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中国人でも相続放棄はできるのか?

日本の法律では、相続は原則として単純承認の形式で行われることとされています。相続が発生したとき、特別な意思表示をしなければ、相続人は、被相続人(亡くなった人)のすべての財産を引き継ぐことになります。

 

財産には、銀行預金や不動産などのプラスの財産もありますが、借金などのマイナスの財産もあります。預金や不動産の額を大きく超えるような多額の借金があった場合、それを相続人が必ず引き継がなければならないとしたら酷なことです。

 

このような事態を回避するための手段として、日本の法律には2つの方法が用意されています。1つが限定承認、もう1つが相続放棄です。

 

限定承認とは、借金については相続財産の範囲内で返済し、そのうえでプラスの財産が残っていれば相続を承認するという方法です。一見便利で合理的に思われますが、その手続きがかなり面倒なため、あまり利用されていません(2017年で713件)。

 

相続放棄とは?

相続放棄とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も一切相続しないことです。相続放棄をすると、その人は最初から相続人ではなかったものとして扱われ、その子どもにも相続によって発生する権利義務は引き継がれません。

 

従来は、長男にすべての財産を相続させるための相続放棄が多かったようですが、現在では「負債(借金)が多いため」という理由が増えています。その他の理由としては、「他の相続人と関わりたくない」などがあるようです。

 

相続放棄は2017年で、20万1287件の申立てが認められています。

中国の相続手続きはどうなっているの?

中国の法律では、相続は限定承認のみとなっており、この点は日本の相続と大きく異なっています。

 

相続が承認されると、相続人は被相続人の(プラスの)財産を引き継ぎますが、同時に被相続人の借金を返済したり、税金を納付したりする義務を負います。

ただし、限定承認ですので、返済等はプラスの財産の範囲内で行えばよいということになります。相続人に負債(借金)が引き継がれることがないのが中国の相続の特徴の1つです。

 

では、中国には相続放棄という制度がないのかといえばそうではありません。中国では、相続が開始した場合、相続財産の処理前であれば書面によって相続放棄をすることができます。「相続財産の処理前」という部分がポイントです。

日本在住の中国人に適用される法律は?

さて、日本と中国の相続と相続放棄の仕組みを簡単に解説しましたが、日本に住んでいる中国人にはどちらの国の法律が適用されるのでしょうか。

 

法律の定めによれば、中国人の現金預金、中国人が所有する日本の不動産については日本の法律が適用され、中国本国の不動産については中国の法律が適用されることになっています。

ですので、中国に所在する不動産以外については、相続手続きは日本の法律に従って行われることになります。相続放棄の手続きについても同様です。

相続放棄はどのように行うの?

日本に在住する中国人が相続放棄をする場合、ほとんどのケースでは、日本の法律によってその手続きを行うことになります。それでは、相続放棄の進め方や注意点について一緒に確認してみましょう。

 

相続放棄ができるのは相続開始後に限られ、その期間も限定されています。

 

相続人は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から」3カ月以内に、家庭裁判所に申し立てる必要があります。この3カ月間は、相続するのか放棄するのかをじっくり考えるという意味で、熟慮期間と呼ばれます。

 

中国の法律では、相続放棄は「相続財産の処分前」までに行えばよいのですが、日本では3カ月間という期間が定められており、その期間内でも相続人が相続財産を自分のために使った場合などには、単純承認をしたとみなされ、相続放棄は認められなくなります。ご注意ください。

 

3カ月間という期限が定められているのは、相続人が被相続人に借金がないかを調べたりするための期間という意味もありますが、法律関係を早めに安定させるという意味もあります。いつまでも相続財産が宙に浮いたままでは困るからです。

 

ところで、1人の相続人が相続放棄をした結果、他の人が相続人となる場合があります。例えば、夫の借金が多いからという理由で妻と子どもが相続放棄をすると、夫の両親や兄弟が相続人になってしまうのです。

 

被相続人の借金を誰も引き継がないようにするためには、相続人となる可能性のある親族の全員が相続放棄をしなければならないことになります。この点についてもご注意ください。

中国人関連の相続のご相談はさむらい行政書士法人へ!

相続放棄の手続きはご自身で行うことも可能ですが、専門家として手続きができるのは弁護士か司法書士です。

そもそも相続放棄がよい選択なのか、などご自身では判断が難しい場面も多いことかと思います。そのようなときには専門家に相談するとよいでしょう。

 

さむらい行政書士法人では、中国人の方の相続に関する困りごとの解決のために、ご相談を承っております。相続放棄の手続きや登記申請の手続きなど、行政書士ができない業務については、他の専門家をご紹介いたします。どうぞお気軽にお問い合わせください!

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