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銀行預貯金の相続に期限はありますか?

相続の際、銀行預貯金の名義変更はいつまでにやればよいのでしょうか。ここでは、銀行預貯金の相続に期限はありますか?という疑問にお答えしていきます。

 

法律上の規定でいうと、預金は5年で消滅時効にかかります(場合によっては10年)。この消滅時効という制度は、5年経過することで自動的に預金が銀行のものになってしまうというものではなく、銀行が5年経過したことを主張することで初めて効力が発生するという規定になっています。ただ、現状は銀行側の取り扱いとして、預金残高が確認できる限り5年経過した後も払い戻しには応じているようです。

 

そうすると、事実上ほぼ期限がないようなものといえるので、ゆっくり手が空いたときにやればいいや、と思う方もいるかもしれません。

 

しかし、結論から言うと、銀行預貯金の相続手続きは、放置せず早めにやっておいた方が良いです。放っておいた場合は、以下のようなデメリットが考えられます。

1.税務手続き上のデメリット 

銀行預貯金の相続自体に期限がなくても、相続に伴う税務上の手続きには期限があります。

 

代表的なものとしては、相続税です。相続税は、遺産総額が(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると、相続することを知った日から10か月以内に申告・納税しなければなりません。

相続税申告の主な必要書類

・相続税の確定申告書

・亡くなった人戸籍謄本(生まれてから死亡まで)

・遺言書の写し

・遺産分割協議書の写し、各相続人の印鑑証明書

 

この期限を超えてしまうと、延滞税や無申告加算税といった追徴課税がかかってしまいます。

 

銀行預貯金の相続手続きを放置していた結果、実は亡くなった人の預貯金が予想以上に多く相続税を支払わなければならなかったが期限を過ぎてしまった、というような場合は、相続税の対象となる財産額がそもそも一定以上であるため、その分追徴課税も高額になってしまいます。

 

銀行預貯金の金額によっては相続税がかからない場合もありますので、自分は相続税を支払わなければならない状況なのかどうかを確定するためにも、早めに銀行預貯金の相続手続きはしておきましょう。

2.相続放棄をする上でのデメリット

亡くなった人の財産よりも借金が多い場合には、相続人は借金を含めた相続を一切しないことを選択することができます。これを相続放棄といい、相続することを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し立てることで、相続放棄をすることができます。

なお、相続放棄は、弁護士又は司法書士でなければ代行できません。

相続放棄の主な必要書類

・相続放棄の申述書

・亡くなった人の戸籍謄本(生まれてから死亡まで)

・亡くなった人の住民票の除票

・相続放棄する人の戸籍謄本

 

相続放棄の期限は3か月です。税務上の手続きより短く、裁判所に提出する書類の取得にも時間がかかりますので、期限はあっという間に過ぎてしまいます。もし、銀行預貯金の相続手続きを行わずにいると、「亡くなった人に借金があることは知っているが、銀行のお金がそれ以上あるはずだから相続放棄しなくていいや」と思っていたところ、その後銀行で手続きをしてみたら思っていたよりもずっと預金額が少なく、結果として相続放棄の期限も過ぎてしまい借金だけ負うことになってしまった、という事態になりかねません。

 

相続放棄した方が良いのかどうかの判断を正確にするために、銀行預貯金の相続手続きは早めに行い、財産はいくらあるか、借金はいくらあるかをきちんと把握できるようにしておきましょう。

 

いかがでしたでしょうか。銀行預貯金の相続自体に事実上の期限はなくとも、その他の相続手続きに期限があるため放置しておくのはデメリットがあるということをわかってもらえたかと思います。

 

相続においては、遺産分割協議がなかなかまとまらず、裁判になって遺産分割が確定するまでに数年かかってしまった、ということもよくあります。

 

そういったケースでは上記のように期限のある相続手続きの対処方法も異なってきますし、前提として亡くなった人の財産がいくらあるかを特定するために、銀行預貯金の手続きをしておくことは必須といえます。

 

もし、ご自身でこれらの手続きを行うのが難しいと感じるようであれば、行政書士等専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。