土地・家屋の相続手続に必要な戸籍謄本は?
土地や建物は「法務局」で相続手続きをすることになります。法務局と銀行口座の相続手続きとは必要書類が違うの?と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
まず、結論から言うと、法務局と銀行では相続手続きのための書類は少し違います。しかし、必要な「戸籍謄本」については、大きな違いはありません。
ここでは、不動産の相続必要書類の中でも、「戸籍謄本」にフォーカスして解説をしていきます。
※分かりやすくするため、「現在戸籍謄本・改製原戸籍謄本・除籍謄本」をまとめて「戸籍謄本」と呼んでいます。
1. 必要な戸籍謄本のパターンは、2つだけ!
不動産の相続手続きに必要な書類は、銀行での相続手続きと同じく、遺言書や遺産分割協議書があるかないかでパターン化されています。
相続登記必要書類パターン
①遺言書がある場合
②遺産分割協議書がある場合
③何もなく法定相続分通りに相続する場合
①遺言書に従って相続した場合
・亡くなった人の死亡が記載されている戸籍謄本
・相続する人全員の現在の戸籍謄本(もしくは戸籍抄本)
遺言書通り相続を行う場合は、相続人とその相続分が決まっているので、わざわざ法定相続人が誰なのかを調べて証明する必要はありません。
そのため、亡くなった方の戸籍は、出生から全ての戸籍を集めなくても、死亡が確認できるものがあればOKです。
②遺産分割協議によって相続した場合
・亡くなった人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
・相続する人全員の現在の戸籍謄本(もしくは戸籍抄本)
遺産分割協議によって相続をする場合は、法定相続人が誰であるかを確定させる必要があります。そのため、亡くなった方の「出生から死亡までの全ての戸籍」が必要になります。
※「出生から死亡までの全ての戸籍」については、こちらで詳しく解説していますので、詳しく知りたいという方は参考にして下さい。
相続人の現在の戸籍謄本が必要なのは、どの手続でも同じです。これは、被相続人が死亡した時点でその人が生きていたことを証明する必要があるからです。
③法定相続分のとおりに相続した場合
・亡くなった人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
・相続する人全員の現在の戸籍謄本(もしくは戸籍抄本)
②で必要な戸籍と範囲が同じです。
このように、②遺産分割協議によって相続した場合と、③法定相続分のとおりに相続した場合では、必要な戸籍の範囲が同じであることが分かります。
つまり、必要書類のうち「戸籍謄本」のみに着目してみると、実際には、
・遺言書がある場合
・遺言状がない場合
の2つだけのパターンで必要な戸籍が違うということになります。
とりあえずは、遺言状があれば、必要な戸籍謄本は少なくて済み、遺言状がなければ、結局の所は大量の戸籍謄本を集めないといけない、ということを覚えておきましょう。
2. 亡くなった人の戸籍は13歳からの分で良いって本当?
相続登記のための故人の戸籍は、出生からのものじゃなくて良い、と聞いたことはありませんか?
確かに、ネットでは、13歳や15歳、16歳など、さまざまな情報が飛びかっています。
そもそもなんで戸籍謄本を出生から死亡まで全て集めないといけないのかというと、隠し子のような隠れた相続人が居ないかをチェックして、法定相続人を確定させるためでした。
確かに、漏れなく記録を調べるには、出生からの分を取った方が良さそうですよね。
しかし、実際の相続登記の実務上では、13歳以上が安全ラインと考えられているようです。
これは、13歳くらいであれば子どもがいる可能性が低いので、相続人の特定の為にそれ以上の戸籍は不要だという判断をされているのです。
これで、相続登記の実務上は、故人の戸籍は出生からの分でなくていいと分かりましたが、いずれにせよ銀行など、他の手続きでは出生からの分が必要と言われるかと思います。
ですので、取得が困難、韓国の戸籍で翻訳料が高額になってしまう、というような事情がなければ、出生からの分を取ってしまうことをおすすめします。
いかがでしたでしょうか?相続登記のために必要な戸籍謄本は、預貯金の相続のような他の手続きと内容に大差はないことが分かって頂けたかと思います。
なお、相続登記は、弁護士又は司法書士でなければ代行できません。
もし、ご自身で戸籍の収集を行うのが難しいと感じるようであれば、行政書士等専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。