を比較しながら、検討してみてください。