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相続で預金引き出し手続きをわかりやすく解説

相続で故人の預金口座を相続した時、預金を引き出すためにはどうしたら良いのでしょうか。亡くなった方の預金口座が凍結されてしまってお金を引き出すことができなくて困っている方のために、ここでは相続で預金を引き出す時の手続きについてご説明します。

遺産分割前に預金を引き出す

一概に預金を引き出す方法といっても状況によって方法は異なります。まず一つ目に考えられるのが、亡くなってすぐ、遺産分割協議が成立する前にどうしてもお金が必要で故人の口座から預金を引き出したい場合です。これは一般に「遺産分割前の預金口座払い戻し制度」と呼ばれますが、この時の手続きの流れは以下の通りです。

 

1、死亡届を役所に提出

2、亡くなったからの口座を調べる

3、口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡(多くの場合ここで口座が凍結されます)

4、必要書類の提出

5、お金の払い戻し

6、相続手続きの時に清算

 以下、それぞれの手続きについて具体的に説明していきます。

1、死亡届を役所に提出

法律上、相続は亡くなると同時に開始されますが、死亡届が出されていなければ手続きをすることはできません。亡くなったことを知ったら、7日以内にまず、死亡届を提出しましょう。

2、亡くなった方の口座を調べる

家族が亡くなって、お金を故人の口座から引き出したいと思っても、どこの銀行にお金を預けているのかわからなければ手続きができませんね。なので、通帳やキャッシュカードを探して、亡くなった方の口座を調べましょう。他にも銀行からの郵便物やメール、銀行からもらった小物が手がかりになることもあります。手がかりになるものがない場合には心当たりのある銀行に直接問い合わせてみましょう。

3、口座名義人が亡くなったことを銀行に連絡(多くの場合ここで口座凍結)

銀行に知らせなければ凍結されないなら、キャッシュカードも持っているし、暗証番号も知っているからそのまま引き出してしまえばいいのでは?と考える方もいるかもしれませんが、それは危険です!後で他の相続人とのトラブルになったり、故人の多額の借金を背負わなければならなくなってしまったりすることもあります。そのため、必ず銀行に亡くなったことを連絡しましょう。方法は銀行によって異なるので、ネットや電話で確認すると良いでしょう。

4、必要書類の提出

銀行によって必要書類は異なりますが、銀行からお金を引き出すためには、亡くなったからの戸籍謄本や各相続人の戸籍謄本、印鑑証明書を用意する必要があります。ただ、この戸籍の収集というのが皆さんの思っているよりかなり厄介なものなのです。故人の戸籍は出生から死亡まで全ての戸籍を取り寄せる必要がありますし、自分だけでなく、相続人全員の戸籍を取り寄せなければなりません。戸籍を読み解くことができなければ、相続人を特定することもできませんし、他の相続人の戸籍を取得するためには本人にとってもらったり、委任状をもらったりしなければなりません。その点、行政書士等の専門家に頼めば、職権で他人の戸籍を取り寄せることもできますので、スムーズに必要書類の収集ができます。

5、お金の払い戻し

必要書類の準備ができれば、その書類を収集して、銀行の審査を待てばお金を引き出すことができます。ただ、このように遺産分割前に預金の引き出しをする場合には、金額の上限がありますので注意が必要です。ひとつの銀行から引き出すことのできる額は150万円までです。また、故人の預金額や法定相続分などによって異なりますので、自分の引き出すことのできる額を知りたい方は、専門家に相談してみると良いでしょう。

6、相続手続きの時に清算

引き出したお金を故人の葬儀費用等に使用したのならば良いのですが、自分のために使用した場合は、遺産分割の時に、その額を差し引いて精算することになります。払い戻しまでの手続きは単独の相続人でできますが、このように、遺産分割の際に精算する必要がありますので、引き出す際には、他の相続人の同意を得ておいたほうが良いかもしれません。

遺産分割後に預金を引き出す

次に、遺産分割の後に預金を相続することとなった場合の引き出し方法について説明します。相続財産を誰が、どれだけ相続するのかを決める方法はいくつかあります。例えば、遺言書がある場合、遺産分割協議をする場合、家庭裁判所で調停や裁判をする場合などです。これらの方法で故人の口座を相続することとなった場合、どのように現金を引きだせば良いのでしょうか。

まずは先ほどと同じように、銀行に亡くなったことの連絡をしてない場合には連絡をしましょう。そして、お金を引き出すための必要書類を揃えます。必要書類は基本的に先ほど説明した遺産分割前に払い戻しを受ける場合と似ています。被相続人(亡くなった方)の出生から亡くなるまでの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本が必要になります。そしてそのほかに重要なのが遺産分割をして、口座を相続することになったことを証明する書類です。これは、遺産分割協議による場合は、遺産分割協議書になります。遺産分割の方法や銀行によってこの他の書類も必要となりますので事前に確認しておくようにしましょう。必要書類を提出すれば、故人の口座から預金を引き出すことができます。

 

もし、ご自身でこれらの手続きを行うのが難しいと感じるようであれば、行政書士等専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。
※なお、裁判所での調停は弁護士でなければ代行できません。