トップページ > 遺言書がある場合の銀行名義変更の手順
遺言書がある場合の銀行名義変更の手順
ご家族が亡くなった後、遺言書が出てきたのはいいけれど、「どうやって銀行の名義変更をすれば良いのかわからない」とお困りの方も多いかと思います。
遺言書がある場合、銀行の名義変更はどうすればいいんだろう?と悩んでいる方のために、遺言書がある場合の銀行名義変更の手順を説明していきます。
遺言書がある場合の銀行名義変更の流れは以下のようになります。
1、遺言書の有無の確認
2、家庭裁判所の検認を受ける
3、亡くなった人の預金口座を調べて亡くなったことを通知する
4、必要書類を準備する
5、金融機関で名義変更の手続きをする
以下で詳しく説明していきます。
1、遺言書の有無を確認する
まず、ご家族が亡くなったら遺言書があるかないかを確認します。探す場所は次のような場所です。
①亡くなった方の周囲
自宅や繋がりがあった士業の専門家、貸金庫等の故人が保管していそうなところを探してみましょう。
②公証役場
公正証書遺言書を作っている場合はデータベース化されていますので、公証役場に問い合わせれば遺言書の有無を確認してもらえます。
③法務局
2020年7月から法務局で遺言書を保管できるようになりました。
2、家庭裁判所の検認を受ける ※勝手に開封してはいけません!
遺言書が見つかったらまず、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。遺言書が見つかって封がしてあれば、すぐにでも開封して中身を確認したいですよね。でも、基本的に遺言書は勝手に開封してはいけません。
他の相続人に遺言書を書き換えたのではないか等と疑われてトラブルになる恐れがありますし、5万円以下の過料(罰金のようなもの)が科される可能性もあるのです。そのため、何度も言うようですが、必ず家庭裁判所で検認を受けるようにしましょう。
家庭裁判所で検認を受けると、名義変更等をする際に必要となる「検認済証明書」をもらうことができます。ただし、見つかった遺言が公正証書遺言の場合には検認の必要はありません。
なお、裁判所の検認は、弁護士でなければ代行できません。
3、亡くなった方の口座を調べて、亡くなったことを通知する
次のようなものから、亡くなった人がどの銀行に預金口座を持っていたかを調べます。
・預金通帳やキャッシュカード
・銀行からの郵便物
・銀行とのメール等のWeb上のやりとり
これらをもとに、どの銀行に預金口座を持っていたのか特定できたら、その銀行に亡くなったことを通知します。
4、必要書類の準備をする
その銀行に亡くなったことを通知したら、名義変更に必要な書類に準備に入ります。必要となるのは次のような書類です。
①亡くなった方の戸籍謄本
※遺産分割協議書による名義変更をする場合と異なり、出生から亡くなった時までの全ての戸籍謄本を取得する必要はありません。
②相続を受ける人の印鑑登録証明書
※相続人の一人が代表して他の相続人の手続きも行う場合、代表者だけでなく、全ての方の印鑑登録証明書が必要になります。
③相続を受ける人の実印
④遺言書
⑤検認済証明書
⑥通帳・キャッシュカード
※遺言執行者が決まっている場合は、遺言執行者が手続きをすることになりますので、必要となる書類は少し異なります。個別の事例でわからないことがあれば専門家に相談してみるとよいでしょう。
5、書類を提出して金融機関で名義変更の手続き完了
上記の書類が揃ったらあとは金融機関に提出するだけです。ただ、金融機関によって多少求められる書類が異なったりすることもあるので、事前に確認しておくことをお勧めします。
これで遺言書がある場合の銀行名義変更の手続きは終わりです。裁判所が出てきたり、集める書類がたくさんあったりとなんか大変そう・・・と思われた方もいるのではないでしょうか。
遺言の執行はプロに任せることができます!
相続人ご自身で手続きをする場合はもちろん、遺言執行者も実は平成30年の民法改正によって、遺言執行者の復任できることとなりました。つまり、相続の手続きは原則だれでもその手続きを専門家に任せることができるようになったのです。
遺言執行者がいない場合も、遺言執行者に指定された場合も、わからないことがあればまず、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
ちなみに・・・遺言書通りに遺産分割しないこともできます。
ここまで、遺言書がある場合の銀行名義の変更手続きについて説明してきましたが、そもそも、遺言書がある場合は必ず遺言書通りに遺産分割をしないといけないでしょうか?
答えは「NO」です。相続人や遺言書に書かれた受遺者等の第三者、遺言執行人等全員の承諾があれば、当事者の話し合い、つまり遺産分割協議によって遺産分割をすることができます。
ご自身の場合に何が最善なのかも含め、プロに相談してみるのも良いでしょう。