相続の戸籍謄本と戸籍抄本の違い、どちらを取ればよいのか?
私たちが取得することができる戸籍には、戸籍謄本(こせきとうほん)と戸籍抄本(こせきしょうほん)があります。
相続の手続きには必ず戸籍の収集が必要となりますが、戸籍謄本と戸籍抄本、どちらを集めればいいのでしょうか。
答えは、「戸籍謄本」です!
詳しく解説していきたいと思います。
戸籍謄本と戸籍抄本の違い
そもそも、戸籍謄本と戸籍抄本は何が違うのでしょうか。
戸籍には原則、夫婦と未婚の子供が一緒に記載されています。つまり、戸籍は一人ひとりそれぞれに保管されているのではなく、家族が一緒に保管されているのです。
戸籍謄本と戸籍抄本の違いは、一緒に保管されている家族全員について記載したものか、そのうちの1人のみについて記載したものかの違いです。
戸籍謄本
→戸籍に載っている「全員」について記載された戸籍の写し
戸籍抄本
→戸籍に載っているうちの「1人」のみについて記載された戸籍の写し
相続の手続きで必要な戸籍とは?
相続手続きで必要となる戸籍は次の通りです。
①亡くなったかたの出生から死亡までの全ての戸籍
②相続人全員の戸籍
以下ではそれぞれに説明していきます。
①亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍
亡くなった方の戸籍については、必ず「戸籍謄本」を集めます。
なぜなら、亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍を収集するのは、相続人の特定・証明をするためだからです。
相続人の特定、つまり、相続人に遺族が知らない子供がいないか等を調べるために戸籍を取得するのに、亡くなった人だけしか記載されない戸籍抄本を集めても意味がありません。
ですから、亡くなった方の戸籍は、かならず「戸籍謄本」を取得するようにしましょう。
②相続人全員の戸籍
亡くなった方の戸籍謄本を出生から死亡するまで全て取得することができるができて、相続人が特定できたら、次は②相続人全員の戸籍を取得します。
相続人の戸籍を収集する理由は、被相続人(死亡した人)が亡くなった時に、生きていたことを証明するためです。
生きていたことが証明できればいいので、相続人の戸籍は戸籍抄本でも問題ありません。
ですが、一つの戸籍謄本に複数の相続人が記載されていれば、1通で足りるものであっても、戸籍抄本の場合はそれぞれに取得しなければならず、取得すべき戸籍が増えてしまいます。
戸籍抄本でなければならないということはありませんので、はじめから戸籍謄本を取ってしまいましょう。
ちなみに、戸籍謄本1通と戸籍抄本1通はどちらも同じ手数料です。戸籍謄本を取得いけば、戸籍抄本ですべて揃えるより費用を抑えることもできます。
戸籍抄本ではダメということがあっても、戸籍謄本でダメということはありません。
戸籍謄本の取得方法
取得すべき戸籍が分かったら、実際に戸籍を収集する方法を見ていきたいと思います。
戸籍謄本は本籍のある場所でしか取得することができません。もし、本籍地が分からない場合は住民票を取得すれば本籍地が書かれていますので、まずは住民票を取って本籍地を確認しましょう。
戸籍謄本は窓口に直接行かなくても郵送で取得することができるので、取りたい戸籍謄本が自宅から遠い場所にある場合は、郵送で取得すると良いと思います。
亡くなった方の戸籍を出生から死亡まですべて集めるためには、次のように新しいもの(死亡したときのもの)から古いものを順に取っていきます。
1 死亡時の戸籍謄本を取る
2 1から情報を拾って、古い戸籍謄本を取る
3 2から情報を拾って、更に古い戸籍謄本を取る
(出生時の戸籍に行き着くまで繰り返し)
このように、新しい戸籍から古い戸籍、という順番で戸籍謄本を取っていきます。
なぜなら、新しい戸籍謄本の中に、古い戸籍謄本を取るためのヒントが隠されているからです。
例えば、「戸籍改正」「従前戸籍」「~から入籍」が戸籍謄本に書かれていると、それがヒントになります。これらは、「この戸籍の前に、改製原戸籍、除籍などの違う戸籍がありますよ」と教えてくれるので、これを頼りに古い戸籍を取っていきましょう。
この作業は手間と時間がかかりますし、戸籍の読み方がわからなくて取るべき戸籍が分からないという方も多いかと思います。
もし、ご自身でこれらの手続きを行うのが難しいと感じるようであれば、行政書士等専門家のサポートを受けるのが良いでしょう。専門家のサポートを受けることで手続きを円滑に、確実に進めることができます。依頼するための費用は数万円程度かかりますが、相続する金額やかかる時間、そもそも自分自身で手続きできるのかどうか等の要素を比較しながら、利用を検討してみてください。