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相続の戸籍謄本収集は司法書士に依頼すべき?

戸籍膳本の収集はどの専門家に依頼するのが良いのでしょうか?

今回は、よく行政書士と比較をされる「司法書士」について解説をしていきます。

 

先に結論を言っておくと、相続財産に「不動産」があるのであれば、司法書士に依頼しましょう。しかし逆にそうでない場合は、あえて司法書士に相続の戸籍謄本収集を依頼をするメリットは少ないと言えます。

司法書士は「不動産登記」のプロフェッショナル!

司法書士に戸籍収集を依頼することの最大のメリットは、「不動産」に関する相続手続きをワンストップで行えることです。(※紛争や相続税に関する業務を除く)

相続財産に土地や建物といった「不動産」が含まれている場合、司法書士がカバーできる相続関連業務は以下の通りです。

 

・法定相続人の調査(戸籍の収集)

・遺産分割協議書の作成

・相続登記

・その他裁判所手続き

具体的にはどのような内容なのか、それぞれ見ていきましょう。

法定相続人の調査(戸籍の収集)

不動産の相続手続きのパターンとしては、大きく次の3つに分類できます。

 

①遺言書がある場合

②遺産分割協議書がある場合

③何もなく法定相続分通りに相続する場合

不動産の相続に限らず、預貯金や投資信託など、多くの相続手続きで戸籍謄本が必要になりますが、上記のうち②と③のパターンでは、亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍謄本が必要になり、相続人にとってその収集はかなりハードです。

 

司法書士は、不動産の相続登記に関連する範囲であれば、この戸籍謄本の収集を職権で取得することが出来ます。

遺産分割協議書の作成

戸籍の収集が完了し、法定相続人が確定すれば、次は遺産分割協議に進みます。ここでも、不動産が絡んでいれば、司法書士が遺産分割協議書の作成を行うことができます。

 

ただし、協議の折り合いがつかず、紛争に発展しそうになれば、司法書士の業務のはんちゅうを超えてしまうので、弁護士に相談をしましょう。

 

これに関しては、行政書士や税理士といった他の専門家も同じです。紛争処理は弁護士にまかせる、ということを覚えておきましょう。

相続登記

ここが、司法書士に依頼をする最大のメリットになります。

 

「登記」といって、不動産は、所有者が誰なのかを登録することが出来ます。

 

そして、この「登記」の業務を行うことが出来るのが、司法書士だけなんです。

 

つまり、行政書士や弁護士に戸籍収集や遺産分割協議書の作成をお願いしたとしても、相続財産の中に不動産があれば、その相続登記に関しては、自分で行うか、司法書士に依頼をする以外方法がありません。

その他の裁判所手続き

相続手続きの中には、なにも財産の名義を変えるだけではなく、その他の手続きもあります。

 

例えば、遺言書の作成方法が「自筆証書遺言」であれば、開封前に裁判所に持っていって検認手続が必要ですし、「相続放棄」をしたい場合も家庭裁判所で手続きをしなければいけません。

 

司法書士は、「司法」という名前が付いている通り、これらの裁判所に提出する資料作成などの業務も行うことが出来ます。

 

これも、役所に提出する書類の作成を行う行政書士には出来ないことであり、司法書士と行政書士との違いの1つです。

不動産が絡まない相続では、司法書士に頼むメリットは少ない!

上記のように、不動産の相続登記が必要になる場合は、司法書士の守備範囲が広く、依頼をするメリットがたくさんあることが分かって頂けたかと思います。

 

では、相続財産に不動産がない場合、司法書士に依頼をするメリットはあるのでしょうか?

 

まず「戸籍の収集」について、司法書士が職権で戸籍謄本を集めるには、司法書士としての業務(不動産登記)に関連する範囲でしか出来ません。

 

つまり、不動産登記の絡まない相続手続きのためには、職権を使って戸籍謄本を集めることが出来ないということです。

 

次に、遺産分割協議書についても、相続財産に不動産が含まれてない場合にあえて司法書士に依頼をするメリットはありません。

 

一方、契約書などの事実証明の書類作成を専門にしているは行政書士ですので、不動産が含まれていない相続については、戸籍謄本の収集から遺産分割協議書の作成までを、行政書士にまとめて依頼するのが無難でしょう。依頼するコスト面でも行政書士のほうが相場が安いことが多いです。

 

いかがでしたでしょうか?行政書士と司法書士では、税金や紛争解決にまつわる業務が出来ないとうい点で共通しています。しかし、不動産登記が必要かどうかによって、選択すべき専門家がどちらであるかがお分かり頂けたと思います。

不動産登記が【必要】 ➝ 不動産登記の専門家、司法書士に依頼

不動産登記が【不要】 ➝ 事実証明書類の専門家、行政書士に依頼

 

相続の内容は、十人十色だと思います。もし、ご自身で戸籍収集や遺産分割協議書、相続登記などの手続きを行うのが難しいと感じるようであれば、自分に合った専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。そうすることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用はかかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。