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相続の戸籍謄本は本人以外でも取ることができるのか?

相続に必要な戸籍謄本は、本人以外でも取得することは出来るのでしょうか?

 

相続人が多い場合など、一人が代表して戸籍を集めることが出来れば都合がいいですよね。

 

結論としては、戸籍謄本は本人以外でも取得することは可能です。

 

ここからは、取得出来るのは誰か?委任状は必要か?といった具体的な疑問にもお答えしていきます。

※この記事では、分かりやすくするために「現在戸籍謄本」「改製原戸籍謄本」「除籍謄本」をまとめて「戸籍謄本」と呼んでいます。

相続のために必要であれば本人以外も取れる!

相続のために必要な戸籍謄本であれば、例えそれが兄弟姉妹や甥っ子姪っ子の戸籍謄本であても取得が可能です。さらに、その際には委任状も必要ありません。

 

原則から言うと、戸籍謄本を委任状なしでも取れる人は次の人達とされています。

・本人

・配偶者

・父母

・祖父母

・子

・孫

つまり、戸籍をとれる人は、原則として本人夫婦と、直系の親族だけで、兄弟姉妹の戸籍は取れないということになりますね。

 

しかし、実際の相続では、兄弟姉妹が相続人になるケースも当然発生します。

その場合でも戸籍取得は本人に依頼するしかないのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。

 

まず、第一の方法として、委任状を使うことで、本人の代わりに戸籍謄本を取得することができます。

 

また、これの例外として、相続手続きが発生している場合では、相続人確定のために傍系血族の戸籍謄本も委任状なしで取得することが出来ます。

傍系血族

・兄弟姉妹

・いとこ

・おじ、おば

これについては、具体例を見ながら内容を理解しましょう。

 

例)

故人A氏には、妻と、亡くなった両親、亡くなった兄、亡くなった兄の息子(甥っ子)がいました。また、妻との間には子どもはいませんでした。

この場合、相続人になるのは、現在生きている、「妻」と「甥っ子」になります。

 

そこで、妻は以下の戸籍謄本の収集を試みました。

必要になる戸籍謄本

① 自分の現在の戸籍謄本

② 故人A氏の、出生から死亡までの戸籍謄本

③ A氏の両親の出生から死亡までの戸籍謄本

④ A氏の兄の出生から死亡までの戸籍謄本

⑤ A氏の甥っ子の現在の戸籍謄本

※重複するものも記載しています。

 

このうち、①②③については、本人もしくは配偶者に該当するので、原則通り戸籍謄本は取得可能です。

 

一方の④と⑤については、原則的には、直系の親族でないため、戸籍謄本を取得するには甥っ子から委任状をもらう必要があります。

 

しかし今回は、相続手続きのために兄弟や甥っ子の戸籍が必ず必要になりますので、例外的に、委任状が無くても戸籍謄本を取得することが出来ます。

 

つまり、妻は誰からも委任状を貰うことなく、全ての戸籍謄本を取得できることになります。

 

しかし、例えば先ほどの例で、故人A氏に子どもがいた場合は相続人が「妻」と「子ども」になり、A氏の兄弟や甥っ子の戸籍謄本は不要ですので、委任状が無ければ取得することは出来ません。

行政書士も委任状なしで職権請求ができる!

ここまでで、直系親族の戸籍謄本であれば本人以外でも取得可能、ということと、相続のために必要であれば、相続人にあたる傍系親族の戸籍謄本も委任状なしで取得可能、ということが分かりました。

 

しかし、みなさんにはもう1つ、委任状を使わずに戸籍を集める方法が存在します。

 

それは、行政書士のような専門家に依頼をすることです。

 

例えば、行政書士であれば「遺産分割協議書」の作成のご依頼を頂いた際には、その作成のために必要な業務として、他人の戸籍謄本を職権で取得することが出来ます。

 

この請求方法を「職務上請求」といい、行政書士のほかにも、弁護士や司法書士、税理士などが業務に関連する範囲で使用可能となっています。

 

ただし、これらの相続の専門家であっても、「戸籍の収集のみ」のために職務上請求を使用することは出来ませんので、戸籍収集単体でのご依頼の際には、相続人からの委任状が必要となります。

 

おススメとしては、事実証明に関する書類の作成を専門とする行政書士に遺産分割協議書の作成を依頼し、その不随業務として、戸籍の収集もまとめて依頼をしてしまうことです。

 

他にも、相続財産に不動産が入っていれば司法書士にまとめて依頼するのもいいですし、相続税が発生しそうだということであれば税理士でもいいでかもしれません。

 

もし、ご自身でこれらの手続きを行うのが難しいと感じるようであれば、専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。