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技能実習生が受ける法的保護講習の内容とは?

外国人技能実習生を受け入れることのできる監理団体では「技能実習生の法的保護に必要な情報」に関する講義をおこなうことが義務付けられています。

 

そこで、来日する外国人技能実習生は監理団体の責任の下、2か月間「入国後講習」を受講する必要があります。この入国後講習に含まれるのが法的保護情報講習、通称「法的保護講習」です。

法的保護講習とは

入国後講習では、外国人技能実習生が「日本語」のほか、「日本における生活全般の知識」、「日本での円滑な技能などの修得などに資する知識」を身につける必要があります。

 

さらに、「出入国または労働に関する法令の規定に違反した場合の対応方法やそのほか技能実習生の法的保護に必要となる情報」についても身につけなければなりません。このためにおこなわれるのが法的保護講習です。

 

また、法的保護講習は外国人技能実習生制度に基づいて実施されます。その趣旨は、外国人技能実習生が単に安い労働力として過酷な条件で就労することなく、高度な技術・技能などを取得し、母国などの経済発展に寄与できるようにすることです。

法的保護講習の内容

法的保護講習はこれを修了しなければ外国人技能実習生に対し実務研修をおこなうことができません。また講義は座学でおこなわれ、その詳細は以下の通りです。

講義内容

まず講義では次のような内容について触れられていなければなりません。

技能実習法令(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)について

技能実習法令は外国人技能実習生を保護し、本来の目的に沿った活動をおこなうための法律です。外国人技能実習生が単なる労働力を補充する目的で雇用される低賃金労働者として扱うような受け入れが目立ったことから、2017年に施行されました。

入管法令について

入管法令は日本に入国、あるいは出国するすべての人の公正な管理を図り、難民認定の手続きも整備することを目的としている法律です。在留資格の変更や在留期間の更新、在留カードの交付、住居地や氏名などの変更の届出、在留資格の取消し、不法残留者に対する退去強制や在留特別許可などの手続き、また不法残留者の通報などについて定められています。

労働関係法令について

労働関係法令は労働者の賃金や労働時間、休暇といった主な労働条件について、最低限の基準を定めた法律です。 パートタイム労働者なども含むすべての労働者に対して適用されます。

労働安全衛生法について

労働安全衛生法は職場における労働者の安全と健康の確保、また快適な職場環境を形成することを目的として制定された法律です。またこれらを実現するために、労働災害を防止する危害防止基準の確立や責任体制の明確化、自主的活動の促進の措置などについて総合的で計画的な安全衛生対策を推進することが求められます。

労働契約法について

労働契約法は雇用主が労働者を雇い入れるにあたって締結する労働契約に関する、基本的なルールが定められた法律です。2008年3月に施行され、2012年には契約社員やアルバイトなど有期労働契約に関しても新しいルールが追加されています。

厚生年金について

厚生年金は企業で働く人が加入する公的年金です。外国人であっても日本在住の場合国民年金への加入とともに厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務していれば加入が義務付けられています。また法的保護講習では特に日本国籍を有しない者が資格を喪失し、日本を出国した場合に請求することができる脱退一時金について触れなければなりません。

実習実施者や監理団体などが技能実習法令などの規定に違反していることを知った場合の対応方法について

上記の法律や制度のほか、万が一法的保護講習実習においては実施者、あるいは監理団体などが技能実習法令などの規定に違反していることを知った場合の対応方法として、次のような方法も紹介する必要があります。

・外国人技能実習機構における母国語相談…日本における生活や技能実習に関して、外国人技能実習生が母国語で相談できる窓口です。

・労働基準法違反があった場合の労働基準監督署などへの連絡方法など…労働基準法などへの違反が疑われる事業所の情報をメールなどで相談できる方法です。

・不利益取扱いの禁止に係る事項…不当な理由で労働者に対し解雇やその他不利益な取扱いができないことに関する説明です。

・賃金未払いに関する事項…給料の支払いが労働基準法24条において定められていることに関する説明です。

講義時間

法的保護講習の講義時間については合計8時間で、以下のような講義の内容により、おおよそ目安となる時間がそれぞれ定められています。

ただし、内容が不十分であると認められる場合には講義時間数を増やさなければなりません。

内容

時間

● 技能実習法令について

約2時間

● 入管法令について

約2時間

● 労働関係法令について

約2時間

● その他法的保護に必要な情報について

約2時間

※通訳を介して法的保護講習を実施する場合には、これに要する時間を考慮したうえで8時間の内容となることが必要です。

講師の要件

法的保護講習をおこなう場合、講師となる者は講義内容に関する専門的な知識を有していなければなりません。専門的な知識とはこの場合、入管法や労働関係法などの法律関連の知識や、そのほか不正行為への対応方法や技能実習生の法的保護に必要な情報です。また企業単独で外国人実習生の受け入れなどで専門的な知識を有する者が用意できない場合には、外部講師を招へいする必要があります。この外部講師とは具体的には行政書士や社労士、弁護士、国や地方公共団体の職員などが該当します。

またこうした人材を招へいする方法としては、法的保護情報講習の外部講師派遣サービスなどがあります。

通訳について

原則として法的保護講習では日本語で法律知識の講習がおこなわれます。このため外国人技能実習生は一定程度日本語を学んでから来日しますが、上記講義時間にもあるとおり通訳が必要となる場合もあります。またこの通訳については監理団体がそれぞれ準備しなければなりません。

使用される教材

法的保護講習ではその教材のひとつとして、「技能実習生手帳」を必ず用意する必要があります。

この技能実習生手帳は技能実習生の入国時に入国審査官から配布され、技能実習生それぞれの母国語に翻訳されている冊子です。

擬態的な内容としては外国人技能実習生が日本に滞在する間、健康で充実した生活を送るために必要な心構えが記載されています。また、生活や衛生面における情報、入出国、労働関係法令のほか、行政相談窓口の案内など技能実習生に役立つ情報についてもわかりやすくまとめられています。

このほかに推奨教材としては国際人材協力機構(JITCO)出版の「日本の出入国管理及び技能実習制度の概要テキスト」や「労働関係法令等テキスト〔第3版〕」などがあり、これらは日本語との対訳形式の内容で、12ヶ国語で刊行されています。

まとめ

法的保護講習は法律や制度について外国人技能実習生に理解してもらうことはもちろんですが、より身近で日常的な困りごとなどが起きた場合にはどこにどう相談すればよいのかなども織りまぜながら進めることが大切です。また監理団体としては少しでも早く外国人技能実習生を受け入れたいという心理が働きがちですが、法的保護講習を実施するにあたっては外国人技能実習生の国籍によって、日本語の習得度合いが異なることなども考慮しておかなければなりません。

 

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