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養子縁組した子がいる場合の相続と戸籍謄本の見方

相続人を確定させるために戸籍謄本を収集していたら、養子がいることが判明して驚いた!

 

というような場合があるものと思います。

 

では、養子縁組をした子がいる場合の相続はどのようになるのでしょうか?

 

さらには養子縁組した子の戸籍謄本の見方がわからなくて困っている方も多いのではないでしょうか。今回は、養子縁組した子がいる場合の相続と戸籍謄本の見方について説明していきたいと思います。

 

法律で決まっている相続分に関しては、養子縁組をした子であろうが、実の子供であろうが同じです。養子だから実の子供より低いとかはありません。子供が1人増えたものとして相続分を計算してください。養子かどうかを確認する方法は戸籍謄本に記載があるがどうかで判断することになります。それでは具体的に見ていきましょう。

1、赤の他人を子供にできる!

そもそも養子縁組とは、血縁関係がない人(つまり赤の他人)を、法律上の子供にすることだと思ってください。結婚と似ていますね。その養子縁組には、普通養子と特別養子の2種類があります。

 

普通養子縁組とは、ズバリ普通の養子縁組のことになります。つまり、赤の他人を法律上、自分の子供とすることになります。特別養子縁組と区別するためにそう言われています。なお、実の両親との法律上の親子関係も継続しますので、親を2組持つことになります。いわゆる再婚相手の連れ子を養子にする場合や、婿養子などと呼ばれる場合の多くは、この普通養子縁組をしたものだと考えていいでしょう。親を2組持ちますので、どちらの親が亡くなった場合でも相続する権利が発生します。つまり、養親となってくれた人が死亡した場合でも、実の親が亡くなった場合でも相続することができるということです。

 

一方特別養子縁組ですが、これは原則6歳未満の子供を養子にする場合で、実の両親との法律上の親子関係も断絶されます。実の両親から虐待を受けているケースや、ネグレクト(育児放棄)などのようなケースで、実の両親との親子関係を断ち切ったほうが良いケースで、養子となる子供も原則6歳未満の場合が当てはまります。実の両親との親子関係も断絶されますので、実の両親が死亡された場合には相続権は発生しません。これは、生物学上は実の子供であったとしても、法律上では実の子供ではないからです。

2、普通養子縁組の場合は「養子縁組」と記載される!

では普通養子縁組した場合には、戸籍にはどのように記載されるのでしょうか。具体的には、下記のことが記載されます。

①養親となった者の戸籍

・身分事項に「養子縁組」と記載されて、その右側に「縁組日」「共同縁組者」「養子氏名」が記載されます。

②養子となった者の戸籍

・続柄の箇所に、養子が男ならば「養子」、養子が女ならば「養女」と記載されます。

・身分事項の欄には、「養子縁組」と記載されて、その次に「縁組日」「養父氏名」「養母氏名」「代諾者」「従前戸籍」が記載されていきます。

 

上記の記載があった場合には、普通養子縁組をしたことになります。

3、特別養子縁組の場合は「民法817条の2」と記載される!

次に特別養子縁組の場合の戸籍の見方になります。これは、実の両親との法律上の親子関係を断絶するものですので、少し特殊です。

①特別養親となった者の戸籍

養親の箇所には特に何も記載はされません。特別養子となった者が特別養親になった者の戸籍に入る形になるだけです。

②特別養子となった者の戸籍

・特別養親となった者の戸籍に入り、続柄の箇所には、実子と同じように「長男」「長女」という記載がされます。

・身分事項の箇所には、「民法817条の2」と記載されて、その横に「民法817条の2による裁判確定日」「届出日」「届出人」「従前戸籍」が記載されていきます。なお、父母の箇所には特別養親となった者の名前が記載されますので、実の父母の名前は記載されませんので、一見すると養子縁組をしたのかはわからなくなっています(ただ、条文や裁判確定日等の記載がありますので、調べたらわかりますが)。

 

よって、上記の条文が記載されている戸籍が出てきた場合には、特別養子縁組をしたことになります。

4、相続分は子供が増えたと考えよう!

これは、法律で決まっている相続分に関しては、養子縁組をした子であろうが、実の子供であろうが同じです。養子だから実の子供より低いとかはありません。子供が1人増えたものとして相続分を計算しなければなりません。

 

いかがでしたでしょうか。戸籍を収集した際に、今回説明させていただいた記載が出てきましたら養子縁組をしていることになります。その場合は子供が1人増えたものと考えて相続手続きをする必要があります。それによって思うように手続きが進まなかったりする場合もあるかもしれません。そのような場合は、行政書士等専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、自分自身でする場合の時間や手間、そもそも自分自身できるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。