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日本で中国人が亡くなった場合の相続準拠法について

日本に住んでいる中国人が亡くなった場合、その相続手続きはどちらの国の法律に従って行えばよいのでしょうか。これは、在日中国人の方や中国人と結婚した方から当社に寄せられるよくある質問の1つです。

 

日本に住所がありますので、日本の相続法が適用されるのでしょうか。あるいは、国籍が中国ですので、中国の相続法が適用されるのでしょうか。知っていなければ、いざ相続が発生した際にその手続きができません。とても重大な問題です。

 

結論から言えば、ほとんどのケースにおいて、相続手続きは日本の相続法に従って進められることになります。それでは、その根拠について一緒に確認していきましょう。

日本の相続法と中国の相続法の違いは?

法律や制度には、その国の歴史や文化、宗教観や道徳観が反映されています。日本と中国は、同じ東アジア文化圏にあるという共通点はありますが、政治体制など異なる点も多いといえます。法律や制度の違いは、相続法を比較しただけでも明らかに分かります。

相続の順位と相続分

日本の法律では、配偶者は常に相続人となり、第1順位が子、第2順位が父母、第3順位が兄弟姉妹となっており、相続分は、誰が相続人になるかによって異なります。

配偶者と子が相続人の場合は、2分の1ずつ、配偶者と父母が相続人の場合は、それぞれ3分の2、3分の1、配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合は、それぞれ4分の3、4分の1、です。

 

これに対して中国の相続順位は、第1順位が配偶者・子・父母、第2順位が兄弟姉妹・父方の祖父母・母方の祖父母となり、各相続人の相続分は原則的には同じになります。

中国では日本と異なり、父母が第1順位となっています。これは、年長者を敬うという中国人の道徳観や価値観が反映されているのだと思われます。

単純承認か限定承認か?

日本では、亡くなった方の相続財産を無条件ですべて相続する単純承認が原則です。相続放棄という手続きを行わなければ、多額の債務を相続してしまうという可能性もあります。

相続財産の範囲で債務を弁済すればよいとする限定承認も可能ですが、相続人全員が合意し、その方法を選択した場合にのみ認められます。

 

しかし、中国の相続は原則として限定承認のみです。つまり、相続した財産の額を超えるような債務を相続することはないことになります。より平等性を重視した制度になっているといえるのかもしれません。

 

また、中国の相続法には、遺留分という考え方がありません。遺留分とは、遺言によっても奪うことができない相続人が持つ一定の相続分のことです。ただし、中国の相続法では、自活能力に乏しい相続人に対する保護は別の制度によって保障されています。

 

その他の事項についても、日本と中国の相続法は異なる点があります。そのため、手続きを進めるにあたってどちらの国の相続法を適用するか、というのはとても重大な問題になります。

故人が中国人の場合の相続における準拠法

外国人が関係する相続において、どの国の相続法によって手続きを進めればよいのか。これが相続における準拠法の問題です。

そして、この準拠法の問題に対する答えとなっているのが、「法の適用に関する通則法」という日本の法律です。これは国際的な法律問題にどの国の法律を適用するのかを定めたものです。

 

「法の適用に関する通則法」では、“相続は、被相続人の本国法による。”と規定されています。

これは、相続については、亡くなった方の国の法律が適用される、という意味です。つまり、日本で亡くなった中国人の相続手続きは、中国の法律に従って行われるということになります。

 

そこで、中国の相続法を確認してみると、次のような規定があることが分かります。

“動産については被相続人の住所地の法律を、不動産については、不動産所在地の法律を適用する”

 

この規定によれば、日本に住んでいる中国人の日本にある現金預金、日本に所在する不動産については日本の法律が適用され、中国に所在する不動産については中国の法律が適用されることになります。

ですので、中国に所在する不動産の相続は別として、その他の手続きは日本の相続法に準拠して進めればよい。これが結論です。

故人が中国人である場合の相続手続きの注意点

相続手続きの進め方は日本人と同様ですが、注意しなければならないのが手続きに必要な証明書類です。中国人には日本のような戸籍がありません。そのため、相続人を確定する時や相続財産を移転する時、身分関係を証明する書類として戸籍謄本を使用することができないのです。

 

多くの場合、中国人は、戸籍謄本の代わりに公証書という書類を取得することになります。公証書は、中国の役所が発行する証明書類ですが、その取得と日本語への翻訳にはかなりの時間と労力が必要になります。この点についても、あらかじめ知っておくべきでしょう。

中国人関連の相続手続きのご相談は当社へ!

この記事では、日本と中国の相続法のどちらを適用させるか、という準拠法の問題について解説しました。結論についてはご理解いただけたかと思いますが、いかがでしょうか。

 

さむらい行政法人では、中国人が関係する相続手続きをサポートしております。中国語に対応できるスタッフ、相続手続きの専門家が皆様のご相談をお待ちしています。どうぞお気軽にお問い合わせください!

 

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