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APECビジネストラベルカード(ABTC)のメリットとデメリットを解説
APECビジネストラベルカード(ABTC)の申請を考えている方の中には、
「取得のメリットはある?」
「取得のデメリットはある?」
と疑問をお持ちの方も多いでしょう。
この記事では、APECビジネストラベルカード(ABTC)のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
APECビジネストラベルカード(ABTC)とは?
ここでは、APECビジネストラベルカード(ABTC)について見ていきましょう。
カードの概要
カードの概要は、以下のとおりです。
外務省が発行する特別なカード
APECビジネストラベルカードは、APEC域内を頻繁に出張するビジネス関係者の移動をスムーズにするため、外務省が発行する特別なカードです。ABTCとも呼ばれています。
ABTCを取得すれば、ビザなしで参加対象国の入国審査が受けられます。
有効期限は、5年間です。
ABTCカードが利用できる国
ABTCが利用できる国は、以下のとおりです。
【対象国一覧表】 |
オーストラリア |
ブルネイ |
チリ |
---|---|---|---|
中国 |
香港 |
インドネシア |
日本 |
韓国 |
マレーシア |
メキシコ |
ニュージーランド |
パプアニューギニア |
ペルー |
フィリピン |
ロシア |
シンガポール |
台湾 |
タイ |
ベトナム |
【対象国一覧表】 |
---|
オーストラリア |
ブルネイ |
チリ |
中国 |
香港 |
インドネシア |
日本 |
韓国 |
マレーシア |
メキシコ |
ニュージーランド |
パプアニューギニア |
ペルー |
フィリピン |
ロシア |
シンガポール |
台湾 |
タイ |
ベトナム |
上記に加えて、アメリカ・カナダもAPECの参加国です。
ただし、両国ともABTC制度では暫定参加メンバーのため、現在のところ事前審査の承認は受けられません。
入国の際は、アメリカはESTA・カナダはeTAが必要になるため注意しましょう。
ABTCカードを取得するための条件
ABTCを取得するための条件は、以下のとおりです。
- 1. 有効な日本国パスポートを持っている
- 2. 申請書そのほかの提出書類に虚偽の記載がない
- 3. 犯罪歴がない
- 4. 外務大臣が告示で定める以下のいずれかの条件に当てはまる
- APECビジネス諮問委員会の日本委員・日本委員代理・日本委員をサポートする業務に従事する者
- 金額の大きさに問わず、貿易・投資実績がある企業の経営者または当該企業に雇用されている者で、貿易などに関する事業を目的とした渡航が必要であると認められる者
- ABAC日本支援協議会の構成団体の職員・その団体の会員である機関の経営者・当該機関に雇用されている者で、貿易などに関する事業を目的とした渡航が必要であると認められる者
- 貿易などに関する事業を行う機関の経営者・当該機関に雇用された者で、災害復興に資すると認められるものを行う目的として渡航し、かつ今後も渡航する必要があると認められる者
ABTCカードのメリットとデメリット
ここでは、ABTCのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
ABTCカードのメリット
メリットは、以下のとおりです。
ビザがなくても入国審査を受けられる
通常、査証が必要な国では、入国前にビザの手続きをしなければなりません。
ABTCでは、査証が必要な国でもビザが免除されるため、上記の19カ国の往来については、面倒な手続きをしなくて済みます。
ABTC専用レーンを利用できる
ABTCを持っていると、入国審査の際に専用レーンを利用できます。
入国審査の窓口は、混雑しているケースも多く、入国までに時間がかかる可能性が高いです。専用レーンを利用すれば、スムーズに入国審査を済ませられるため、イミグレーションの通過時間を短縮できます。
入国審査のトラブルが起こらない
ABTCは、商用目的(短期間)で渡航するのを事前に承認してもらえる制度です。
入国審査時にカードを提示すれば、審査官は「商用目的での訪問である」と判断してくれるため、入国の際のトラブルを軽減できます。
コストが安く済む
通常、ビザの申請には手数料がかかります。頻繁に出張する方の中には、コストを安く済ませたい方も多いでしょう。
同じ国へ何度も出張する場合、出張の都度、ビザの申請料金がかかる可能性があります。さらに、別の国へ出張する場合でも、出張回数が多ければビザの申請料金はかさみます。
一方で、ABTCの有効期限は5年間のため、手続きの回数も減り、出張コストの節約が可能です。
ABTCカードのデメリット
デメリットは、以下のとおりです。
国によっては滞在日数が短い
認められている最大滞在可能日数は、60日〜90日です。
ただし、国・地域によって日数は異なります。
滞在日数は、予告なく変更となるケースもあるため、注意しましょう。
活動制限がある
認められている活動は、以下のとおりです。
- 短期間で行われる収入・報酬をともなわない活動
- 商談・業務連絡・市場調査・投資のための契約締結
- 納品後の報酬をともなわないアフターサービス
収入が発生する事業の運営・活動または報酬を受ける活動には制限があるため、注意しましょう。加えて、観光目的なども許可されていません。
申請から交付までに時間がかかる
ABTCは、申請から交付までに時間がかかるとされています。
申請数の急増にともない、現在では交付までに9カ月程かかっているようです。
出張のスケジュールに間に合うよう、時間に余裕を持って準備を進めてください。
準備に時間を取れない方は、行政書士などの専門家に申請代行を依頼するのもおすすめです。
申請について
ここでは、申請について見ていきましょう。
申請の流れ
申請の流れは、以下のとおりです。
- 1. 提出書類の作成・準備
- 2. 申請書類の提出
- 3. 国内審査(外務省)
- 4. 事前審査(ABTC参加国・地域)
- 5. カード発行
申請関連
申請書類と料金は、以下のとおりです。
申請書類
- APEC商用渡航カード(ABTC)交付申請書
- 顔写真(縦45mm×横35mm) 2枚
- パスポート(顔写真・身分事項が記載されたページ)の写し
- 在職証明書
- 登記事項証明書
- 所属企業の貿易・投資の実績を示す文書(決算書・損益計算書など)
- 所属企業の業務内容に関する資料(事業報告書・会社パンフレットなど)
- 返信用定形封筒・郵便切手(444円)
- 収入印紙(13,100円)
- 手数料納付書
申請にかかる料金
申請にかかる料金は、全体で15,000円前後です。
交付手数料 |
13,100円 |
---|---|
顔写真の撮影費用 |
1,000円前後 |
返信用定形封筒・郵便切手代 |
444円 |
コピー代など |
申請者による |
中途発行も可能
ABTCは、原則すべての参加国・地域からの承認がそろってから発行されます。
「一部の国・地域からの承認さえあれば問題ない」という方は、すべての参加国・地域からの承認を待たずに、希望する国・地域のみの承認が記されたカードを中途発行できます。
中途発行をご希望の方は、毎月15日までに、以下の内容をEメール(abtc@mofa.go.jp)またはFAX(03-5501-8340)にて、外務省APEC室ABTC班に連絡してください。
- 件名を【中途発行依頼】と記載
- 氏名
- 申請番号またはパスポート番号
- 連絡先(電話番号・Eメールアドレス)
- 「現状の承認状態でのカード発行を依頼したい」という旨の一文
代理申請も可能
ABTCは、代理申請も可能です。行政書士は、申請代行で事務手続きが行えます。加えて、申請書などに不備や不足があった際の対応窓口にもなります。別途、委任状などを用意する必要もありません。
ただし、申請書に記入する署名は、申請者本人のものでなければ受理されないため、注意しましょう。
まとめ
この記事では、APECビジネストラベルカード(ABTC)のメリットとデメリットについて解説しました。
ABTCを取得すれば、制度参加国(19カ国)へ入国する際に、多くのメリットを受けられます。
取得までに長期間を要するなどのデメリットもありますが、APEC域内での出張が多いビジネス関係者にとって、非常に便利なツールです。
申請の際は、スケジュールに余裕を持って準備をしてください。