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相続の戸籍謄本収集は税理士に依頼すべき?

相続の戸籍謄本の収集は税理士に依頼するべきか?答えとしては必ずしもそうではないと思います。

 

相続手続きはそれぞれ得意とする専門家が存在します。相続手続きの専門家としては、行政書士、税理士、司法書士、弁護士がいます。

 

相続手続の専門家として挙げられるのは、一般の方の感覚からすると弁護士や税理士のイメージが強いかも知れません。ただ専門家には各々ができる業務の範囲があり、必要に応じて依頼する専門家が変ってきます。

 

それぞれの専門家がどのような場面で必要なのかを大まかな相続の流れとともに下記に記載します。

弁護士

弁護士に依頼をする場合は「相続に争い」があり、場合により裁判になるようなケースが挙げられます。

司法書士

司法書士に依頼をする場合は、相続した「財産に不動産がある」場合、その名義変更を依頼するケースが挙げられます。

税理士

税理士に依頼するケースは、「相続財産の額が多く、相続税の申告」が絡むケースが多いです。相続税が絡む業務は専門性が高いですし、その作業は税理士にしかできません。

 

結論、紛争がある場合は弁護士に、不動産登記は司法書士に、相続税申告が必要な状態になった場合は税理士に任せた方が手続はスムーズに進むと思われます。

 

では全ての「相続」において相続税や紛争が必ず発するかというと、答えは「NO」です。全ての相続の場で「相続争い」「不動産の名義変更」「相続税の申告」があるわけではありません。

 

全ての相続の場で必ず発生する事は、「相続の開始」「相続人調査」「相続方法の決定」の3つになります。

 

特に「相続人調査」は重要で、この作業の為には「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍」等の戸籍謄本類を収集し、被相続人を中心とした相続関係図(家系図の様な物)を作成しなくはいけません。

 

戸籍類の収集は、被相続人のこれまで生きてきた間の全ての本籍地を管轄する役所で取得しなければならず、戸籍に繋がりがあるか?等を確認しながら収集していく必要があります。また集めた戸籍類を使用して相続関係図を作成していくうえでも戸籍謄本を読み解く力が必要になります。

 

基本的に戸籍の収集に関しては弁護士、司法書士、税理士、行政書士はできますし、戸籍を読み解く力に関しても他の専門家もできないわけではありませんが、普段から権利関係の書類作成を得意としている行政書士が一番であると思います。

 

また例えば、税理士の場合は、相続税の申告に重きを置く方が多いので、相続税が絡む相続案件でないとそもそも相談に乗ってくれない場合もありますし、書類の戸籍謄本の収集は相続人の方に用意をしてもらう場合もあります。

 

行政書士は相続税の税額計算や申告や裁判など紛争解決の業務はできませんが、その分、戸籍書類の収集に特化した対応が可能です。現に、行政書士は税理士の専門家の方から、戸籍の代理収集の依頼を受けるケースも少なくはありません。

 

他の専門家からも依頼を受けるということはそれだけ他の専門家からも行政書士の戸籍収集能力に信頼を置いて頂いているという証です。

 

戸籍謄本類の収集は行政書士に依頼するのが一番スムーズと考えます。

以下が相続手続きの一般的な流れ・相続スケジュールになります。

①相続の開始(被相続人の死亡)

②遺言書の確認(遺言書の有無や、自筆証書遺言の場合は裁判所の検認も必要)

③相続人調査 (誰が被相続人の残した遺産を相続できる権利があるのか?の調査)

④相続財産の調査(被相続人の残した遺産の種類と金額の調査。借金含む)

⑤相続方法の決定(相続するのか? 相続放棄するのか?)

⑥所得税等の準確定申告(1月1日から被相続人の亡くなった日まで所得の申告)

⑦遺産分割協議 (遺言で遺産の相続指定がない場合に、誰が何を相続するか相続人全員で話し合う)

⑧相続税の申告・納付 (相続税が発生する場合)

⑨相続した財産の名義変更(預金口座・不動産等)

 

一般の方が上記スケジュールに合わせて、全てをご自身でやろうとするとかなりの労力が必要となります。その為、相続手続の専門家に任せて進めるケースも多いです。

 

被相続人が亡くなり、相続が発生した場合、相続手続きを行わなければいけません。人は誰でも必ずいつかは亡くなります。その為どのような方であっても生涯のうち必ず1度は「相続手続」の場に出くわす事があるはずです。

 

一言で相続手続と言っても、様々な手続きがあります。例えば被相続人が預貯金を持っていた場合には、金融機関での解約や名義変更の手続きが必要になりますし、不動産(土地とか建物)を持っていた場合には、法務局での所有権変更の登記手続きが必要になります。

 

これまでに付き合いのある専門家はいないし、相続税も、相続争いをする予定もないということであれば行政書士にお願いするのが良いと思います。

 

行政書士は、他の専門家に比べて比較的安価な場合が多く、相続を専門にしている行政書士は経験も豊富で、スムーズに収集をしてくれる上、相続の手続き全般について相談に乗ってくれます。
相続にともなって、戸籍の収集が必要になったときや相続についてお困りのことがあるかたは、行政書士に相談してみるとよいと思います。